日本東洋医学雑誌
Online ISSN : 1882-756X
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67 巻 , 2 号
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原著
  • 小橋 重親, 井齋 偉矢, 富山 知隆, 中島 俊彦, 竹田 眞
    67 巻 (2016) 2 号 p. 109-113
    公開日: 2016/08/18
    ジャーナル フリー
    流涙や眼脂の原因となる鼻涙管狭窄症に対しては,鼻涙管ブジー法が一般的に行われている治療法である。鼻涙管ブジー法で軽快しない57歳,女性の涙目に柴蘇飲を投与したところ,3日で軽快したことを経験した。その後の検討で,成人11例中10例(90.9%)において柴蘇飲が鼻涙管狭窄症に有効であった。成人は全例,眼科で鼻涙管狭窄の診断を受けており,うち9例が鼻涙管ブジー法を行っていた。また幼児の流涙2症例も柴蘇飲の投与で,1週間で流涙が改善した。鼻涙管狭窄症による流涙に対しては,柴蘇飲が治療の選択肢になり得ると考えられた。
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基礎報告
  • 笛木 司, 牧野 利明, 松岡 尚則, 別府 正志, 須永 隆夫, 田中 耕一郎, 並木 隆雄
    67 巻 (2016) 2 号 p. 114-122
    公開日: 2016/08/18
    ジャーナル フリー
    簡便かつ抽出効率に優れた煎じ薬の調製法の開発を目的として,中国宋代の「煮散法」を参考に,粉末生薬を熱湯に浸漬して成分抽出を行う「IPCD(immersing powdered crude drugs)法」を試みる中,課題であった浸漬液と泥状生薬残渣の分離法を検討した。マオウ末を不織布パックに封入して熱湯浸漬した場合,そのまま熱湯中に分散させて抽出した場合に比べ,指標成分の浸漬液への移行量が著しく減少し,不織布パックの使用がIPCD 法に不適であることが示された。簡便で効率的な分離法を求め,市販のワインカラフェを用いたデカンテーションを試みたところ,実験を行った7処方中6処方について,刻み生薬を茶漉しで濾別する場合の80%前後の浸漬液が回収された。以上のことから,IPCD 法における固液分離は,ワインカラフェを用いたデカンテーション法を用いることで実用に足ることが示された。
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臨床報告
  • 具志 明代, 郡山 千早, 吉永 亮, 矢野 博美, 津曲 淳一, 田原 英一
    67 巻 (2016) 2 号 p. 123-130
    公開日: 2016/08/18
    ジャーナル フリー
    2010年9月から1年間に受診した痤瘡患者908例(女性783例,男性125例)中,3ヵ月以上(最長約2年)の標準治療で改善がみられなかった難治例245例(平均年齢26.5歳,女性199例,男性46例)に対し,漢方治療を行った。 本研究では,これらの症例について漢方治療の有効率を後方視的に検討した。女性199例中163例(82%)が駆瘀血剤(桂枝茯苓丸加薏苡仁・桂枝茯苓丸・当帰芍薬散・加味逍遥散・桃核承気湯)の適応であった。有効率は,駆瘀血剤単剤使用群と複数使用群,または駆瘀血剤と他剤(清上防風湯,荊芥連翹湯他)併用群を合わせると76%であった。駆瘀血剤単剤使用群と比べ,2剤以上併用群が,又20歳以下群に比べ21歳以上群の有効率が有意に高かった。 男性は荊芥連翹湯と清上防風湯は有効率がそれぞれ78%(18/23例),70%(14/20例)とほぼ同等であった。以上のことより難治性痤瘡に対して,女性で21歳以上は駆瘀血剤,男性は荊芥連翹湯又は清上防風湯が有効な例が多かった。
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  • 中江 啓晴, 小菅 孝明, 熊谷 由紀絵, 田中 章景
    67 巻 (2016) 2 号 p. 131-136
    公開日: 2016/08/18
    ジャーナル フリー
    パーキンソン病患者の便秘に対する麻子仁丸の有効性を検討した。対象は便秘のあるパーキンソン病患者23例。 麻子仁丸を投与し1ヵ月後に効果の有無を確認した。効果判定は排便の頻度で行い,排便の頻度が増加したものを有効,変化がなかったものを無効,低下したものを悪化とした。以前から下剤を内服していたものについては麻子仁丸に切り替え,同様に判定した。有効率は全体では78.3%,悪化例はなかった。副作用を認めたものは13.0%でいずれも下痢であった。以前に下剤を内服していなかった15例では有効率86.7%,以前から下剤を内服していた8例では有効率62.5%であった。麻子仁丸は下剤を内服していなかった患者に対して高い有効率を示し,また以前から下剤を内服しているが効果が不十分な患者に対して便秘を悪化させることなく切り替えることが可能であった。 麻子仁丸はパーキンソン病の便秘に対して適切な処方の一つと考えられた。
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  • 石山 良平, 古谷 陽一
    67 巻 (2016) 2 号 p. 137-143
    公開日: 2016/08/18
    ジャーナル フリー
    目的:末梢性顔面神経麻痺に対する接触鍼の治療効果を検討すること。
    研究デザイン:症例集積研究
    方法:対象は接触鍼で治療を行った末梢性顔面神経麻痺15例(2008年4月1日から2013年3月31日までの初診,Bell 麻痺13例,Hunt 症候群2例)を検討した。完全治癒は発症6ヵ月頃までに麻痺スコア(柳原法)が36点以上に回復かつ中等度以上の病的共同運動が残存していない状態とした。
    結果:全例とも耳鼻科の標準的治療を受けていた。男性6例女性9例,年齢中央値65歳(範囲23‐84歳),発症から鍼治療開始までの日数は中央値13日(範囲10‐105日),ENoG 値10%未満は8例であった。完全治癒は8例,ENoG 値10%未満の例に限ると2例であった。
    結論:末梢性顔面神経麻痺に対する鍼治療では置鍼や鍼通電に限らず,接触鍼も有効である可能性が示唆された。
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  • 松本 淳, 村田 一知朗, 宮崎 渚, 西脇 亜由子, 名和 隆英, 牛越 博昭, 湊口 信也
    67 巻 (2016) 2 号 p. 144-149
    公開日: 2016/08/18
    ジャーナル フリー
    症例は腹痛と下痢を主訴とする10歳女児。7歳時から腹痛を伴う便通異常が出現した。症状が持続するため,小児科や消化器内科にて入院・精査され,IBS と診断された。投薬治療を受けたが著明な改善が見られないため鍼治療開始となった。
    鍼灸治療開始時の排便回数は1日5回から10回,便性状は軟便が主であり,強い便意切迫感,排便時腹痛を伴い,なかなかトイレから出られない,学校の早退,食事に対する不安などの生活の質(QOL)の低下を認めた。鍼灸治療開始後に腹痛の軽減傾向と排便回数の減少傾向が得られた。消化器症状QOL 評価表であるGastrointestinal Symptoms Rating Scale の下痢と便秘の尺度は鍼灸開始後2ヵ月後には減少し,治療を継続した1年後まで初診時より良い値を示した。鍼灸開始後に症状と QOL の改善傾向が得られたことから,本症例に鍼灸治療が有用であったと考えられた。
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  • 原田 佳尚
    67 巻 (2016) 2 号 p. 150-154
    公開日: 2016/08/18
    ジャーナル フリー
    脳出血の既往がある患者の持続性吃逆に対して半夏厚朴湯が奏効した2症例を経験したので報告する。症例1は49歳男性で,脳出血の既往があり,熱中症から誤嚥を契機に持続性吃逆となった。腹診所見で心下痞鞕を認めた。 塩酸メトクロプラミドと芍薬甘草湯を投与したが改善なく,半夏厚朴湯に変更すると1時間後に症状消失した。症例2は64歳男性で,脳出血から28日後に持続性吃逆となった。腹診所見で心下痞鞕と小腹不仁を認めた。同様に塩酸メトクロプラミドと芍薬甘草湯が無効であったため,半夏厚朴湯に変更すると7時間後に症状消失した。いずれもその後再発せず経過した。持続性吃逆に対して半夏厚朴湯の有効性が期待され,投与を検討する価値があると考えられた。
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  • 阿南 栄一朗, 織部 和宏
    67 巻 (2016) 2 号 p. 155-160
    公開日: 2016/08/18
    ジャーナル フリー
    症例は56歳女性。38°C台の発熱が続いたため当院を受診した。胸部X 線写真と胸部単純CT 写真にて両側肺野に散在する浸潤影を認めた。肺炎と診断し抗菌薬を投与,浸潤影は改善,解熱した。1ヵ月後,5ヵ月後に再度肺炎を発症。抗菌薬投与により軽快したが,過去4年間を確認すると年2~3回は肺炎を発症していたため,肺炎予防のため少量マクロライド療法及び去痰剤を開始した。しかし,4ヵ月後再び肺炎を発症。抗菌薬を投与して軽快した。肺炎を短期間で繰り返すため,滋陰至宝湯を投与した。すると,以後1年半に渡り肺炎の発症を認めなかった。 高齢社会となり,肺炎による死亡率も益々増加している。抗菌薬投与単独では,一旦肺炎は改善しても,再度肺炎を起こす患者を経験することも多い。いかに,肺炎発症を抑制していくかも重要となる。われわれは,肺炎発症の抑制に滋陰至宝湯の効果を認めた症例を経験し,同様の報告例は本邦で少なく,今後の症例蓄積が重要と考えられた。
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  • 篁 武郎
    67 巻 (2016) 2 号 p. 161-163
    公開日: 2016/08/18
    ジャーナル フリー
    症例は54歳女性。約1年前に職場で殴られて以降,全身の痛みが出現し,元来よりあった冷えが増悪した。恐傷腎による陽虚水泛と診断して桂枝加苓朮附湯を主体に八味丸を兼用したところ症状が軽快した。主として桂枝加苓朮附湯の補腎利水作用による効果と考えられた。
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  • 坂本 篤彦, 貝沼 茂三郎, 木下 義晃, 鶴田 良介, 日高 孝子, 栗山 一道
    67 巻 (2016) 2 号 p. 164-168
    公開日: 2016/08/18
    ジャーナル フリー
    過換気発作で救急外来を受診した5症例に対し,両側胸脇苦満,心下痞鞕ならびに腹直筋の異常緊張を根拠のひとつとして四逆散を投与し,速やかに症状が改善したので報告する。症例1は47歳女性,症例2は18歳女性,症例3は23歳女性,症例4は39歳男性,症例5は40歳男性で,いずれも呼吸困難とテタニーを主訴に救急受診し,腹部診察上,両側胸脇苦満と心下痞鞕,両側腹直筋緊張が著明であった。症例1—4は四逆散エキス2.5g 温服で速やかに改善した。症例5は内服不可能でジアゼパムを筋注したが,しびれの残存を強く訴えたため四逆散エキスを内服したところ速やかに症状改善した。過換気発作に対する漢方治療として四逆散が有用である可能性が示唆された。
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  • 江崎 裕敬, 井口 貴文, 谷脇 正哲, 山本 裕貞, 土井 宏, 三宅 隆之, 桜田 真己
    67 巻 (2016) 2 号 p. 169-177
    公開日: 2016/08/18
    ジャーナル フリー
    心不全に対する西洋医学的治療は飛躍的に進歩しているが,西洋薬と機械的補助を用いても治療に難渋する症例は未だ存在する。このような重症難治性心不全患者に対して推奨されている標準治療に加え漢方薬を用いることで病態の改善が得られるかは判然としていない。そこで当院にて過去2年間に木防已湯を用いた重症難治性心不全患者を後ろ向きに検討した。研究期間は2013年4月から2015年4月とし,この期間に木防已湯が投与された患者12人の自覚症状の変化,血清 BNP 濃度,左室駆出率などについて後ろ向きに検討した。投与前後で血清 BNP 濃度は796.8 ± 830.8 g/ml から215.6 ± 85.5 pg/ml(p < 0.01)へ減少し,全例において自覚症状の改善を認めた。左室駆出率含め他のパラメーターに関しては有意差を認めなかった。西洋医学的対処が限界に達した患者において木防已湯の投与は有用である可能性が示唆された。
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  • 小池 宙, 堀場 裕子, 渡辺 賢治
    67 巻 (2016) 2 号 p. 178-183
    公開日: 2016/08/18
    ジャーナル フリー
    はじめに:抑肝散加芍薬厚朴に良好な反応を示した不随意運動を有した1例を経験したので報告する。
    症例:17歳の男性。6年前から突然体が反り返るような痙攣様の不随意運動を認めていた。精神科・神経内科等を受診し加療を受けるも改善を認めていなかったため,漢方治療を希望し受診した。抑肝散加芍薬厚朴を煎剤にて開始したところ不随意運動は徐々に軽減した。
    考察:抑肝散は明代の薛已の創方とされる。江戸時代に日本に伝えられ,様々な加味方も使用された。大塚敬節は先人の加味方を基礎に抑肝散加芍薬厚朴を考案し使用した。抑肝散加芍薬厚朴はエキス剤にないため昨今では使用される機会は多くないが,本例のように有効な緊張興奮を伴う症例には有効である。抑肝散との使い分けについては今後さらに研究が必要であると考えられる。
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調査報告
  • 伊藤 隆
    67 巻 (2016) 2 号 p. 184-190
    公開日: 2016/08/18
    ジャーナル フリー
    一般用漢方製剤の副作用について,厚生労働省のホームページの副作用情報より,2005年度から2014年度の10年間の件数,内容と変化について検討した。一般用漢方製剤の件数は合計367件であるが,2014年度43件は2005年度16件に比較して3倍弱であり,全体としても増加傾向がある。内容としては,肝機能異常151件,薬疹・過敏症54件,肺障害51件が多い。原因製剤としては,防風通聖散110件,葛根湯45件,八味地黄丸15件,大柴胡湯14件が多く,防風通聖散と葛根湯による副作用事例は増えている。副作用の内容としては,防風通聖散には肝機能異常65件,肺障害23件であり,葛根湯には薬疹・過敏症が21件みられる。一般用漢方製剤により肝機能障害,肺障害などの医療対応を要する副作用が増えている現状は問題である。防風通聖散と葛根湯は副作用の半数弱を占めており,今後の販売等に適切な改善を期待したい。
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短報
  • 髙田 久実子, 蛯子 慶三, 木村 容子, 伊藤 隆
    67 巻 (2016) 2 号 p. 191-194
    公開日: 2016/08/18
    ジャーナル フリー
    近年,日本ではインターネット販売により,鍼灸師や医師以外の者が医家向けの管理医療機器を安易に購入し購入使用するケースも少なくない。プラスチックとシールが一体になった円皮鍼(以下パイオネックス®)は操作性がよく,これまでの報告では有害事象もテープによる皮膚炎程度で安全性が比較的高く広く普及している。今回,患者が貼付していたパイオネックス®を剥離した際にプラスチック部が破損し鍼先が身体に挿入されたままになり,伏鍼などの事故につながる可能性のあった事例を経験した。患者は自己判断で購入し長期間保管して使用期限を10ヵ月過ぎたパイオネックス®を約3週間貼付していた。プラスチックは性質上劣化をおこすものであり紫外線や水,衝撃などでも破損することがある。使用期限を守ることはもちろん,貼付期間が長くなると劣化が進む可能性があり,使用上の注意喚起が改めて必要と考え急ぎ報告する。
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総説
  • 高橋 秀実
    67 巻 (2016) 2 号 p. 195-203
    公開日: 2016/08/18
    ジャーナル フリー
    「未病(みびょう)」は,およそ2200年前「黄帝内経」の中で提示された概念であり,そこでは「聖人は,未病を治す」と記載されていたが,その実体に関しては不明であった。21世紀に入り,様々な疾病を引き起こす「自然炎症」という新たな概念が提唱されるに至った。「自然炎症」は,我々の体表面に配置された「自然免疫システム」が,外来性病原体の特徴的分子パターンPAMPs,あるいは破壊された体内細胞由来核酸群の分子パターンDAMPs を構成する脂質,核酸群を,それぞれ固有のtoll-like receptors(TLRs)あるいはNLRs(NOD-like receptors)を介して認識・応答することによって惹起される自己修復の過程であり,この「未病」に相当すると考えられる。 漢方薬は,そのような「自然炎症」を制御し,バリアを修復・強化する作用を有し,「未病」の進展を防ぐものと推測される。
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