限局性皮質形成異常(focal cortical dysplasia:FCD)は,皮質構築異常を基盤とする病変で,しばしば難治性てんかんの原因となる.Palminiらにより,type I(IA:皮質構築異常のみ,IB:immature neuron/giant neuron[+])とtype II(IIA:dysmorphic neuron[+],IIB:balloon cell[+])に分類されている.自験例42例において,臨床像はIIBの発作頻度が他に比べ有意に高く,ほぼ全例が日単位の発作を呈した.画像診断ではIIB全例,IIAの一部がMRIのプロトン密度強調画像(PDWI)とFLAIR画像で高信号を示し,PDWIで感度が高かった.硬膜下電極,深部電極での観察から,FCD自体がてんかん原性を持ち,深部電極で高頻度の間欠期棘波と発作起始が確認できた.治療はFCDの全摘出(lesionectomy)であるが,MRI異常を認めないものでは慢性頭蓋内電極記録が必須である.発作転帰はIIBでは100%,IIAでは76.9%がEngel class Iであったが,IA/IBでは47.4%と低く,特にMRI異常のないIA/IBではさまざまな検査手法を駆使してより正確な局在診断が必要となる.
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