応用地質
Online ISSN : 1884-0973
Print ISSN : 0286-7737
ISSN-L : 0286-7737
44 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • ラダニイ強度式の原位置岩盤への応用
    田中 冨男
    2003 年44 巻1 号 p. 2-13
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    本文は, 割れ目のある岩盤の強度を複雑系の観点から述べたものである.
    岩盤の中には各種の割れ目が存在するが, 本文では, その多くが自己相似的に分布し, フラクタル的な扱いが可能なことを示した.
    また, 形態的に自己相似性をもち分布するものは, 力学的にも自己相似性が成り立つと仮定して, これより割れ目のある岩盤の強度評価式を導いた.
    nオーダーの割れ目を含む岩盤の見かけ強度は, San= (1-kn) Sjn + knSinと書き表せる. ここで, Sjnはnオーダーの割れ目部分の強度, Sinnオーダーのインタクト部分の強度, knnオーダーの割れ目係数である.
    本文では, Sinは入れ子構造的に, より高次のオーダーのSan+1に組み込まれると仮定して, 割れ目係数を定義し, この結果, ラダニイの理論を応用して, より高次の割れ目を含む岩盤の見かけ強度は, San+m=σ (1-ka) (V+tanφb) +ka/1- (1-ka) Vtanφb ここで, ka=kn…kn+mとして求めることができることを示した.
    後半では, 原位置のブロック勇断試験結果から割れ目係数を求めるとともに, この値を用いて算出した岩盤強度とラダニイ理論による強度の関係を検討し, 併せて割れ目の階層性と岩盤強度の関係について考察した.
  • ネパールと四国の比較
    吉川 宏一, 大野 博之, 稲垣 秀輝, 平田 夏実
    2003 年44 巻1 号 p. 14-24
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    近年, ある一つの学問分野の域を超え, 各種の学問を総合的に捉えることで, 環境や防災に役立てようという動きが盛んになってきている. その中で, 景観地質という研究領域も提唱されてきているが, この研究方法は十分に確立されているわけではない.
    ここでは, ネパールの山岳部を例に取り上げて景観地質学的な検討を行った結果, 以下のことが示された.
    (1) 渓谷部や棚田の景観は, フラクタル解析の結果, 日本の四国の景観に類似している.
    (2) ネパールと日本との間には, 地形・地質学的, 気候的な類似点が多く, その結果として両国地域の景観は類似したものとなる.
    (3) 両国地域の類似性から, 日本で問題となったような環境や災害の問題がネパールの山岳地域でも起きる可能性が考えられる. 棚田の荒廃による生物多様性の低下と洪水防止能力の低下がそれである.
    (4) 渓谷景観の類似性は, 現時点でも, 四国と同じような崩壊・地すべりなどの斜面災害をもたらしているが, 経済的な問題等によって十分な対策がとられているわけではない.
    (5) 景観地質学的な観点で対象とする地域を捉えることは, 既に環境や防災上の問題を起こした類似の地域との比較により, 事前対策等の策定に寄与する.
  • 数値解析の方法と直線型斜面へ適用した場合
    細谷 昭悟, 岩間 倫秀, 中根 昌士, 伊藤 大輔, 氏平 増之
    2003 年44 巻1 号 p. 25-35
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    落石に対する防護壁, 防護柵の強度や敷設範囲を決定する段階では落石の落下速度, 回転速度, 落下経路, 跳躍量, 走向方向への広がり, 衝撃荷重などの落石特性値をできるだけ正確に推定する必要がある. とくに, 防護工の高さ, 幅を決定するには跳躍量, 走向方向への広がりに関するデータが必要である. 落石特性データを得るのに最もよい方法は, 該当する斜面で実際に岩石を落下させ落下挙動を観察することである. しかし, 周囲の制約から多くの場合実施は困難であり, 従来から数値シミュレーションが行われている. 現在のところ, 数値シミュレーションの多くは二次元モデルを用いて行われており走向方向への落下挙動を推定できない. このため, 著者らは三次元数値シミュレーション法に関する研究を進めてきた. 本論文では, 落下物の形状を変化させることができる剛体-ばね-ダッシュポット-スライダーモデルを用いてほぼ実測値に近い落下軌跡, 落下速度, 回転速度, 貫入量, 跳躍量, 到達距離等を算定できることを明らかにした. また, ブロックの形状を変化させた解析では, ブロックが棒状である場合, 回転速度, 到達距離が, 塊状, 板状ブロックに比べて大きく算定される特徴があることを示した. 本論文で述べた三次元落石シミュレーション法は, ほぼ実用できると考えている.
  • 飯酒盃 久夫, 高橋 努, 兼間 強, 楠健 一郎, 中川 浩二, 稲崎 富士, 大石 朗, 宮村 滋, 西真 幸, 久保田 隆二
    2003 年44 巻1 号 p. 36-47
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    山岳トンネルは, 地形が急峻で土かぶりが深い立地環境であること, 構造物自体が線状で長いこと, 地質調査数量が圧倒的に少ないなどの特殊性がある. このため, 定点地点での調査となるダムや橋梁基礎の場合と異なり, 地質調査は物理探査の比重が高くなっているが, 同時に困難な技術的・経済的条件を伴っており相対的に予測確信度が低くなっていると言える. しかしこうした調査の不確実性は, 系統的に後工程には十分に伝達されておらず, 調査精度や未解明点が不明瞭なまま設計・施工段階へ引き継がれている. とくに施工段階では事前の地質情報が効率的に活用されず, 安全管理, 原価管理, 工程管理などに大幅な変更を伴うケースが生じ, 調査分野の技術者に対し誤解や不信感が生まれやすいと考えられる. 一方, 近年は入札・契約適正化法の施行, 設計・施工一括発注方式や建設CALSの導入がなされており, 今後は地山情報の透明性, データベース化, 公開制が急速に推進される趨勢にある. ここでは地山情報伝達の不備, リスクコミュニケーション不足の実体把握などについて報告するとともに, 施工段階で発生する地山災害の未然低減対策として, 物理探査などの地質調査段階におけるリスクマネジメントシステムの導入について提唱する.
  • 応用地形学研究小委員会
    2003 年44 巻1 号 p. 48-55
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
  • 今村 遼平, 島 博保, 清水 恵助
    2003 年44 巻1 号 p. 56-65
    発行日: 2003/04/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
feedback
Top