製造業における生産工程の設計では,経験者が持つ経験知である不具合究明知識の初心者への移転が必要になっている.レナードとスワップは,実験的学習を通じて経験知を習得することが重要だと指摘した.しかし,具体的な経験知の表現方法や実験的学習方法を明らかにしていない.表現できなければ,経験知は暗黙知のままであり,熟練者から初心者への知識移転は個別的・非効率であるだけでなく再利用が困難である.本稿では,生産工程の不具合究明で必要な経験知を獲得するための生産工程を表現する生産知識表現(Production Knowledge Chart, PKC)を提案する.また,PKCで一般的な生産工程を表現することにより,提案手法の有効性を明らかにする.さらに,今後の展望について述べる.
インターネット技術の発達に伴い、様々なソーシャルネットワークツールが開発されている。そのようなツールが企業内の情報伝達手段にも用いられはじめ、Enterprise Social Media(ESM)と呼ばれている。ESMのうち、SlackやTeamsと呼ばれるツールが企業内でも広く導入され効果を生み出しつつある。しかしながら、これらのツールがどのような業務においても効果的なものではないこともわかりつつある。本研究では、知識の伝搬に着目しESMを活用するためのモデルを提案し、その有効性を確認する。
DXを支えるクラウド構築に必要なOSS技術は多様化しており,そのためOSSサポート技術者間の知識移転を高い確実性で迅速に行う必要性がある.我々は,OSS障害解析における障害原因仮説導出を支援するため,知識グラフと,それを表示・操作するツールを開発した.評価の結果,本ツールにより非専門技術者が専門技術者と同様に十分な精度で障害の原因仮説を導出できることを確認した.
2022年4月発足した「2030年の質価値創造研究会」は、中部地区の主に自動車分野のモノづくり企業が参画し、モノづくりからコトづくりへの変革と、社会課題解決に根差した新たな質価値創造に取り組んでいる。この観点から、自動車業界全体のサプライチェーンにおけるQC×DX×SDGsの具体的な指標づくりをめざし、それぞれの階層でそれぞれのリソースを無駄なくダブりなく、最適な質・価値を生み続け、業界全体の最適化を図るSDQキューブの作成を目指している。 本稿では、第1ステップとして、各階層の実際の現状と、あるべき姿をSDGs、DX,QCの3つの視点で見える化するために創案したテンプレートを提案する。本テンプレートを広く社会に提示し、各分野で同様の取り組みをはかっていくことで、社会全体でのリソースや取組の連携と最適化を目指していく予定である。
製品サービスシステム(PSS)など,モノ,コト,ITを対象とする複合的なサービスの設計が求められている.これまで,ArchiMateによるサービス設計モデルやサービス設計法が提案されている.しかし,サービス品質の分析法については明らかではなかった. 本稿では,ArchiMateを用いたサービス品質を分析するためのパターンを提案するとともに,具体的なサービス品質の分析に適用することにより,有効性を明らかにする.
筆者らはJupyter Notebookを使ったプログラミング演習において、学生の行動の解析をおこなっている。演習過程の実行ログを機械学習により分析する方法について検討した結果を報告する。