応用地質
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41 巻, 4 号
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  • 駒崎 征明, 平間 和夫, 伊藤 史人, 氏平 増之, 鈴木 新吾, 川村 洋平, 樋口 澄志
    2000 年 41 巻 4 号 p. 200-209
    発行日: 2000/10/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    岩盤斜面での破壊音や落石の衝突振動を広い範囲にわたって監視できる, すなわち測定範囲を点から線, 面へ拡張できる可能性を持つセンサに振動検出用ケーブルセンサがある. この研究では, 実規模覆道内にケーブルセンサを格子状に敷設し, 「落下物の落下位置が二次元的に標定できるか」 , 「落下物の大きさを評価できるか」 , 「加速度計による測定結果との対比ではどうか」 等について実験を行った. 加えて, 新たに開発した移動通信網を用いたデータ伝送システムの動作に関する実験を行った. その結果, 次の事項が明らかになった, または確認された. (1) ケーブルセンサは高い精度を要求していなければ, 加速度計の代替センサとして利用できる. (2) 実規模の覆道においても上部に鋼球を落下させた場合, 落下位置は波形の立ち上がり, 振幅, トポグラフィのいずれによっても標定できる. (3) ケーブルセンサは6gの鋼球の落下振動を検出できる. また, ケーブルセンサからの出力電圧値から落下物重量のオーダの違いを推定できる. (4) ケーブルセンサの長さが増加すると出力の感度が落ちるが, 実験結果から仮に100mのケーブルセンサを用いても実用上十分な感度が得られる. (3) 新たに開発した落石検知システムにおける携帯電話通信網による必要なデータ量 (48Kbyte) の伝送時間は現在のところ3分以内であり, ケーブルセンサを含めた本落石検知システムは実用に供せる可能性が高い.
  • 竹田 幹郎, 張 銘, 江崎 哲郎, 高橋 学, 三谷 泰浩
    2000 年 41 巻 4 号 p. 210-217
    発行日: 2000/10/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    深部地下における難透水性岩の浸透流特性を高精度に評価することは, 各種地下開発・利用施設の設計あるいは評価においてきわめて重要である. 本研究では深部地下の圧力条件を再現した高い拘束圧条件下で, 岩の透気試験が可能となる新しい試験装置を開発し, 白浜砂岩および稲田花崗岩を対象に試験を行った. 岩の異方性が透気係数に及ぼす影響を調べるために, 砂岩は層理面に対して平行および直交, 花崗岩はRift, GrainおよびHardway面に対して直交した供試体を用いた. また, 試験条件は試験法, 透気圧, 供試体寸法および拘束圧等が岩の透気係数に与える影響を評価できるよう設定した. 本研究より得られた知見は以下のとおりである. (1) 透気試験は花崗岩のような低い透気係数を持つ岩にも有効に適用できる. (2) 岩の透気係数は拘束圧の大きさに依存する. 拘束圧が1MPa-69MPaに変化した場合, 白浜砂岩および稲田花崗岩の透気係数はそれぞれ, 9.4×10-16-7.4×10-17および5.2×10-18-8.0×10-20 (m2) の値をとった. (3) 稲田花崗岩は透気係数に関して異方性を有しており, 微小クラックが多く存在するRift面に直交した方向の透気係数が最も小さい.
  • 宝塚市付近を対象として
    黒木 貴一, 神谷 泉
    2000 年 41 巻 4 号 p. 218-229
    発行日: 2000/10/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    兵庫県南部地震による宝塚市付近の建物被害と地形との関係, また建物被害と宅地化年代との関係について検討した. 建物被害と地形, 建物被害と宅地化年代をGISを用いてオーバーレイし, 各地形と各宅地化年代に対する被害率を求めた. また数量化I類による回帰係数を用いて, 各地形と各宅地化年代に対する被害率を求めた. 前者は地形と宅地化年代を別々に, 後者は同時に扱ったものである.
    回帰係数から求めた被害率を用いて, 建物被害と地形および宅地化年代との関係を評価した. その被害率と被害率の95%信頼区間を考慮すると, 被害の起こりやすい地形は, 中位段丘, 低位段丘, 低地改変地, 扇状地, 沖積低地, 山地, 山地丘陵改変地, 自然堤防の順である. また大きな被害の起こりやすい地形は扇状地・低位段丘, 低地改変地・中位段丘, 自然堤防・沖積低地・山地・山地丘陵改変地の順である. 被害の起こりやすい地形の順序と, 大きな被害の起こりやすい地形の順序は異なっている. またより堅い地盤の中位段丘, 低位段丘, 扇状地が, より軟弱な地盤の沖積低地, 自然堤防よりも建物被害が起こりやすい結果となった. これらの結果から, 地形の構成層と地質構造が被害率に影響を及ぼす要因になっているものと思われる.
    回帰係数から求めた被害率と被害率の95%信頼区間を考慮すると, 新しい宅地ほど, 被害全体から見ても被害大から見ても被害は起こりにくくなる傾向のあることがわかった.
  • 試験条件の影響と基本特性に関する調査
    川崎 了, 吉田 昌登, 谷本 親伯, 舛屋 直
    2000 年 41 巻 4 号 p. 230-241
    発行日: 2000/10/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    金属材料の弾性的性質や強度の把握を目的として開発された試験機の中に, スイス製のエコーチップ硬さ試験機がある. 本試験機の特徴としては, 対象とする供試体が小さくて済むことや, 試験時間が短時間であること, 小型で軽量であることから携帯性に優れていること, などが挙げられる. よって, 本試験機を実際の岩盤構造物や複雑な形状をした石造文化遺産に対して用いれば, 計測方向に関係なく迅速な作業が現場で可能になるものと期待される.
    本試験機を用いた岩質材料の物性評価手法を新たに開発するために, 本論文ではとくに, (1) 試験条件が与える影響調査 (岩石の寸法・形状や表面粗度などに関する検討), (2) 新鮮な岩石を用いた基本特性調査 (物理・力学特性との相関などに関する検討) の2項目に関して実施した結果を報告する.
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