データの多段的な利活用においては、アカウンタビリティや検証可能性の観点で、その来歴情報や品質情報をメタデータとして整備し、データと併せて流通させる必要がある。品質の観点では、データが標準に準拠していることが望ましいが、単に「準拠している」という事実に加えて、その信頼性の評価や経緯・根拠の記録が課題となる。また、多段的に利用されるデータがその来歴と繋がるためには、DOI のように派生元を一意に識別する仕組みが欠かせないが、データセット集合の一部を利用している場合など、どのような粒度や仕組みで参照させるかという課題が残る。本研究では、DCAT / prov-o / DQV を用いて来歴および品質情報を記録する試行検証を行うことで、その実現可能性を確認し併せて今後の課題を抽出した。
近年,観光業は成長産業として期待され,その経済効果には強い関心が寄せられている.一方,比較的新しい観光の形として,コンテンツツーリズムがあり,その一つとしてアニメーション作品の聖地巡礼がある.アニメの舞台になった地域を訪れるファンの行動は,地域経済に大きな影響を与えることが知られている.そこで,本発表では,「アニメの聖地巡礼を起点とし周囲の観光地を訪問する」というシナリオに沿ってデザインした,アニメの情報と観光情報を統合した知識グラフについて議論する.
本研究の目的は,無機材料の分析に際し,分析依頼書の内容から最適な分析手法を推薦するシステムに組み込むオントロジーを構築することである.分析依頼書に記載された分析目的を部分行為に分解し,その部分行為を達成する分析手法を出力するよう概念を定義する.加えて,その分析手法が用いる分析装置が適切かどうかを判断するために分析条件と結び付けて概念を定義する.これにより,分析目的が与えられたとき分析手法と分析装置の条件を結び付けて,最適な分析手法を推薦することを目指す.
本研究では、日本各地の餅文化を可視化し、地域と郷土料理の関係を深く理解するためのWebマップ「もちマップ」を開発してきた。しかし、これまでのシステムでは餅の構成要素や製法、文化的背景といった詳細情報の体系化が不十分であり、餅文化の多様性を包括的に捉えるためのオントロジーが未完成であった。そこで、本研究は特定の餅の詳細なオントロジーの基礎構築に主眼を置き、材料、製法、用途、地域性、歴史的背景といった要素を整理し、それらの関係性を体系化することを目指した。今後の「もちマップ」への統合を目指している。
To reduce development time, we are creating a chatbot system using Retrieval-Augmented Generation (RAG) to handle specialized inquiries. Challenges include the unfamiliarity of Large Language Model (LLM) with specific terms and the handling of ambiguous queries. We propose using a knowledge graph to supplement terms with explanations, synonyms, and hierarchical concepts. We developed a method using LLM to construct knowledge graphs for RAG more efficiently, maintaining accuracy while significantly reducing processing time compared to traditional methods. This paper details the methods for automating synonym and hierarchical relationship estimation using LLM.
平安中期に書かれ「世界最古の長編恋愛小説」と呼ばれる源氏物語には、約400人もの人物が登場する。しかし、登場人物に固有名詞を与えず、役職や地位で呼称するという当時の文化から、日本古典文学における登場人物や内容の分析において妨げとなっている。そこで、本研究ではそれぞれの登場人物に対して呼称の条件を網羅し、知識グラフを提案する。さらに、知識グラフを基盤とする登場人物間の関係性を表し、その有用性を確認する。
地域の民俗資料館に多く所蔵されている民具は地域の文化と歴史において重要な資料である。民具の管理には地域性や用途、時代の関連性など、様々なメタデータが必要となる。しかし、少人数での管理体制や情報学の知見、技術者の不足などにより、効率的な管理が困難である。本研究では、民俗資料館の所蔵されている民具を対象に保存・管理のためのオントロジーを構築し、効率的な民具の保存・管理とデジタルアーカイブの構築を試みる。
Many life science data have been published in RDF. In general, life science data are diverse and store knowledge about various relevant concepts and relationships among them. These concepts include proteins, genes, compounds, and diseases, and are represented by identifiers in databases. To understand biological phenomena, it is crucial to extensively investigate their characteristics and relationships among them, and it is ideal to use one and only identifier for a concept over the databases, but in reality, multiple identifiers are often used for a concept. The Database Center for Life Sciences (DBCLS) has gathered life science RDF data and published them at RDF Portal. Here, we have investigated the synonym URIs in it and examined the challenges and future works.