応用地質
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56 巻, 3 号
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論文
  • ―秩父帯の地すべりを例として―
    山根 誠, 山田 政典, 仙石 昭栄, 脇坂 安彦, 赤松 薫
    2015 年 56 巻 3 号 p. 94-104
    発行日: 2015/08/10
    公開日: 2016/01/23
    ジャーナル フリー
    従来,ボーリングコア表面の地質観察のみによる地すべりのすべり面粘土とテクトニックな断層ガウジとの識別は不可能であった.そこで,四国山地中央部の秩父帯に分布する,孔内傾斜計で累積変位が確認されている地すべりにおいて,高品質ボーリングコアのすべり面粘土とテクトニックな断層について,樹脂固定法によるコア半割標本を作製し,観察した.その結果,すべり面周辺の細かく破砕された部分には,複合面構造および非対称構造などの微細構造が観察された.すべり面粘土と推定された部分では,微細構造から正断層センスが確認された.他方,すべり面粘土以外の箇所には,複合面構造から逆断層センスが確認された.すべり面粘土の正断層センスおよびすべり面粘土以外の箇所の逆断層センスは,それぞれすべり面の形成機構,付加体の断層の形成機構から考えられるセンスと一致している.したがって,コア半割標本の微細な複合面構造などを観察しせん断センスを評価することは,これまでコア表面の肉眼観察のみでは,識別が困難であったすべり面粘土と断層ガウジを識別する有効な方法の一つとなると考えられる.
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