応用地質
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49 巻 , 4 号
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  • 太田 岳洋, 長谷川 淳, 高見 智之, 川村 晃寛
    2008 年 49 巻 4 号 p. 204-216
    発行日: 2008/10/10
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    硬質の堆積岩がほぼ一様に分布するとみなすことのできる北部北上山地の一地域について, 気象条件がほぼ一定であった1970年~2001年の6時期の空中写真を用いて植生変化と土砂災害地形を判読した. また2000年に航空レーザ測量で得られた数値標高モデル (DEM) を用いて現地形を定量的に計測した. これらの結果から, 流域内における土砂災害地形の発生には, 流域の地形条件と植生の変化の両者が影響することが明らかとなった. 例えば, 局所的な平均傾斜量や高度分散量の流域平均値が大きくなると流域内の単位面積あたりの崩壊箇所数が増加し, また伐採によりコナラ・クリ・落葉広葉樹群落の流域内の分布面積が減少しても崩壊箇所数が増加する. しかし, ほぼ全域が伐採された流域でも平均傾斜量の流域平均が小さいと崩壊は発生せず, また平均傾斜量の流域平均や表面積比が大きい流域では植生にかかわらず崩壊地などの土砂災害地形が増加する. これらのことから, 災害発生を促進するような植生条件と斜面崩壊に影響する地形因子とを適切に設定することにより, それらの値を用いて斜面崩壊などの土砂災害地形が発生・増加する可能性を評価できると推定される.
  • 陳 友晴, 小林 庸浩, 栗木 祐一郎, 楠田 啓, 馬渕 守
    2008 年 49 巻 4 号 p. 217-226
    発行日: 2008/10/10
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    高温履歴を受けた花崗岩に認められる物性と内部微小構造の変化およびそれら関連を調べるため, 粒径の異なる2種の花崗岩を, 最高到達温度300℃, 500℃で熱履歴試験に供した. 試験前後で試料内の微小構造を反映すると考えられる試料サイズ, 重量, 有効間隙率, P波伝播速度を計測し, 蛍光観察法を適用して, 試料内部の微小間隙構造を詳細に観察した.
    その結果, 試験前後で試料のサイズと重量に大きな変化はあらわれないものの, 有効間隙率の増加とP波伝播速度の顕著な低下が認められ, 試料内の間隙構造の変化が示唆された. 薄片観察の結果, 熱履歴を受けた試料内では, 構成鉱物粒子境界に存在するマイクロクラックに伸展と開口が認められ, この傾向は最高到達温度の高い試料の方が顕著であった. また, 粒子内部のクラックに着目すると, 石英内では, 2種の花崗岩で異なったマイクロクッラク進展パターンが認められた. 一方, 長石や黒雲母の内部では, 両花崗岩とも劈開面や双晶面などの弱面に沿って比較的まっすぐなクラックの進展が認められた. これらの観察結果は, 有効間隙率やP波伝播速度の物性変化と調和的であった.
  • 加藤 欣也, 加藤 孝幸, 岡村 聡, 和田 哲
    2008 年 49 巻 4 号 p. 227-235
    発行日: 2008/10/10
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    クリソタイルを含む蛇紋岩を対象に, 偏光顕微鏡によるモード測定法と粉末X線回折法を用いてクリソタイルの含有量を, 位相差・分散顕微鏡法を用いてアスベストの含有量を計測し, 測定結果の比較, 検討を行った. 一般的な蛇紋岩は, クリソタイルを多く含有するものでも, 試料を粉砕するとクリソタイルが破片状に破砕され, 元々繊維状を示していたクリソタイルがアスベストとしての形態を示さなくなるものが多いことがわかった. したがって, 通常の蛇紋岩を粉砕した際の周辺空気中のアスベスト繊維数濃度は, 作業環境基準値を下回ることが多いものと推定された. しかし, 花崗岩質貫入岩体近傍に位置するアスベスト鉱山のクリソタイルからなる直交繊維脈状蛇紋石は, 粉砕するとアスベストの形態を示し, 作業環境濃度の基準値を上回ることが確認された. 以上のことは, クリソタイルには結晶度の高いものから低いものまで, 種々のものがあることを示唆している. また, 蛇紋岩を粉砕する際に湿潤状態に置きドラフトを用いて吸引すると, アスベストの周辺への飛散量は大きく抑制できた.
  • 依田 淳一, 岡村 光政, 石垣 和明, 朝倉 俊弘
    2008 年 49 巻 4 号 p. 236-245
    発行日: 2008/10/10
    公開日: 2011/11/04
    ジャーナル フリー
    地質年代の新しい第四紀層, とくに更新世中期以降の粘性土地山は, 変形性が大きく, トンネル掘削による大きな変形と地表面沈下を伴うことがある. 約900mにわたる粘性土地山でのトンネルの掘削を通じて, トンネルの変形と地表面沈下が, 粘性土の強度特性に強く規制され, 同時に強度特性がボーリング調査の標準貫入試験 (N値) と相関があることからN値が現場での変位予測-計測管理手法として適用性の高いことを確認した. また同地層を掘削中, 第四紀層としてはまれな水平圧縮により形成されたと考えられる顕著な摺曲とこれに伴う80mに達する右横ずれを伴う断層 (せん断帯) を通過した. 当該地質では地層の変形により細かい亀裂が発達し, 結果としてトンネルの変形と地表面沈下が増大しており, この区間で変位計測結果から推定されるトンネルと地山の変形特性は上記のN値や一軸圧縮強度特性のみでは評価できないことが明らかとなった. 岩盤ボーリングで用いるRQDを評価に加えると変形係数は, RQDの減少とともに低下していることから, N値とあわせてRQDで亀裂の多い地山とトンネルの変形特性を予測することが可能であることを示唆した.
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