応用地質
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44 巻, 6 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 西山 哲, 大西 有三, 大津 宏康, 矢野 隆夫, 龍 明治, 李 徳河
    2004 年 44 巻 6 号 p. 331-340
    発行日: 2004/02/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    アジア諸国の多くの地域では, その地質条件および気候条件から地すべり, 斜面崩壊といった斜面ハザードが多発しており, 急速な都市開発を背景にしてその被害はますます増大する傾向にある. これらの被害を未然に防ぎ, あるいは被害を最小限に抑えるために斜面の挙動をモニタリングする計測技術の確立は不可欠である. 本研究は, デジタルカメラで撮影した画像から, 被写体の変形を計測する写真測量の原理を応用した計測法に, 測地網に関する幾何学的な拘束条件から基準点を設置することなく計測点の座標値を求める手法と, 計測点の座標値などの初期近似値を画像から簡便に求める手法を導入することにより, 斜面の変状をモニタリングするのに適した計測法を構築することを試みたものである. 本論文では, 当手法のための理論開発と実際の斜面を使った実験を通して, 簡便な計測によって斜面の挙動を把握できることを実証し, 本研究がアジア諸国における斜面ハザードに対して有効な計測法になり得ることを議論する.
  • 中筋 章人, 佐竹 次郎
    2004 年 44 巻 6 号 p. 341-348
    発行日: 2004/02/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    火山ハザードマップとは, 火山災害を引き起こす可能性をもった危険な事象の発生源・規模・影響範囲・危険度などを予測して表示した地図である. 2000年の有珠山噴火災害では, 一人の犠牲者も出さずにスムーズな避難活動が行われた要因の一つとして, 有珠山ハザードマップの存在が注目された. また, 富士山のハザードマップ検討委員会も2001年から始まっており, 近々その成果が公表される予定である. このように日本で最近注目されはじめた火山ハザードマップも, 海外では1970年代からさまざまな国で作成されていた.
    本報告は, まず火山ハザードマップの定義や作成方法を取りまとめたのち, 筆者らが収集した海外の火山ハザードマップ (13か国, 44火山の事例) を整理分析し, その代表的なものについて紹介したものである.
  • とくにダム開発・地下水開発について
    中原 正幸, 永田 聰, 高木 圭介, Anwar MAKMUR
    2004 年 44 巻 6 号 p. 349-359
    発行日: 2004/02/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    インドネシア共和国は, 構造地質的には島弧海溝系で構成される変動帯の中にあり, 日本と同様に複雑な地質構造を有している. 応用 地質的特徴としては, 熱帯気候下での岩石の著しい風化浸食, それを覆う火山堆積物, 広く分布する石灰岩の存在である. これらの地質的特徴が示す地盤特性によって, 地盤災害, あるいは土地利用などが特徴づけられている. ここでは同国での水資源開発の調査経験から, ダム開発, 地下水開発に伴う応用地質的現状を示すとともに, 現場での技術的対応事例について示した.
  • Moussa SANE, 山岸 宏光
    2004 年 44 巻 6 号 p. 360-366
    発行日: 2004/02/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    多くの西アフリカ沿岸都市同様, セネガルの首都ダカールはいくつもの海岸災害を起こしやすい. その中で最も深刻な災害は海岸浸食である. ダカールの地質は主に第三紀火成岩とそれを覆う第四紀堆積物からなっており, 自然の過程に逆らった人間活動の結果, とくにそのような堆積物に覆われた地域が重大な浸食にあってきた.
    自然現象による海岸浸食は荒波の時期に絶え間なく続き, うねりと潮汐波の2つの波の形態によって起こる. 人間活動による海岸浸食への悪影響は, 粗末な都市計画と人口過剰の累積効果である. セネガルのほとんどの経済活動は, 活発な地域であるダカールに集中しており, 生計を立てるために多くの人々が移り住んでいる. このような過度の人口集中が建設ブームを引き起こ し, 砂浜や砂丘から砂を過剰に取り去ってしまった. その結果, 浸食と堆積のバランスが変化したために陸地の低下が始まり, 最終的に大規模な海岸浸食を引き起こした.
  • Wen-Neng WANG, 釜井 俊孝, 守随 治雄
    2004 年 44 巻 6 号 p. 367-374
    発行日: 2004/02/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    1999年台湾集集地震では, 多くの斜面災害が発生した. その大部分は脊梁山地から台中盆地にかけての西部縁辺山地に発生している. 西部縁辺山地と台中盆地の境界部には, 活断層の車籠埔断層に沿って地震断層の地表トレースが長さ80kmにわたって出現した. この境界部は, 急速に拡大する台中市の郊外であり, ベッドタウン化が進みつつある地域である. したがって, 地震断層の地表トレースに沿って, 開発が災害の素因となった多くの斜面災害事例を認めることができる. このうち, 代表的な6事例について, 主として地表踏査にもとづく記載を行い, 災害の発生に及ぼした都市開発および人工地形改変の影響について報告する.
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