空間の意味を,ユーザタイプに対する機能という点から記述する.空間の機能は,空間が内部に持つ部分空間やものの性質・機能とその構造に由来する.空間の機能を,適切に記述することで,特に建物や施設内の空間において,ユーザの要求に柔軟に応える空間機能検索システムを実現することができる.
前回,キーワード入力に対して,オントロジーをもとに関連する情報を収集し,整理して出力するシステムの概要について報告した.本報告では,固有表現抽出技術を利用して文書からキーワードを抽出し,その意味属性に応じて情報を収集するように改良した内容について述べる.その際に起こるいくつかの問題について整理し,特に姓だけが出現する場合の個人特定の問題(「山田さん問題」と呼ぶ)について議論する.
NEDOによる「材料技術の知識の構造化プロジェクト」は,材料種を限定しない領域に共通する材料知識の基盤となるプラットフォームの開発を目指し,様々なシステムの構築・材料知識の構造化を進めている.本稿ではプロジェクトにおける,オントロジーの利用の枠組みについて述べる.
オントロジを利用したポータルサービスを提供する際、利用者のニーズや流行によりオントロジが変化していくことが望まれる。本報告では、利用者の口コミ情報などのフィードバック情報を用いたオントロジ拡充技術による解決方式を提案する。更に本方式をインターネットタウンページのデータを使用して評価した結果を報告する。
RDFを用いてグループ情報を管理するグループウェアWorkWare++を紹介する.WorkWare++では,人・文書・スケジュール,といったオブジェクト情報と各オブジェクト間の意味的な関係をRDFで表現・管理することにより,通常のグループウェア機能の他,誰がどんな仕事をしているか,誰と誰が一緒に仕事をしているか,などを検索するKnowWho機能を有することを特徴としている.
製品の操作によって引き起こされる物理状態の変化を文書のメタデータとして活用する構想について述べる。そのメタデータの応用例として、取扱説明書の検索と、2つの製品の自動実行を示す。取扱説明書と,メタデータを用いた検索システムを比較し有効性を確認できた。また1つのメタデータから2つの製品を実行できることを確認した。
薬物-生体物質相互作用(DBI:Drug Biomolecule Interaction)は、薬物間相互作用のみならず、薬効の作用機作においても重要な概念である。そこで、薬物と生体物質の相互作用は薬理知識の使い回し可能な要素単位とみなせる立場のもと、これらを形式化し薬機能オントロジー DIO:Drug Interaction Ontology)として関係データベースへ実装した。このオントロジーの利用例として薬物間相互作用の予測を示す。さらに分子レベルの相互作用と生物機能・現象を繋ぐ3項関係の基礎概念について論じる。
RDF/XMLパージング機能を有し,N-Tripleフォーマットを扱うことができ,領域/値域制約,rdf:type包摂律,rdfs:subClassOf推移律を有するRDFSプロセッサを,リスプのオブジェクトシステムを用いて開発した.このプロセッサはfood.owl,wine.owlなどのOWLファイルも読み込むことができる.将来はこのプロセッサを元にOWLプロセッサを開発する.
ウェブサービスとセマンティックウェブを融合したセマンティック・ウェブサービスが注目されている.セマンティックウェブ技術により,エージェントがウェブサービスを発見,起動,合成,実行,監視することが求められているが,ウェブサービス・エージェントの一般的記述や要求は明らかになっていない.本報ではエージェントがウェブサービスを自動実行するときの諸問題について考察する.
本研究はユーザの情報検索を効率化することを目的として、情報検索システムの検索結果を構造化するための手法を提案する。一般にWeb空間における大半のコンテンツは構造化されておらず、その機能も異なっている。それにも関わらず、従来の情報検索システムは、構造化されたデータの検索を前提としたキーワードマッチング技術を用い、ユーザの入力したクエリに対し、そのクエリを含むデータの一覧をランキングという一次元の属性で表示していた。その結果として、それらWebコンテンツの集合である情報検索システムの検索結果もまた構造化されないため、ユーザは検索結果から必要なコンテンツを探す負担が生じ、情報検索は非効率になるという問題がある。本研究は、この問題を解決するために、検索結果の構造化を実現する手法を提案する。この提案では、Webコンテンツのカテゴリ、機能、形式、作成者、作成日時の五つの属性を持つように構造化し、これらの属性を抽出する。提案手法は、リンク元のWebコンテンツはリンク先のWebコンテンツに対してのアンカテキストを付けているWeb空間のハイパリンク構造に着目し、Webコンテンツの形式の推定を行う。この形式及びWebコンテンツの作成者、作成日時の抽出によって検索結果が構造化されるため、自身の目的に合ったWebコンテンツの情報検索が効率化されるだけでなく、Webコンテンツを活用した情報抽出が容易になることが期待できる。
セマンティックWebのメタデータを参照して検索を行うブラウザを開発した。メタデータの意味情報を利用して、意味検索を実現する。通常のWebとセマンティックWebを連携して検索する方式を提案する。
個人の相互理解を促進するために,文書管理ツール"CoreLibrary"を開発した.本ツールにより,個人の知識体系を可視化し,情報を流通させるだけでなく,情報の背景にある知識体系も流通させることができる.
営業日報、コールセンター応答履歴などのテキスト情報活用のためのアノテーションについて検討している。本報告では,営業日報の分析において「実際に起きたこと」と「起きなかったことや予定していること」の区別が重要であることに着目し,事象の生起に関するアノテーションを提案する。営業日報を対象とする予備評価を行った結果,生起/未生起のいずれのケースもある程度の頻度で生じていることからアノテーションの有効性を確認した。また,動詞や動作名詞のごく近傍の情報を手がかりとするルールだけで30~50%の精度が得られたことから,実用レベルでの自動付与が可能との感触を得た。自動学習も含めて自動付与方式の改良を検討することと,他分野への適用性を確認することが課題である。
本研究では,科学知創造・継承活動と知の概念体系のオントロジーを構成し,それに基づいた科学知マネジメント支援システムの開発を目指している.本稿ではシステムの中核になる組織知メモリの構成を中心に,支援システムが備える主要機能の構成について報告する.また,この研究をベースにしたソフトウェア科学知マネジメントに関する研究プロジェクトの構想を紹介する.