年次報告書のように同一テーマで複数年に渡って毎年書かれる報告書では、各年の報告書の差分理解が重要であり、そのために報告書全体を確認する必要がある。本研究では、tf-idfの重みづけにより各年度の報告書からキーワードを抽出、その変化から各年の差分を自動的に検出して、各報告のトピックとして提示するシステムを開発、実際の報告書データに適用してその有効性を示した。また、複合語対応など今後の課題を明確にした。
本研究の目的は、自身が体験した困難な経験を全く別の課題に対して類推することが、創造活動において役立つことを証明することにある。困難な経験を試行錯誤の上に得られた鮮明な制約の集合体と定義し、困難の制約がもつ意味と構造が他の問題解決において果たすについて分析した。また得られた知見から、困難な経験を活用した創造活動支援システムであるDiAnaの提案および評価実験を行った。
経営環境の変化や時代の流れに対応して事業の展開を図ろうとする場合、大企業や中小企業を問わず、技術・技能等のコアコンピタンスを生かせる本業周辺の事業領域を選択することは、重要な経営の意思決定である。本発表では、本業に固着しがちな既成概念の枠組みを超えて、既存の2つの商品やサービスの構成要素を組み換えることによって、新たな事業ドメインの展開に気づいてもらうリフレーミング手法を提案する。
ステークホルダーの意図と関連しながら動的に発生する前提制約、派生制約を束ね、これをバランスドスコアカードの考え方と結合した「都合ルーレット」について述べる。都合ルーレットによって潜在していた問題と解決策を表出化し、ソリューションに至る視点を具体化する効果を、実際の使用事例に基づいて示す。
制御対象が広範に分散し、人・物理環境と直接インタラクションするCyber Physical Systemの実現には、安全性を考慮した設計が重要である。システムの安全性を脅かす要因のひとつが、設計時に想定しなかった(できなかった)想定外シナリオである。本研究では、対象システムのステークホルダに、「手段の実現により要求が達成される」の演繹的なルールが否定される事例を階層的に問うことで、設計者に想定外シナリオを認知させる手法を提案する。
これまで溶接,研磨,レーザ切断など複数の加工について加工事例に基づくWebベースの加工支援システムを研究してきた.技能は加工事例に存在するとして,加工事例の記述を定義し,収集し,データベースに蓄積した.そして,加工事例の中から技能を可視化するために,加工条件の比較手法を研究した.特に,アーク溶接ビード外観写真やレーザ切断断面写真など画像情報のためには画像に適した検索評価システムを開発した.
項目反応理論は、複数の評価項目に対する回答パタンに基づき、回答者の能力や評価項目の特性を測定するテスト理論であり、異なるテスト間の比較を容易にしたり、能力をきめ細かく測定できるなどの特徴がある。本発表では、項目反応理論を用い、任意の人物が同じカテゴリの製品の中から特定のブランドを見分ける力をどの程度有しているか調べるためのテストを作成した事例を紹介する。
造船所における船首尾を構成する曲がり外板の加工方案の設計は、木型を板の上に固定して行う見通し線による目線確認の結果に基づいて属人的に行っている。本研究では、実物の木型による評価の代わりに職人が曲がり外板と木型を使って行う加工方案設計プロセスを計算機上でバーチャルに行う機能、加工方案の自動生成機能、バーチャル環境での設計履歴の記録機能を開発した。開発したシステムにより、加工プロセスの設計ルールを知識として抽出する。