シェーグレン症候群(SS)に関する小唾液腺生検の組織診断基準については厚生省基準は小葉内導管周囲に50個以上の単核細胞の浸潤が「同一小葉内に少なくとも一カ所以上認められること」であり, Chisholmらの基準では「4mm
2に一個以上認められること」となっている.この両者を検討し,いずれがより妥当であるかを明らかにすることを目的とした.方法は眼乾燥,或は口腔乾燥を自覚し,又は自己抗体の陽性等があった症例245例について口唇小唾液生検のHE組織像で各症例面積,即ち4mm
2, 1小葉,および1小唾液腺当たりのfocusを算定し,比較した.その結果, 1小葉の平均サイズは0.70mm
2に相当した.眼と口腔の両方に客観的な乾燥所見があればSSありと規定し,両方に客観的な乾燥所見なければSSなしと規定すると,厚生省の組織診断基準の特異度は93.3%であったが,感度は23.5%であった. Chisholmらの組織診断基準を用いると,感度は72.1%, 特異度は80,0%であった.従って,現行のSSの診断基準とは別に客観的な目と口の乾燥所見を有するものをSSと規定した場合,その診断基準としては4mm
2に1Focus以上の基準を取り入れる方が良いと考えられた.
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