応用地質
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43 巻 , 6 号
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  • 佐々木 靖人
    2003 年 43 巻 6 号 p. 345-358
    発行日: 2003/02/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    生態系保全と持続的土地利用を目的とする新しい学問体系として, 応用地生態学を提唱する.
    現在, 生態系保全を目的とする工学として, 生態工学, 緑化工学などの分野がある. これらは, 生態学や植物学等の理学と工学, とくに土木工学の融合による学問である. ところで, 理学分野で地生態学 (景観生態学) という分野があることは, これまであまり知られていなかった. 地生態学は地理学の一分野として発達した学問で, 地形や地質の条件と生態系の関係を研究する学問である. この地生態学, あるいは景観生態学が, 近年, 土木工学の分野で注目・活用されつつある. しかし地生態学を工学に応用する学問 (応用地生態学) の体系化は応用地質学者が先導を切って行うべきである.
    地盤環境とその変化を把握することは応用地質学の得意分野であり, かつ役割である. 環境保全においては, 生態学だけでなく, 地形学や地理学・土壌学・水文学・土木工学なども含めた総合的な協力が必要であるが, 応用地質学は元来これら全ての分野と密接に関連しており, マネジメントを行いやすい位置にある. 今後, 応用地質学は, 生態系保全や持続的土地利用を目的とした地盤環境の調査・解析・評価・対策のあり方を真摯に考え, 他分野と協同して新しい技術体系を確立しなければ, 環境分野で取り残された存在になる.
  • 服部 修一, 太田 岳洋, 木谷 日出男
    2003 年 43 巻 6 号 p. 359-371
    発行日: 2003/02/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    鉱山跡地の掘削残土処分地などからの強酸性で重金属を含む湧水による周辺河川の汚染や, 土木工事における岩盤掘削に伴う酸性水浸出による汚染が報告されている. これらの問題は, 岩石に含まれる黄鉄鉱が酸化・分解することに起因する.東北新幹線八甲田トンネルは旧鉱山分布域に位置し, 岩石に黄鉄鉱が含まれるため, 掘削残土からの酸性水浸出による周辺環境の汚染が懸念される.
    本論文では, 簡易溶出試験, 全岩化学組成分析, 帯磁率測定の結果から, 八甲田トンネルに分布する岩石の溶出特性を把握し, 酸性化にかかわる岩石の判定手法を検討した. 岩石の溶出特性については, 黄鉄鉱の分解による硫酸の溶出が明らかとなり, 泥岩ではそれに引き続き方解石などのCa鉱物の分解による中和作用が働くことがわかった. 岩石の溶出特性と化学組成や帯磁率の関係から, (1) 帯磁率 (火山岩のみ), (2) 簡易溶出試験の1時間後の溶出水pH, (3) 全岩硫黄含有量, (4) 全岩S/Caモル比 (泥岩のみ) により岩石の酸性化にかかわる判定が可能であることが明らかとなった.
  • 杉山 和稔, 池田 則生, 齋藤 茂幸, 諸岡 幸一, 内田 雅大
    2003 年 43 巻 6 号 p. 372-381
    発行日: 2003/02/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    地下構造物の建設に伴う地下水環境にかかわる問題に対応するため, 岩盤中の水理環境および物質移行に寄与する構造を理解することが重要である. 岩盤の水理構造および物質移行のモデル化を行ううえでの調査技術を開発することを目的として, 新第三紀鮮新世の堆積岩を対象として調査を行なった. 調査の結果, 以下のような知見を得た.
    ・観察される割れ目はその性状, 方向性および形成時期等によっていくつかのグループに分類できる.
    ・特定の割れ目グループが主要な透水経路となっている.
    ・砂岩および泥岩のマトリクス部もわずかに水を通している.
    これらの調査結果に基づき, 主要な透水特性の概念モデルについて検討を行った.
  • 大嶋 和雄, 秋元 不二雄
    2003 年 43 巻 6 号 p. 382-389
    発行日: 2003/02/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    東京湾の過去数十年間の開発工事は, 沿岸生態系を回復不可能なまでに破壊してきた. 東京湾の環境修復計画では, 環境それ自身が持つ自然治癒能力を発揮させなければならない. 自然再生能力は, 三つの過程を通じて発揮される; 海水交換, 堆積作用および生物生産である. 大規模埋め立て工事は, 環境再生能力を超えた問題を引き起こしてきた. 埋立地周辺の海底には, 埋め立て用土砂を採掘した深い凹地が刻み込まれた. これら凹地の停滞水から有毒な硫化水素が発生し, 周辺の動物が全滅させられる. 東京湾修復計画において, このような凹地を埋積することが, 青潮発生を抑制し, 海水交換を図る有効な方策である. 東京湾海底に沈積固定された重金属類は再溶出しないが, リン酸塩や硝酸塩の生物遺骸からの溶出速度は沈降堆積速度よりも速い. 東京湾から湾外にプランクトン遺骸が搬出される前に, 遺骸軟体部に含まれる硝酸塩やリン酸塩などの栄養塩は, 何度も光合成プランクトンの繁殖に利用されている. したがって, 東京湾の水質浄化処理対策としては, 光合成プランクトンを基礎生産とする湾内生態系の生物生産過程を活用した栄養塩循環の制御が不可欠である. 東京湾の干潟や浅場では, 年間十万トン以上の魚介類を生産してきた. この生物生産は, 東京湾の水質浄化に大きく機能してきた. 好漁場であった東京湾の干潟消失とは, その水質浄化能力を損なうことでもあった. 東京湾沿岸は陸と海との緩衝帯であって, その生態系は数千年の時を越えて発展してきた. この生態系の活用こそが, 「真の持続可能な環境開発」の方策となる.
  • 西山 孝, 方堂 毅, 山田 将巳, 別所 昌彦
    2003 年 43 巻 6 号 p. 390-395
    発行日: 2003/02/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    環境破壊には種々の原因があるが, 酸性排水の流出や, それらに含まれる有害物質による事例が数多く報告されている. そこで, 本研究では, 有害物質が溶出する危険性のある粒子表面を化学的に安定なシリカでコーティングすることによって, 恒久的に溶出を防止する方法を提案した. コーティング材には, 安価で埋蔵量が豊富な珪藻土を溶解させた非晶質シリカを用いた. よく知られているように, 非晶質シリカの溶解度はpHにより大きく異なり, 強アルカリ性領域で溶解度は大きいが, pHを漸次減少させると, 溶解度は急激に減少し, 多量のシリカが沈殿する. この現象を用いて, 旧松尾鉱山の廃石試料をコーティングした. その結果, アルカリ性領域においてシリカ溶液を撹拝させると, 試料の表面全体にシリカコーティングが施されることが明らかとなった. つぎに, コーティング処理をした試料について溶出試験を行ったところ, 未処理の試料ではFe, Asがそれぞれ約280ppm, 約6ppm溶出していたのに対して, pH9あるいは11のシリカ溶液を用いてコーティングした試料では, いずれも溶出量が10ppm以下,0.1ppm以下となり, 環境基準値を下回った.
  • 笠原 茂
    2003 年 43 巻 6 号 p. 396-402
    発行日: 2003/02/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
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