応用地質
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45 巻 , 6 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 古谷 元, 渡部 直喜, 小松原 岳史, 佐藤 修, 丸井 英明
    2005 年 45 巻 6 号 p. 281-290
    発行日: 2005/02/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    新潟県東頸城地域の地すべり地では高濃度Na-Cl型地下水がしばしば見出される. 本研究では, 宇津俣地すべり地等で電気伝導度計を用いた詳細な地下水 (孔内水) 検層, 地下水の化学分析, ならびに酸素同位体比測定を実施した. その結果, 滑動が活発な地すべり土塊における地下水断面では, 化学躍層的な電気伝導度の急激な増加があり, 不活発な地すべり土塊では電気伝導度の有意な変化は認められない. 地すべり土塊内における地下水の水質は, 表層部より深部へ向かって, (1) Ca-HCO3, Na. Ca-HCO3型, (2) Na-SO4型, (3) Na-HCO3型, および (4) Na-Cl型に分類される. 酸素同位体比と塩化物イオン濃度の関係より, Na-Cl型地下水は西山層相当の続成作用を被った化石海水と天水起源の地下水との混合によって形成された. Na-Cl型地下水は異常高圧熱水としての深部化石海水が断層に沿って上昇し, 地すべり土塊に供給されていることを示唆する.
  • 西山 哲, 大西 有三, 矢野 隆夫, 高橋 学, 千葉 周平
    2005 年 45 巻 6 号 p. 291-303
    発行日: 2005/02/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    地下空間開発においては, 構造物の機能維持のために, 岩盤内における地下水挙動の評価が必要となる. とくに深部地質を構成する割れ目系岩盤においては, 内在する多数の亀裂のネットワーク構造でその水理特性を考える試みがなされている. そこでは, 対象とする岩盤全体の水理特性は個々の亀裂の水理特性の集積であり, 広域的な水理挙動を推測するために単一亀裂に対する水理モデルが必要となる. 本研究は, さまざまな表面粗度の亀裂を有する供試体を用いた一面せん断試験を実施し, 応力場あるいは表面粗度をパラメータとした, 広域の透水場を推測するための単一の亀裂の水理モデルの構築を試みる. また, セルオートマトン原理に基づいた格子ガス法によって, 亀裂の表面粗度というミクロ構造を反映した, 巨視的な透水特性を評価するシミュレーション技術を開発する. この手法は, 流体を仮想粒子に置換し, 当該粒子と亀裂の相互作用というミクロなレベルで, マクロな流体の質量と運動量の保存を考えていくものであり, この手法を用いて, 亀裂の表面構造がせん断透水特性を決定する要因を明らかにしていく.
  • 浅野 志穂, 松浦 純生, 岡本 隆
    2005 年 45 巻 6 号 p. 304-315
    発行日: 2005/02/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    地すべり地において適切な対策工を効果的に配置するためには, 地すべり発生の要因となる地下水の分布・変動特性や地質構造を三次元的に把握することが重要である. 本研究では厚い火砕流堆積物層が表層を覆う多雪地域の大規模地すべり地を対象に, 三次元的な地質構造を明らかにして, 現地観測や数値解析により融雪時期の三次元的な地下水位の変動特性や地下水の流動特性について検討を行った. ここでは地下水を大量に貯留して深部のすべり面の不安定化に影響を及ぼすと考えられることから, とくに浅層の火砕流堆積物層に注目して検討を行った. この結果, 融雪期において融雪水の浸透による地下水位の上昇特性は, 地すべり地内の位置ごとに異なることや, 地すべり斜面上部の陥没地形部分に地下水が貯留されやすい傾向にあることなどが明らかになった. これらの特性は地すべりの地形や地質構造などの影響を受けたためと推定された. また地下水排除工の効果を予測するため解析モデルを用いて水位変化の検討を行ったところ, 地下水排除工の設置深度や地下水の流束などが水位低下に影響を与え, 排除工の設置地点により水位低下の効果が異なることが示された.
  • 小坂 寛, 嶋田 純, 濱 克宏, 花室 孝広
    2005 年 45 巻 6 号 p. 316-323
    発行日: 2005/02/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    地下空洞掘削に伴う空洞周辺岩盤中の間隙水の挙動変化を評価することを目的として, 東濃鉱山 (核燃料サイクル開発機構東濃地科学センター: 岐阜県土岐市) に分布する第三紀堆積岩盤において空洞壁からのボーリングにより岩石コアを採取し, 得られた岩石コアから間隙水を抽出し, 水素・酸素安定同位体比および電気伝導度の測定を行った.
    結果として, 空洞壁からの距離と安定同位体比および電気伝導度の関係に関しては, 空洞壁に近い地点の間隙水ほど空洞掘削に伴う蒸発の影響を受けやすいことが示唆され, 同一地点の間隙水における最大抽出圧力と安定同位体比および電気伝導度の関係に関しては, 岩石との吸着力が強い間隙水ほど空洞掘削に伴う蒸発の影響を受け難いことが示唆された. また, これらの間隙水の挙動は岩質の相違により異なることが示唆された.
    後者の岩質に伴う空洞周辺の地下水流動特性の違いは, 岩質の違いを考慮した鉛直2次元の飽和地下水流動解析結果から判断される地下水流動状況とも整合することが示唆された.
    本研究において適用された堆積岩中の間隙水を抽出し, 安定同位体比を測定する手法は, 空洞掘削に伴う周辺岩盤中の地下水挙動の把握, とりわけこれまで実態の把握が困難であった空洞周辺の不飽和領域の把握に有効な手法であることが示された.
  • 大東 憲二, 兼脇 悠一, 松田 康弘, 佐伯 茂雄
    2005 年 45 巻 6 号 p. 324-331
    発行日: 2005/02/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    本論文では, 堀割構造物建設に伴って施工される地中壁によって, 浅層にある不圧地下水とその下部にある被圧地下水の両方が影響を受ける場合を想定し, このような多層地盤における地下水流動保全対策のあり方を研究した結果をまとめた.
    本研究においては, 多層地盤を三次元有限要素でモデル化し, 地下水流動保全対策として通水パイプを想定し, 三次元地盤モデルに重ね合わせた. また, 地中壁もモデル化して, 三次元地盤モデルに組み込んだ. そして, 地中壁の根入れ深さと粘土層の深度との関係, 粘土層の透水性, 通水パイプの設置間隔や通水能力を変化させて解析を行った.
    これらの解析結果から, 事前の地質調査で推定した粘土層厚の深度や透水性が実際と異なっていると, 地下水流動保全対策の効果がほとんどなくなってしまうことが明らかになった.
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