応用地質
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59 巻, 5 号
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論文
  • 石田 純平, 杉本 知史, 蒋 宇静
    2018 年 59 巻 5 号 p. 263-272
    発行日: 2018/12/10
    公開日: 2019/08/26
    ジャーナル フリー

    降雨時の斜面崩壊メカニズム解明のため,様々な解析手法による研究が行われているが,降雨時の斜面の安定性評価において,間隙空気の影響を考慮したものは少ない.地盤内で空気の閉塞が発生した際,水の円滑な浸透が妨げられることや,空気圧の上昇により地盤に破壊現象が生じる恐れがある.そこで本研究では,間隙空気の影響を考慮する気液二相流解析手法を用いて,室内模型実験の再現解析を実施した.その結果,間隙空気の影響を考慮しない単相流解析に比べ,水の浸透に間隙空気の影響を評価できる点,飽和度とサクション,比透水係数の関係を容易に計算できる点から,二相流解析が降雨時の斜面安定性評価に有用である可能性を示した.また,過去に斜面災害が発生した現場の再現解析を実施し,斜面の崩壊箇所近傍で間隙水圧および間隙空気圧が増大する結果が得られたことから,これらが有効応力を減少させることが斜面の不安定化を引き起こす要因の一つとなることを示唆した.

報告
  • 大河原 正文, 堀田 良憲, 齊藤 康明, 佐藤 達也, 小澤 幸彦
    2018 年 59 巻 5 号 p. 273-280
    発行日: 2018/12/10
    公開日: 2019/08/26
    ジャーナル フリー

    地震時に発生した地すべりのすべり面判定においては,ボーリングコアの性状観察や動態観測による判定が困難な場合がある.そこで本研究では,新たなすべり面の判定手法として,コア試料を用いた炉乾燥法による膨潤圧試験を行い,得られたデータ特性からすべり面判定の有効性について検討した.試料は,2008年岩手・宮城内陸地震により岩手県内で発生した主な斜面災害現場のボーリングコアである.試験結果より,①炉乾燥法により測定した膨潤圧は,初期含水比の影響を受けずに土が本来有する膨潤能力を評価できる,②膨潤圧が上下深度と大きく異なり,急増する深度はすべり面の可能性がある,③炉乾燥法による膨潤圧データは,すべり面を判定する際の定量的な指標の一つとして利用できる可能性が見いだされ,本試験方法の有効性が示唆された.

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