ハードウェアの急速な性能向上に伴い, PC上でも高度な機能を備えた地質データベースの運用が可能になっている. 一方で, 鉱山開発においては, 従来の要請に加えて環境問題への対応から, きめ細かな採掘管理とより厳格な基準での品質管理が求められている. このような状況から, 採掘管理における地質データベースの活用は, 大幅なコスト削減と品質向上を実現させるものとして, 避けて通ることのできない課題となっている. そこで, 海外の金属鉱山で使用実績の高い地質データベースソフトの一つであるMineSightを適用し, 石灰石を産出する露天鉱山の愛宕鉱山について, 地質データベースの可能性を考察した.
その結果, 現状で備えている機能でも十分に活用できることが確かめられた. すなわち, 濃度図を合成することにより, 採掘計画において効率的な濃度調整を行い, 鉱山の耐用年数を高めることができる. しかしながら, 精度を高めるためには, データベースの運用に習熟する必要があり, 早期の導入が効果的である. また, 採掘シミュレーションに関しては, 厳格な品質管理を可能とし, 景観や騒音といった環境問題を考慮した中期・短期の採掘計画への対応が必要になる.
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