脳神経外科ジャーナル
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24 巻, 11 号
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特集 アプローチの基本とピットフォール
  • 後藤 剛夫, 大畑 建治
    2015 年 24 巻 11 号 p. 738-744
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/25
    ジャーナル フリー
     Orbitozygomatic approachは広く普及した頭蓋底到達法であるが, 広く普及したがゆえに, 手術の細かなコツあるいは適応について語られる機会が減少している. 今回は手術解剖の知識を中心に同到達法を行う手順を解説した.
  • 高木 康志
    2015 年 24 巻 11 号 p. 745-750
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/25
    ジャーナル フリー
     前頭開頭によるinterhemispheric approachは, 前交通動脈瘤に対しpterional approachを多用する施設においても, 同疾患のみならず前頭蓋底やトルコ鞍近傍の病変に対しても用いられ, 脳神経外科にとって非常に重要なアプローチの一つである. 脳神経外科専門医が必ず身につけていなくてはいけない手技の一つである. 本稿では, interhemispheric approachの歴史を振り返るとともにその基本的な手技について解説する. Interhemispheric approachにおいては, 手術の各ステップにおけるピットフォールを正しく理解, 認識し確実に手術を行うことが重要である.
  • 中冨 浩文, 金 太一, 清水 暢裕, 八木 伸一, 小泉 茂, 清水 庸夫, 斉藤 延人
    2015 年 24 巻 11 号 p. 751-760
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/25
    ジャーナル フリー
     Transpetrosal approachの基本手技とピットフォールを総括した. 特に外科的レイヤー, 剝離のコツ, 止血のテクニックの3つの側面からまとめると理解しやすい. これらの3つの側面を個々の手術ステップにおいて, 常に意識することで, 術者が安全で確実に, 前方ならびに後方経錐体骨法を遂行し, 合併症を防ぐのに役立つと考えている.
  • 安部 洋, 福田 健治, 大川 将和, 野中 将, 勝田 俊郎, 東 登志夫, 竹本 光一郎, 阪元 政三郎, 岩朝 光利, 井上 亨
    2015 年 24 巻 11 号 p. 761-769
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/25
    ジャーナル フリー
     小脳と延髄の間の深い裂である小脳延髄裂 (CMF) は後頭蓋窩手術で比較的扱われる機会が多い部位であり, その解剖を熟知することは安全確実な手術を行ううえで重要である. また, CMFと最も関連する動脈である後下小脳動脈の走行とCMFとの関係にはさまざまなバリエーションがあることを知ることも重要である. CMFを開放するtrans-CMF approachは第四脳室病変のみならず, PICAからの栄養血管を有する小脳虫部腫瘍やCMF内を走行するPICAに対する血行再建などにも有用である. 本稿ではCMFの解剖とtrans-CMF approachの有用性と手術手技について記載する.
  • 戸田 正博
    2015 年 24 巻 11 号 p. 770-779
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/25
    ジャーナル フリー
     内視鏡経鼻頭蓋底手術 (endoscopic endonasal skull base surgery : EESS) では, 従来の顕微鏡下では到達困難な部位まで操作可能であることから, その対象が拡大しつつあり, 実際にさまざまな頭蓋底部位・疾患への手術アプローチとその有用性が報告されている. 一方, EESSでは, これまでとは異なる外科解剖知識や内視鏡下の新たな手術手技の習得が必要である. EESSの安全性および手術成績を向上させるためには, 手術適応, 適切なアプローチ, 再建法の選択, さらに手術精度向上と不測な事態への対応力を上げるため, 耳鼻咽喉科と密接な連携が重要である.
特別寄稿
  • —臨床神経学の立場より—
    柴崎 浩
    2015 年 24 巻 11 号 p. 780-787
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/25
    ジャーナル フリー
     判断は, 外界の刺激や内部状況の知覚・認知に直接関連した認知的判断と, 対人関係が関与する社会的判断に分けられる. 認知的判断には, 各種感覚受容野の一次・二次中枢と, 頭頂・側頭皮質の特殊受容野が関与する. 社会的判断および道徳的判断には主として前頭前野が重要な働きをなす. 行動は上記判断に基づいて, 過去の学習・記憶に基づいて言語または動作として, またはその両者として発現し, 常に認知・判断にフィードバックされる. そのため, 判断と行動は密接に関連している.
     行動には反射性, 衝動性, および計画的の3種類がある. 反射性動作・行動には, 視覚刺激に対して上丘, 聴覚刺激に対して脳幹網様体, および疼痛刺激に対して中脳水道周辺灰白質が重要な働きをなす. それに対して衝動性動作・行動については, パーキンソン病患者に対するL-dopa長期治療中に起こる衝動調節障害, 病的賭け, および同じ行動を反復するpundingが注目される. これには腹側線条体とドパミン作動性中脳辺縁系を結ぶ回路が関係し, 報酬と動機付けおよび薬物嗜癖との関連が注目されている. 計画的行動については, 運動準備脳電位の研究により, 単純な随意運動の場合にはまず前補足運動野, そして固有補足運動野が両側性に, そして外側運動前野が次第に対側性に興奮するのに対して, 複雑な運動では左頭頂葉から活動が始まる. 動作・行動の意図・意志が脳のどの部位でいつ起こるかについてはまだ定説がない状態である. 高次脳機能の皮質局在はある程度明らかにされてきたが, 近年は皮質機能局在論から発展して, 皮質領域間の機能連関が究明され, 臨床的には大脳白質傷害による機能連関の遮断, すなわち離断症候群が注目されている.
症例報告
  • 玉田 (伊藤) なつみ, 廣田 晋, 白井 謙太朗, 永田 千草, 寺門 利継, 武井 孝麿, 芳村 雅隆, 冨士井 睦, 鈴木 恵子, 渡 ...
    2015 年 24 巻 11 号 p. 788-796
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/25
    ジャーナル フリー
     先天性膠芽腫はまれな疾患で, 確立された治療法はない. 未治療の生存期間は2カ月である. 症例は胎児期に頭蓋内病変を指摘された男児. 1回目の手術 (生検術) で確定診断に至らず, 2回目の手術 (部分摘出術) で膠芽腫と診断された. Temozolomide (TMZ) 内服による化学療法を行い, いったん腫瘍は縮小したが, 再増大したため, 亜全摘術, 一部残存腫瘍に対する放射線局所照射, その後にTMZとbevacizumabの併用療法を行った. 生存期間は15カ月であった. 組織の分子生物学的検討では, 成人primary glioblastomaに類似した特徴を有しており, TMZ治療後もその特徴に大きな変化はみられなかった.
治療戦略と戦術を中心とした症例報告
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