業務システム開発においては,構築するシステムの要素や構成に関する知識のみならず,そのシステムが自動化や効率化する対象となる業務そのものに関する知識が必要である.熟練者から若手・中堅に知識や経験を伝承するためにはまず記述する必要があるが,システム開発に必要な詳細度で業務に関する知識を記述すると,その記述量が膨大となり,結果として伝承に支障が出るという課題がある.本研究では,大規模な業務知識の一部をグラフ構造として記述し,知識の伝承を支援するインタラクティブな可視化手法を提案する.
我々は,車室内の音場特性のチューニング業務を行っている.このチューニング業務はエキスパートの聴感によるところが大きく,効率化や自動化が望まれる.チューニング業務においては,車室内の音場特性の測定を実施しており,この音場特性データを集めて活用することで,効率化や自動化が図れると考えられる.そこで,音場特性データの利活用を目的として,まずは音場特性データを蓄積するデータベースを構築したので報告する.
人手不足が常態化しているIT業界では,プロジェクト単位における円滑なソフトウェア開発が求められており,その解決策として,顧客とベンダー,上司と部下の相互理解や士気向上のために,様々なコミュニケーション手法が提案されている.しかし,実環境において手法を正しく活用するには,自身の感情および相手の受け止め方を客観評価し,相手に合わせて適切な手法を選択する必要がある.本研究では,脳活動や自律神経の評価に加え,眼の動きに着目し,コミュニケーションの客観評価の可能性を検討する.
これまで我々は,ワークショップ形式で若手を入れて熟練者を刺激し,暗黙知を抽出する技能抽出手法を提案していた.しかし,提案手法により,どれだけ暗黙知を抽出できるかの評価はできていなかった.そこで今回,業務現場におけるマニュアル活用度を用いた暗黙知抽出評価手法を考案した.
本研究では,R&Dプロジェクト初期段階での意思決定を支援するプラットフォームの提案を行い,そのプロトタイプを開発した.提案プラットフォームでは,Systems Approachに基づき,問題定義,システムモデリングを行い,モデルベースでの意思決定を支援する.ケーススタディとしてLNG燃料船の開発・導入に関して適用を行った.シミュレータの定性的な挙動を確かめるとともに,本プラットフォームの有用性について考察した.
知識・技術・技能の伝承支援研究会(SIG-KST)は2007年に人工知能学会第2種研究会として設立されて以降,これまで160編近い報告がなされている.これに対して古川は2014年度までのSIG-KST研究報告を対象に,視覚的な語彙を用いた体系化を提案し,精度を高めるには暗黙知・形式知の関係性などの重要性を指摘している.本研究では,この既存の体系化を知識科学・知識マネジメントの視点で新しい体系的な認識を提案し,同モデルを発展させることを目的とする.
船舶のタンク・ホールド内の点検にドローンを活用する動きがある.ドローンを活用することにより点検箇所へのアクセスが良くなる.一方,ドローンが撮影した画像は,撮影位置,撮影した部材,損傷の有無等の情報を理解することが困難な場面も予想されるそこで,ドローンが撮影したタンク・ホールド内画像から対象箇所の特定,塗膜健全性,損傷の有無を自動評価(画像認識)できるように,ディープラーニングによる画像認識を行い,実用化に向けたその精度を検証する.