稲田花崗岩および栗橋花崗閃緑岩の割れやすい面と顕微鏡スケールにおける微小クラックの分布状況との関係を蛍光法と画像処理法を用いて調べた。自然光下の観察では識別できない潜在クラックも蛍光法を用いると可視化できる。そこで, 単位領域あたりのクラックの方向性, 合計長さのようなクラックの特性を画像処理法を用いて計測した。その際供試体中に観察された微小クラックを, 粒内クラック, 粒間クラック, 粒界クラックの3グループに分類した。稲田花崗岩には, rift plane, grain plane, hardway planeの3つの直交する弱面が存在する。一方, 栗橋花崗閃緑岩には明瞭な弱面は認められていない。
稲田花崗岩では, rift planeは合計長さが粒内クラックおよび粒界クラックより短い粒間クラックの方向性によって決定され, grain planeは粒内クラックの方向に一致する。また, 粒界クラックには顕著な方向性がない。rift planeを決定する粒間クラックは栗橋花崗閃緑岩では稲田花崗岩より少ない。しかしながら, 栗橋花崗閃緑岩では, 粒内クラック, 粒界クラックに卓越した方向性がみられるので, 弱いながらもこれらによる潜在弱面が存在するものと推察された。
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