本研究では,撮影した卓球の返球動作を解析し,その卓球技能の評価についての検討を行った.具体的には,大学生を対象にして,卓球のフォアハンドストロークの連続画像から,TAMネットワークを用いて動作解析を行い,技能評価との関係を検討した.また,各プレーヤーの卓球技能を評価クラスとし,卓球アドバイザーの意見も参考に,ネットワーク構造から技能レベルの評価をファジィルールとして獲得して,技能レベルの入力変数の優先順位を求めた.
動作分析は,三次元動作解析装置などを用いて,詳細に行われるようになってきた.正常歩行などの基本動作の分析は生得的な基本パターンからの逸脱の度合いなどで評価される.その度合いを量的に評価することになる.舞踊動作は振り付けという形式の中での表現であり,基本パターンの組み合わせではあるものの,修飾的な動作が付加されるためにその特徴やスキルの量的な評価は困難である.今回,3種類の舞踊の動作分析を行い,舞踊のなかの歩行パターンを比較し,舞踊の基本的なスキルの特徴を質的に評価することを試みた.
ものごとの変遷を観察するためには,一定のサンプリングレートを通した観察で十分だろうか.周波数帯ごとに同時に観察する方法(多重解像度解析)を通すことで,運動の新たなつながりが見えてくる.今回は,一対一の駆引き(水平方向追従動作)を例に,個人の重心間の相互作用ダイナミクスを多重解像度で観察してみた.部位と部位とのつながり,高周波から低周波への流れ,時々刻々の変遷など時空間周波数関係として運動を考えていきたい.
熟練ピアニストとピアノ初心者の打鍵動作の動力学的特徴の違いについて検討した.その結果,ピアニストは初心者に比べ,より多くの運動依存性の力を利用し,それにより,運動のエネルギー効率を高めていることが明らかとなった.
野球指導者が投手を観察・指導する際に何を見,何を注意するのかを複数の熟練野球指導者へのインタビューから抽出した.どこに共通点があり,各指導者特有の視点はどこにあるのかについて報告する.