RMapViewer(Reaction Map Viewer)[sato, et al. 2013, 2014]は,化学反応経路ネットワークを探索するためのインタラクティブな可視化環境である.化学反応経路ネットワークは,分子を構成する原子の理論上あり得る3次元構造をノードとし,それぞれのノード間での遷移可能性をリンクとする巨大ネットワークである.RMapViewerでは,分子デザインに携わる化学者が,着目するノードからの指定ステップ内遷移可能性や,二つのノード間の遷移経路の同定と比較といった探索タスクを行うことを目的として,可視化状態の遷移アニメーションと多視点並べ替えを擁したインタラクティブな可視化環境である.本論では,RMapViewerが提供するインタラクティティを列挙し,化学者の思考過程とビジュアルインタラクティビティの関係を考察する.
本発表では,複数ユーザ間の関係を可視化するコミュニケーション支援システムを提案する.文書の共同執筆や企画立案などの共同作業では,他者との考えの共通・相違を認識し,全体の方針を決定するプロセスが必要となる.提案システムではこの作業を共同作業のためのコミュニケーションとして捉え,キーワードベースでユーザ間の関係を可視化することで支援する.配置の主体となるユーザをインタラクティブに変更可能とすることで,多様な視点からの検討を可能とする.
マイクロフィルムに転写された新聞紙面画像のデジタル化に合わせて,記事に容易にアクセスできる新聞アーカイブシステムKENBUNの構築を進めている.本発表では,開架本棚を歩き回り書物を探し出すようなブラウジングを,新聞記事を対象に円滑に行えるズーミングインタフェースのデザインについて述べる.検索システムのように質問用語を用意せずともよく,予期せぬ発見も得られるブラウジング指向システムにおける効果を検討する.
本発表では,オンラインニュースの定期的なモニタリングを支援する情報可視化システムを提案する.オンラインニュースは主要な情報源の一つとなっているが,新着記事が絶え間なく到着し,常時モニタリングすることは困難である.興味ある話題を見逃すことなく効率的にモニタリングするために,提案システムでは以前関心を抱いた話題の続報提示,モニタリングするタイミングを判断する手がかりの提示によりモニタリングを支援する.
我々は,これまでに,複数の国の新聞を比較することにより,それぞれの新聞が代表する各国の興味の違いなどを分析する新聞比較システムNSContrastの開発を行ってきた.本論文では,複数の国の新聞に関する大規模データベースであるGlobal Database of Events, Language and Tone(GDELT)を紹介すると共に,そのデータに基づいた解析事例を紹介し,その解析結果に基づいた考察を行う.