応用地質
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38 巻, 4 号
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  • 陳 友晴, 西山 孝, 喜多 治之, 佐藤 稔紀
    1997 年 38 巻 4 号 p. 196-204
    発行日: 1997/10/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    稲田花崗岩および栗橋花崗閃緑岩の割れやすい面と顕微鏡スケールにおける微小クラックの分布状況との関係を蛍光法と画像処理法を用いて調べた。自然光下の観察では識別できない潜在クラックも蛍光法を用いると可視化できる。そこで, 単位領域あたりのクラックの方向性, 合計長さのようなクラックの特性を画像処理法を用いて計測した。その際供試体中に観察された微小クラックを, 粒内クラック, 粒間クラック, 粒界クラックの3グループに分類した。稲田花崗岩には, rift plane, grain plane, hardway planeの3つの直交する弱面が存在する。一方, 栗橋花崗閃緑岩には明瞭な弱面は認められていない。
    稲田花崗岩では, rift planeは合計長さが粒内クラックおよび粒界クラックより短い粒間クラックの方向性によって決定され, grain planeは粒内クラックの方向に一致する。また, 粒界クラックには顕著な方向性がない。rift planeを決定する粒間クラックは栗橋花崗閃緑岩では稲田花崗岩より少ない。しかしながら, 栗橋花崗閃緑岩では, 粒内クラック, 粒界クラックに卓越した方向性がみられるので, 弱いながらもこれらによる潜在弱面が存在するものと推察された。
  • 姜 開君, 渡辺 公一郎, 江崎 哲郎
    1997 年 38 巻 4 号 p. 205-212
    発行日: 1997/10/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    石造文化財の保護に対する関心が近年世界中に強まっている。その背景に, 本文は鹿児島市にある歴史的に有名なアーチ石橋 (武之橋) を研究に取り上げ, アーチ石 (溶結凝灰岩) の接触面付近の風化状況を鉱物学的, 地球化学的手法で調べた。その結果, 建築されてから150年間に化学的風化は水和反応と酸化反応の形式で進んでいることが分かった。主要な組成鉱物とその量はほとんど変化がなく, 主な組成元素も溶脱されていない。これに対して, チタン磁鉄鉱がある程度酸化され, マグヘマイトに変質した。とくに接触面の付近では相対的に高い酸化度が示された。化学的風化は接触面より約10cmまで進んで, 接触面での強熱減量と帯磁率から示される風化度は約15%に達している。アーチ石の接触面付近の劣化はこの水和作用と酸化作用が一つの原因で生じたものと考えられる。また, 工学的性質との関係を検討して石材の初期風化を評価するには強熱減量試験と帯磁率測定が有効な手法であることが示された。
  • 関根 一郎, 西牧 均, 石垣 和明, 原 敏昭, 斎藤 章
    1997 年 38 巻 4 号 p. 213-223
    発行日: 1997/10/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年, トンネルを始めとした地下構造物の地盤調査に電気探査や電磁探査がしばしば適用されているが, 比抵抗に対する割れ目の影響については十分に調べられていない。本文では, 割裂によって割れ目を設けた供試体とそれに挟在物を挟んだ場合の比抵抗について考察し, 多数の割れ目を含んだ岩盤の比抵抗を一般的に表すモデルを示した。人工的に亀裂を設けた供試体の比抵抗測定結果とこのモデルによる計算結果を対比してモデルを検証した。このモデルによって, 割れ目を含んだ岩盤の比抵抗を割れ目部分の比抵抗や割れ目頻度等に応じて表すことができる。この結果は, 比抵抗分布から岩盤の割れ目の状態を推定する際に有益と考えられる。
  • 松倉 公憲
    1997 年 38 巻 4 号 p. 224-231
    発行日: 1997/10/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
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