応用地質
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48 巻 , 2 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 戸邉 勇人, 千木良 雅弘, 土志田 正二
    2007 年 48 巻 2 号 p. 66-79
    発行日: 2007/06/10
    公開日: 2010/03/26
    ジャーナル フリー
    1972年, 愛知県小原村では豪雨により花崗岩類の崩壊が多数発生した. われわれはその被災地で崩壊の分布・密度に対する岩相と降雨量の影響を数値的に検討した. 5時間で約200mmの降雨を受けた同一地域であるにもかかわらず, 花崗岩地域の崩壊密度は293/km2であり花崗閃緑岩の値 (13/km2) を一桁以上上回った. また, 花崗岩地域では降雨量増大とともに崩壊密度の増大が認められたが, 花崗閃緑岩地域では認められなかった. 航空レーザー測量を約3km2の範囲で行い, 空中写真と対比し, この災害時だけでなくそれ以前に発生した崩壊も抽出した結果, 崩壊密度の差がこの災害以前から存在し続けていたことがわかった. これらの差は, 岩相間で風化帯構造が異なることによると推定される. 花崗岩地域ではDH~DM級の硬質なマサがもっとも広く分布し, それらは斜面表層部に明瞭な緩み前線を伴っていたため, 崩壊しやすかったと推定される. また, 一部の花崗岩にはマイクロシーティングが発達し, 崩壊発生を助長していた. 一方, 花崗閃緑岩地域ではDL級のマサが広く分布し, それは強風化しているが, 明瞭な緩み前線を伴っていなかったため, 崩壊数が少なかったと推定される.
  • 田村 栄治, 浄内 明, 松崎 伸一, 長谷川 修一
    2007 年 48 巻 2 号 p. 80-89
    発行日: 2007/06/10
    公開日: 2010/03/26
    ジャーナル フリー
    基礎岩盤中の破砕帯は沈下だけでなく, 膨張により地盤に障害を発生させることがある. 三波川帯の泥質片岩域で, 最大厚さ25mの切土がなされた破砕帯上に直接設置したコンクリート基礎が, 基礎設置後7年間で最大66mm隆起した. 基礎隆起の発見後の調査から, 基礎の隆起原因は, 破砕帯に膨潤性の粘土鉱物であるスメクタイトが多く含まれているためであることがわかった. 本論では, 破砕帯の室内試験, 原位置試験によって, スメクタイト含有破砕帯の膨潤特性を明らかにし, その結果, 地山の掘削に伴う土被りの除去後, スメクタイトの膨潤を伴う吸水膨張が地表から地下へ進行することによって, 徐々に地盤隆起が発生した可能性が高いことが判明した. 土被り圧がスメクタイト含有破砕帯の膨張圧より大きい深度約8m以深では, 膨張は発生していない. スメクタイトは未風化域の破砕帯に一様に含まれており, その生成要因は熱水変質である可能性が高い. 基礎のレベル観測データから将来の隆起予測を行うとともに, 地質構造とスメクタイト含有破砕帯の載荷圧力と吸水膨張率の関係を用いて隆起モデルを構築し, FEM解析による隆起予測解析を行い, レベル観測による隆起予測の妥当性を検証した.
  • 藤井 幸泰, 竹村 貴人, 高橋 学
    2007 年 48 巻 2 号 p. 90-96
    発行日: 2007/06/10
    公開日: 2010/03/26
    ジャーナル フリー
    屋久島に分布する亀甲石は, ほぼ楕円体の円礫で表面に亀甲状割れ目をもつ. 亀甲状割れ目の間隔は礫のサイズと調和的で, 大きな亀甲石ほど大きな間隔の割れ目をもつ. また, 亀甲石の断面はコアとクラストの二層構造を示し, その境界部の深度が亀甲状割れ目の深度と等しい. 亀甲石の特徴や野外での観察事実から, 亀甲石はコアストーン (未風化核岩) であると考えられる. また, 亀甲状割れ目はコアストーン生成後に生じた岩石の風化作用によって形成されたことが示唆される.
  • 柏谷 公希, 川崎 了, 金子 勝比古, 米田 哲朗
    2007 年 48 巻 2 号 p. 97-102
    発行日: 2007/06/10
    公開日: 2010/03/26
    ジャーナル フリー
    切土によって露出した新第三系中新統能取層泥質岩に一様でない盤膨れが発生した素因を, 盤膨れの大きな箇所と小さな箇所のボーリングコアから採取した試料の鉱物組成, 化学組成および岩石組織から考察した. 試料の鉱物組成と化学組成に明確な差は認められないが, 盤膨れの大きな箇所の試料は盤膨れの小さな箇所の試料よりも構成粒子が粗粒で, 基質部へ蛍光剤入り樹脂が含浸しやすい. 今回の盤膨れは, 切土による露出で劣化した泥質岩が水の作用を受け, スメクタイトの膨潤などにより体積増加することで発生したとすると, 粒度分布が異なることで生じた不連続構造の差異が盤膨れの大きさに影響を及ぼし, 一様でない盤膨れを生じさせたと考えられる.
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