応用地質
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62 巻, 1 号
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論文
  • ―北海道幌延地域の事例―
    代永 佑輔, 佐野 直美, 雨宮 浩樹, 小北 康弘, 丹羽 正和, 安江 健一
    2021 年 62 巻 1 号 p. 2-12
    発行日: 2021/04/10
    公開日: 2021/11/07
    ジャーナル フリー

    地層処分の安全評価などにおいて重要な山地の形成過程を明らかにするための手法の一つとして,後背地解析がある.本研究では,北海道幌延地域に分布する更新統更別(サラベツ)層を事例対象として,電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)を用いた重鉱物の化学組成分析,鉱物種の同定および存在比の計測を同時に行う手法(重鉱物スクリーニング)の後背地解析に対する適用可能性を検証した.分析は16元素を測定対象として行い,得られた化学組成に基づいて鉱物種を判定した.判定結果は,薄片観察の結果と整合的であることが確認された.重鉱物スクリーニング結果に加え,礫種構成分析の結果も踏まえると,更別層の主な後背地は宗谷丘陵と天塩山地であり,少なくとも1.5 Ma以降には宗谷丘陵が陸化していたことが推測された.このような地質構造発達史は,既往研究で示された幌延地域の地質構造発達史とも矛盾しない.一方で,宗谷丘陵や天塩山地では産出の少ない角閃石が更別層の一部から多く確認され,天塩川による運搬などで本地域より離れた所からの砕屑物の供給の影響も考慮する必要がある可能性が考えられた.

  • 杉本 達洋, 澁谷 奨, 林 為人, 村田 澄彦
    2021 年 62 巻 1 号 p. 13-22
    発行日: 2021/04/10
    公開日: 2021/11/07
    ジャーナル フリー

    地震発生のメカニズムを考える上で,その震源域の応力状態は非常に重要なパラメータとなる.本研究では,2016年熊本地震本震の震源断層である布田川断層近傍の掘削孔から採取した,計20個の岩石コア試料に非弾性ひずみ回復法を適用し,そのうち6試料での原位置応力測定に成功した.その結果,布田川断層近傍では鉛直応力が最大主応力(σ1)となる正断層型の応力状態が支配的であることが明らかとなった.これは,地震時の横ずれ型の断層運動により,地震発生前は水平面内にあったと推察される最大主応力(σ1)の値が著しく低下したことを示唆する.地震後の応力状態が正断層型であるという結果は,水圧破砕法や発震機構解を用いて求められた当該地域における応力測定の結果と調和的であった.さらに,最小水平主応力(Shmin)方向は布田川断層の走向とほぼ直交しており,断層面上に横ずれすべりを引き起こす水平せん断応力が小さいことが判明した.

解説
連載シリーズ 再生可能エネルギー
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