【目的】本研究では,医師の臨床データベースの構築作業の負担軽減のために,カルテテキストを臨床データベース化する自動要約システムの開発を行う. 【材料・手法】循環器分野を対象に,循環医が臨床データベースを構築する際に頻用される11項目 (性別,年齢,体重,身長,HbA1c,CRP,血圧,薬剤の使用歴,糖尿病の有無,喫煙の有無,飲酒の有無)に関して,ルールベースと機械学習を組み合わせることにより,自動で抽出を行う. 【結果・考察】機械学習による自動抽出では,高い精度で情報を抽出することができる可能性が示唆された.
症例報告文章を始めとした医療分野での自由入力文章には、標準病名マスターなど既存の標準用語集に基づくPost Coordinationでは表現できない病名の表記揺れが多数存在し、この正規化は医用文章からの知識獲得の際に解決するべき重要な課題である。本発表では自由入力病名に対する表記揺れの解消を目的とし、表記揺れ用語の文字情報と意味情報を統合した表記揺れ解消手法を提案する。また用語の意味情報を分散表現として獲得する際の手法による違いについて考察を行う。
X線CT画像を撮影する際,体内に金属片が存在するとメタリックアーチファクトが発生する.これにより金属周辺に画像欠損が発生し,読影する際の妨げになることがある.現在ではさまざまなメタリックアーチファクト低減手法がいくつか提案されているが,その精度には限界がある.特にペースメーカーリード由来のメタリックアーチファクトは,その出現部位によっては冠動脈の評価が困難になる場合がある.本研究では機械学習を用いてペースメーカーリード由来のメタリックアーチファクト低減手法を提案し,その低減精度の評価を行った.
[対象と方法]病理結果が判明しているMMG画像を分割して切り出し、癌あり/なしにラベル付けした。畳み込みニューラルネットワーク(CNN)に学習させ、精度を計測した。[結果]47282画像に対し、AlexNetモデルで正診率 96.6%、感度 93.9%、特異度99.2%、ResNetモデルで正診率95.2%、感度94.7%、特異度95.7%であった。またこの学習モデルを用いてMMGをスキャンし、癌が疑わしい部分を赤く光らせるアルゴリズムも作成した。[考察]MMGを自動読影できるようになれば乳癌検診の精度が向上し死亡率を減少させ得る。[結語]全国で利用できるシステムの構築を目指す。
眼底に発生する病気は失明のリスクが高く、早期に発見し対処することが望ましい。しかし診断には熟練を要するため十分な医師を確保するのが難しい。この問題を解決するために初期の診断を自動化し医師の負荷を軽減する必要がある。診断を畳み込みニューラルネットワークによる画像の分類問題としてモデル化する。眼科医師の診断プロセスをモデル化するために、光干渉断層計の網膜断層画像と眼底写真の2種類を合わせて畳み込みニューラルネットワークに入力し分類することで、それら単体のみを入力した場合に比べ高精度に分類する。
電子カルテはある患者に対する医療のイベントの時系列データを含んでおり、私たちは、そのデータから特定の疾病のための発症リスク予測モデルを作成することができます。 高精度を達成するためには、時系列の変化を捉えて、それを特徴量に反映することが必要です。患者は頻繁に通院することが少ないために、時系列データに対してCNNなどの高度な手法を使用することが難しいです。そのため、本論文では時系列データからの特徴量の抽出方法を提案します。実際の電子カルテデータを使用して実験を行い、提案手法がベースラインを上回ったことを確認しました。