Low-grade gliomaの治療目的は,QOLを維持しながら生存期間を延長させることである.LGGの予後因子として,(1)年齢,(2)神経脱落症状,(3)組織型,(4)腫瘍最大径,(5)対側への腫瘍伸展,(6)CTまたはMRI上の増強効果の有無,(7)MIB-1 indexが知られている.成人のLGGは,症状の安定期が平均5〜7年ある経過の長い疾患である.広範切除術で生存期間が長くなる傾向があるが,放射線治療のタイミングに関するEORTCの臨床試験は,術直後施行が増悪時施行に比べ無増悪生存期間を延長するが,全生存期間を延長しないことを明らかにした.このことは,放射線治療のタイミングよりも高次脳機能障害の回避を優先すべきことを示している.長い経過の中で原則1回しか使えない放射線分割照射という治療手段の効果を最大にし,かつ障害を最小にするためには,画像による密な経過観察を行い,増悪がみられた時に放射線治療を施行するのがよいと考えられる.
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