MRIにおける形態上,視床下部過誤腫は,視床下部に侵入するintrahypothalamic typeと,有茎性あるいは広基性に視床下部に付着しているだけのparahypothalamic typeに大別される.前者はほぼ全例で笑い発作などの薬剤抵抗性のてんかんと知的障害を伴う.後者はてんかんを伴うことはまれで,非症候性のものも発見される.思春期早発症はともに5〜6割に認められる.視床下部過誤腫に伴うてんかんの起源が過誤腫自身にあることについてのエビデンスは集積されつつあり,過誤腫自身が治療のターゲットとなっている.直達手術の経路として,以前は経シルビウス裂アプローチ,側頭下アプローチなどが主体であったが,近年,経側脳室法,経脳梁経脳弓間アプローチ,内視鏡下離断術が導入され優れた成績を示している.非侵襲的な治療方法として,ガンマナイフや高周波熱凝固も半数以上で著効をもたらす.これらの方法でてんかんのコントロールが良好になれば,認知機能も回復する.視床下部過誤腫に伴うてんかんを放置すれば,てんかん発作は次第に複雑化し,知的障害が促進されるので,種々の治療モダリティを駆使して,早期にてんかん発作の完全消失を目指さなくてはならない.
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