応用地質
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44 巻, 5 号
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  • 日向野 崇
    2003 年 44 巻 5 号 p. 274-282
    発行日: 2003/12/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    本研究では, 沿岸域の持続可能な開発と浸食対策事業への提案をするために鹿島灘海岸の第四紀地質, 水理, 堆積物調査資料の解析によってミティゲーション概念を基本とする堆積環境影響評価を行った. 海岸は, 海浜地形, 粒度分析, 砂粒組成, フルード数から次のように分類された. 1. 凹地型海岸, 2. バー型海岸, 3. カスプ型海岸である.
    凹地型海岸は浸食傾向にあるが, 一方では漂砂の供給源になっている.
    バー型海岸は, 波浪営力の大きい冬季に沖側へ運搬された堆積物が夏の静穏期に, 海岸に戻る過程にあると見られ, 季節的な変動の中で安定した海岸である.
    カスプ型海岸のうち, 緩勾配の海岸は, 静穏域となっており, 安定または堆積傾向の海岸である. 比較的急勾配の海岸は, 凹地型の特徴も有しており, 安定または浸食傾向の海岸である.
    浸食傾向の強い海岸では, 湾入率を大きくすることによって, 安定した海岸へ移行させることが可能である. しかし, 浸食傾向の海岸は漂砂の供給源でもあるため, 海岸全体を考慮した対策が望ましい.
    沿岸域の持続可能な発展のためには, 各海岸の自然状態の傾向維持や回復を目標とした沿岸域の利用・浸食対策が必要である.
  • ニューラルネットワーク (ANN) と情報論的エントロピーを用いた検討
    齋藤 和春, 三枝 博光, 渡辺 邦夫, Mahesh GAUTAMN
    2003 年 44 巻 5 号 p. 283-293
    発行日: 2003/12/10
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    本研究は, ボーリング掘削時の岩盤割れ目密度の前方予測を目的として, 核燃料サイクル機構地圏科学センターが実施した試錐調査結果を用いて, ニューラルネットワーク (ANN) モデルによる予測解析を実施し, 割れ目密度予測の可能性, 実測値と予測値の相関性を明らかにしたものである. さらに得られた推移確率行列 (マルコフマトリックス) および情報論的エントロピーを用いて予測精度の改善を試みたものである. その結果, 割れ目の数情報だけから, 割れ目の密度の予測がある程度可能であり, さらに, 情報論的エントロピーを用いることで精度を向上させることが明らかとなった. とくに, 地質状況・構造を十分に考慮した解析条件の設定により高い精度での予測が可能であることを示した.
  • 北川 修三
    2003 年 44 巻 5 号 p. 294-302
    発行日: 2003/12/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    新第三紀堆積岩にトンネルが掘削されたときにしばしば発生する膨圧現象に関して, 現場でよく見られる地山挙動の傾向と膨圧の有無を判定する1指標の提案について論じたものである. 施工事例の分析と模擬地山実験から, 膨圧は, 地山強度比が1を下回る程度にトンネル土被りが大きくなると発生すること, 膨圧現象の時間依存性成分は掘削時に発生する地山の三次元的な弾塑性変形に比べてそれほど大きくないこと, 膨圧の発生機構は地山種別による地山内の応力再配分の違いで説明できること, を示した. また, 膨圧現象の主要因は地山の弾塑性的挙動にあるとの視点から, 地山を構成する岩石試料の繰り返し一面せん断試験により求めた残留強度時の内部摩擦角が膨圧発生の有無の有力な指標になりうるとした.
  • 八百津地域および伊自良地域の例
    山口 卓哉, 小嶋 智, 矢入 憲二
    2003 年 44 巻 5 号 p. 303-312
    発行日: 2003/12/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    美濃帯のジュラ紀メランジュを構成する混在岩のボーリングコアを使用してトランジェントパルス法により室内透水試験を行い, 透水係数を測定した. 測定には, 中期ジュラ紀の上麻生ユニットに属し土岐花崗岩の接触変成作用を被った丸山コアと, 後期ジュラ紀から最前期白亜紀の金山ユニットに属する非変成の伊自良コアを用いた. その結果, 丸山コアは10-13~10-15m/sec, 伊自良コアは10-11~10-15m/secの透水係数を示し, ともに難透水性岩石であるが, 接触変成作用を被った丸山コアの方がより透水性が低いことが明らかとなった. また, 一般に透水性に影響を与えると考えられる, 混在岩の面構造と試料の長軸方向のなす角度と透水係数の間には相関はみられないのに対し, 透水係数と試料の間隙率の間には相関が見られ, 間隙率が大きいほど透水性が高いことが示された. また, 伊自良コアでは透水係数と試料に含まれる砂岩ブロックの割合の間に弱い相関が見られ, 砂岩ブロックの量が多いほど透水係数が高い.
    既存の資料を評価し, メランジュと推測される岩体について行われた原位置透水試験結果をまとめた. 同程度の深度で比較した場合, 室内試験で得られた透水係数は原位置試験で得られた透水係数より4乗~7乗オーダー小さな値であった.
  • 応用地形学研究小委員会
    2003 年 44 巻 5 号 p. 313-321
    発行日: 2003/12/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
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