応用地質
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59 巻, 1 号
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論文
  • 村上 裕晃, 芦澤 政臣, 田中 和広
    2018 年 59 巻 1 号 p. 2-12
    発行日: 2018/04/10
    公開日: 2019/08/26
    ジャーナル フリー

    結晶質岩地域における地下深部の透水性割れ目の特徴および形成と発達を把握することを目的とし,九州北部に分布する花崗閃緑岩からなる岩盤中に建設した地下施設を利用した地質調査を実施した.地下坑道における新鮮な花崗閃緑岩露頭において割れ目を観察し,割れ目の分布間隔,方向,変質,充填鉱物,湧水の有無の調査を行った.割れ目の頻度,方向および充填鉱物の特徴によると,花崗閃緑岩内の割れ目はA~Dおよび低角度(LA)の5つのグループに分類される.全割れ目に高温環境で形成される緑簾石および石英が充填していることから,全ての割れ目は岩体が高温であった冷却初期に形成されたと考えられる.Bグループの割れ目は最も多く湧水が認められ,現在の透水性割れ目として機能している.さらにBグループの割れ目の充填鉱物の組み合わせと産状から考察した結果,Bグループの割れ目は開口と閉塞が交互に生じたと示唆された.また,Bグループの割れ目は熱水の影響を示唆する赤色変質部を多く伴い,トレース長が長く,他のグループの割れ目を切る傾向があることから,割れ目の形成初期から現在までの長期にかけて重要な透水性割れ目として機能していたと考えられる.

報告
  • 田中 義浩, 亀高 正男, 岡崎 和彦, 鈴木 一成, 瀬下 和芳, 青木 和弘, 島田 耕史, 渡邊 貴央, 中山 一彦
    2018 年 59 巻 1 号 p. 13-27
    発行日: 2018/04/10
    公開日: 2019/08/26
    ジャーナル フリー

    上載地層法が適用できない断層の活動性評価に資するため,活断層と非活断層の断層露頭で断層面の形態観察を実施し,断層活動性評価の指標を検討した.活断層としては五助橋断層の五助ダム上流露頭と六甲断層の船坂西露頭を,非活断層として六甲蓬莱峡のK地点を対象に,断層面の「連続性」,「切断関係」,「平滑性」に着目した.連続性は「断面形状の連続区間率測定」,切断関係は「周辺構造の切断率測定」を行った. 平滑性については「断面形状の平面区間率測定」,「粗さ/うねり形状の測定」及び「写真解析による算術平均粗さ測定」という3種類の測定を行い,合計5つの測定手法を検討した.本研究結果から,「断面形状の連続区間率測定」,「周辺構造の切断率測定」,「断面形状の平面区間率測定」について,活断層と非活断層を見分ける識別基準値を有する可能性が示された.なお,引き続き,識別基準値の明確化とその検証のために測定事例の追加・検討,議論が必要である.

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