日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
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72 巻, 9 号
選択された号の論文の57件中51~57を表示しています
症例
  • 平出 貴乗, 武田 真, 東 幸宏, 小路 毅, 丸尾 啓敏, 米川 甫
    2011 年 72 巻 9 号 p. 2442-2447
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/25
    ジャーナル フリー
    腹壁ヘルニアの中でも稀な疾患であるSpigelヘルニアに外鼠径ヘルニアを合併した症例に対してクーゲルパッチ(Bard社)を腹膜前腔に用いることで両ヘルニアを補修した.症例は66歳女性.左下腹部痛を主訴に当院受診.腹部CT検査にて腹直筋外側より突出する脂肪織の脱出を認め,Spigelヘルニアと診断し手術を行った.外腹斜筋腱膜を開くと腹膜前脂肪に覆われたヘルニア嚢を確認した.腹膜前腔の剥離時に外鼠径ヘルニアを偶然発見したため,同一創にて両ヘルニア嚢を高位結紮後クーゲルパッチにて一括に補修した.現在術後6カ月であるが再発なく外来通院中である.Spigelヘルニアの後天的要因として妊娠,腹圧上昇などが考えられており,鼠径ヘルニアの原因にもあてはまる.高齢化に伴い合併症例の増加も考えられ,術前・術中の詳細な検索が必要と考えられた.
  • 尾形 英生, 高橋 雅一, 宮地 和人, 加藤 広行
    2011 年 72 巻 9 号 p. 2448-2454
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/25
    ジャーナル フリー
    ヘルニア内容が虫垂であった鼠径ヘルニアの1例を経験したので報告する.症例は60歳,男性.2日前からの右鼠径部痛で当院を受診した.右鼠径部に明らかな膨隆は認めないが,CTでは右鼠径ヘルニアを認め,その内容は盲腸と連続し虫垂であった.症状,炎症所見ともに軽度であり,イレウス所見も認めないため,待機的に手術を施行した.術中診断はCTで診断された通りであったが,虫垂先端部が内鼠径輪で締め付けられ,赤く変色していた.別創から虫垂切除を行った後,ヘルニアはMesh-plug法で修復した.術後経過は順調で,第6病日に軽快退院した.
    鼠径ヘルニア内容が虫垂であることは比較的まれであり,Amyand's herniaと言われている.本症例では術前のCT検査でAmyand's herniaを診断する所見が認められた.Amyand's herniaの1例とこのヘルニアの診断と治療に関する文献的考察を含め報告する.
  • 上嶋 徳, 倉地 清隆, 中村 光一, 澤柳 智樹, 中村 利夫, 今野 弘之
    2011 年 72 巻 9 号 p. 2455-2459
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/25
    ジャーナル フリー
    症例は高度肥満40歳女性で,心窩部から臍上部の圧痛を伴う腫瘤を自覚し来院.腹部CT検査で上腹壁と傍臍ヘルニアと診断し,還納後に待機的にprolene hernia system(PHS)法で同時に手術を施行した.上腹壁ヘルニア(白線ヘルニア)と傍臍ヘルニア(成人臍ヘルニア)は,腹壁ヘルニアに分類され,本邦では稀な疾患である.妊娠,高度の肥満,腹水貯留などの腹圧上昇が発生原因とされ,ヘルニア門径は比較的小さく,腸管嵌頓率が高く自然治癒しないため手術適応とされる.治療法として従来の単純閉鎖法では10%に再発を認め,再発率の改善と術後の疼痛軽減を考慮しProsthesisを用いた修復法が近年推奨されている.PHS法は成人鼠径ヘルニアに対するtension freeな修復法であるが,腹壁ヘルニアの成因から考えると,腹膜前腔と腹直筋前鞘を二重に広く補強が可能であり,かつ低侵襲な本法は,腹壁ヘルニア根治術に対して有用な方法のひとつと考えられる.
  • 繁光 薫, 森田 一郎, 木下 真一郎, 深澤 拓也, 山辻 知樹, 猶本 良夫
    2011 年 72 巻 9 号 p. 2460-2465
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/25
    ジャーナル フリー
    経過観察中に増大傾向を呈し待機的にステント留置およびコイル塞栓術を行った孤立性解離性上腸間膜動脈瘤の1例を経験したので報告する.症例は53歳,男性.左腰痛および腹痛を訴え泌尿器科を受診しCTにて後腹膜・腸間膜・網嚢内血腫を疑われ外科紹介となった.SMA起始部に解離性動脈瘤を認めたが,出血源としては否定的であった.バイタルサインも安定していたため,入院にて保存的に経過観察を行った.CT再検にて血腫の縮小,解離腔内の血栓化傾向を認め,退院後外来にてフォローアップを行った.約6カ月後,瘤は嚢状瘤化し増大傾向を呈し,これによる上腸間膜動脈本幹の狭窄を認めた.われわれは狭窄部にステントを留置し,ストラッツ間より小カテーテルを挿入し瘤内にコイルを留置し塞栓術を施行した.術後経過良好で7日目に軽快退院した.本幹の狭窄所見を呈する解離性上腸間膜動脈瘤に対し,ステント留置およびコイル塞栓術は低侵襲で有用であると考える.
支部・集談会記事
編集後記
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