症例は62歳女性. S 47年より強皮症(SSc)で経過中に,全身倦怠感,浮腫,呼吸困難のため,当科入院.レイノー症状, SSc所見に加え, SLE様所見, DM様所見,抗RNP抗体陽性よりMCTDと診断.さらに,急速に進行する不可逆性の腎不全と肺胞出血, MPO-ANCAと抗GBM抗体の陽性を認め,顕微鏡的PANの併発を考えた.その後,ステロイド大量療法を継続し,一旦病像は回復したが,再度,急速進行性間質性肺炎を呈し,永眠.死亡時の組織所見で,間質性肺炎と肺胞出血,半月体形成性糸球体腎炎を認めた.本症例は,臨床経過や検査所見,組織所見から, MCTDに治療抵抗性の一次的な顕微鏡的PANを併発したと考えた.また,最近, MPO-ANCAと抗GBM抗体の共存例が多数報告されており,顕微鏡的PANとGoodpasture症候群の範疇と病態形成機序を再考させるものであった.以上,本例は極めて稀で且つ示唆に富む貴重な症例と考えられた.
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