日本蚕糸学雑誌
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47 巻, 3 号
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  • 山本 俊雄, 蒲生 卓磨, 広部 達道
    1978 年 47 巻 3 号 p. 181-185
    発行日: 1978/06/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    インドネシヤ多化蚕系統においてみいだされた着色非休眠卵 (pnd) の連関分析を行った。その結果pndKと連関し, 第11染色体上に座乗することが明らかになった。K-pndの2遺伝子間の組換実験ならびにK-mp-pndによる3点実験を行い, pndの座位を30.5と決定した。また, これまで24.0とされてきたmp遺伝子の座位を28.6に改めた。
  • II. 摂食抑制要因
    平尾 常男
    1978 年 47 巻 3 号 p. 186-192
    発行日: 1978/06/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    電気生理学的手法により, カイコの味覚パターンを指標として, 桑葉粉末, 脱脂大豆粉末を主成分とする人工飼料中に認められる摂食抑制要因, すなわち摂食促進性入力 (LS, LI細胞の活性) を抑制する酸および摂食抑制性入力 (R細胞の活性) を引き起こすと同時に前者のLS細胞を抑制する脱脂大豆粉末中のR細胞刺激物質等が, 幼虫の摂食反応および成育などにおよぼす影響について, 交雑種日124号×支124号を用いて検討を行い次のような結果を得た。
    1. 飼料中のクエン酸添加量の減量と脱脂大豆粉末の70%エタノール洗浄処理によって, 対照の飼料に比し摂食促進性入力の抑制と摂食抑制性入力の活性とがかなり軽減され, 桑葉に対する味覚反応パターンにかなり近似したものとなった。
    2. 摂食反応の観察から, 摂食抑制要因を除去した飼料と対照の飼料とを混合して給与した場合にカイコ幼虫は明らかに前者を選択する傾向がみられ, また単独給与においては, 摂食抑制要因の除去によって食下量増加の傾向がみられ, 特に起蚕餉食時の喰いつきにその傾向が強くあらわれた。
    3. また全齢飼育において, 摂食抑制要因を除去した飼料給与の場合に, 経過日数の短縮, 体重および全繭重, 繭層重などに増加の傾向がみられた。
    4. 以上の味覚反応と摂食反応とを同時に対比しつつ行った実験結果から, 飼料に対する摂食性を考える場合には, 飼料中の味覚性物質のバランスが重要であり, 摂食促進性入力の抑制や摂食抑制性入力の活性化との関係を考える必要があることを調強した。
  • 斎藤 英毅, 山田 則幸, 中西 宏, 松尾 卓見
    1978 年 47 巻 3 号 p. 193-200
    発行日: 1978/06/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    F. lateritium f. sp. moriF. solani f. sp. mori の数菌株について, 土壌浸出液中における厚膜胞子の形成度を検討したところ, F. lateritium f. sp. mori は形成し難いか, またはわずかに形成し, F. solani f. sp. mori は多くの厚膜胞子を形成した。しかし, 形成量は両菌とも菌株によってかなりに異なることが認められた。自然土壌中では, F. lateritium f. sp. moriF. solani f. sp. mori に比し生存し難い傾向がみられた。自然土壌中での生存に関する実験を春に開始した場合と秋に開始した場合を比較すると, 一般に前者よりも後者の方が土壌中での生存の減少はゆるやかであった。クワ芽枯病発病桑園の土壌からは重要な病原菌の F. lateritium f. sp. mori は年間を通じて検出されず, F. solani f. sp. mori および F. solani f. sp. pisi はわずかながら分離された。この他に非病原菌の F. solani, F. roseum‘Semitectum’‘Equiseti’‘Graminearum’‘Culmorum’, F. oxysporum どが分離された。土壌を深さ別にみると, 深くなるに従い Fusarium の菌数は減少する傾向がみられたが, 表土近くと深さ50cmの地点での種または cultivar の違いは顕著にはみられなかった。
  • 角田 素行, 山下 興亜
    1978 年 47 巻 3 号 p. 201-208
    発行日: 1978/06/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    家蚕の中腸トレハラーゼの活性および細胞内局在性を幼虫1~4齢期を通じ, また幼若ホルモン様物質および脱皮ホルモンを用いて, 変態時期を人為的に支配した場合について調査し, 変態期にみられた変動パターンと比較検討した。
    その結果, 中腸トレハラーゼ活性は幼虫の発育経過に対して指数関数的に増大したが比活性はほぼ一定の範囲内にあった。またその活性の大半は顆粒分画に回収された。ホルモン処理によって変態の時間経過を人為的に調節した場合, 中腸トレハラーゼの活性および細胞内局在性は吐糸開始時期に依存して大きく変化した。
    これらの事実から, 中腸トレハラーゼの細胞学的ならびに酵素化学的変動は変態に伴う特異的な現象であることが示され, この変動の機構の解明が中腸の変態現象の理解に有効であると考えられた。
  • 渡部 仁, 前田 進
    1978 年 47 巻 3 号 p. 209-214
    発行日: 1978/06/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    濃核病ウイルスに対する抵抗性系統として支124号, 感受性系統として日124号を選び, それらの間で交雑F1, F2および戻し交雑の組合せを作成し供試した。3齢起蚕期に種々濃度のウイルスを接種し, 血清学的診断によって感染の有無を個体別に調べた。抵抗性系統では高濃度のウイルスを接種した場合でも感染個体は全く認められず, 顕著な抵抗力を示した。
    感受性系統および各組合せで得られた接種ウイルス濃度 (対数) と感染率プロビットとの関係曲線の型を比較して抵抗性の遺伝様式を調べた。正逆交雑F1および感受性系統の戻し交雑では, 両者の関係は直線的であり, しかも感受性系統とほぼ等しい感染価 (IC50) を示した。一方抵抗性系統の戻し交雑および交雑F2では, 高濃度のウイルス接種においてそれぞれ感染率 (プロビット) が50%, 75%でプラトーをもつ曲線となり, 抵抗性系統の戻し交雑では抵抗性個体と感受性個体が1:1, 交雑F2では1:3に分離することが示唆された。
    以上の結果から, 濃核病ウイルスに対する蚕の感染抵抗性は1対の劣性主遺伝子に支配されているものと推定された。
  • 大槻 良樹, 神田 俊男
    1978 年 47 巻 3 号 p. 215-220
    発行日: 1978/06/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    カイコの劣性遺伝子Grcolホモの個体で形成される卵の卵殻は著しく異常で, 産卵後短時間で潰れてしまう。著者らはこの卵殻形成の特異性を明らかにするための一部として, Grcol/Grcolの蛾の卵管から卵を取り出し, 微分干渉位相差法ならびに組織学的手法を用いて卵殻の構造を観察し, その特異性を検討した。比較対照のための正常卵は, 同じ蛾区に分離する Grcol+ の蛾の卵を用いた。
    潰れ卵の表面には正常卵のような小瘤状卵殻堆から成る顆粒状構造はみられず, 正常卵の中層形成期の表面と同様な小さいひだ状の構造がみられた。また気孔は不規則に屈曲し, 正常卵に比べて長いものが多く, とくに腹面では著しかった。卵殻内には空隙がみられ, その分布状態は卵の部位によって差があり, 後端部には他の部位よりも小さいものが密集していた。
    潰れ卵の卵殻の組織像では, A, B, C層の3層が識別された。この層状構造を正常卵の内, 中, 外層の3層と比較すると染色性と厚さからA層は内層に相当し, B層は中層に比べて薄いばかりでなく染色性が異なるが, 染色性から正常卵の中層形成期の卵殻と質的に類似していると判断した。しかしC層は極めて薄く, これに相当するものは正常卵にはみられなかった。
    以上から, Grcol/Grcol個体では, 卵殻形成の中層形成初期に包卵皮膜組織の機能が異常になり, その後の中層と外層の形成がほとんど行われないものと思われる。また, 異常構造の卵の部位による特異性から, Grcol遺伝子の作用によって現われる特異経過は, 包卵皮膜組織の機能の差によって異なることが示唆された。
  • 阿部 芳彦
    1978 年 47 巻 3 号 p. 221-225
    発行日: 1978/06/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    in vitro または in vivo における微粒子病原虫の胞子の発芽について観察した。
    胞子は in vitro でアルカリ処理あるいはカイコ幼虫に食下されると染色性に変化が起る。胞子をアルカリ処理後埋養液で中和すると発芽し, Sporoplasm は核となり極糸を失い, 細胞質に空胞を有する細胞に変化した。消化管内では sporoplasm は囲食膜に保持され, 細繊縁域に存在する像が観察された。
  • 清水 勇, 足立 重信, 加藤 勝
    1978 年 47 巻 3 号 p. 226-230
    発行日: 1978/06/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    家蚕幼虫に電気刺激 (交流60Hz, 20ボルト~30ボルト) を与えて登蔟時期や幼虫脱皮時期に及ぼす影響を調らべた。5齢終期の蚕幼虫の前胸部に電気刺激を与えると, 無処理対照区と比らべて, 登蔟時期が促進された。また, 4齢3日目の幼虫に電気刺激を与えると, 4齢から5齢への幼虫脱皮時期が促進された。電気刺激によって脳ホルモンあるいは前胸腺ホルモンの分泌が促進される可能性について論じた。
  • 中曾根 正一
    1978 年 47 巻 3 号 p. 231-238
    発行日: 1978/06/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    家蚕の蛹期における脂肪組織, 体液および卵巣の脂肪酸含量, 脂肪酸組成の変化ならびにこれら組織間の脂肪酸移動について検討した。その結果は次の通りである。
    1. 蛹期には, 脂肪組織の脂肪酸含量が減少し, 逆に卵巣の脂肪酸含量が増加した。しかし体液の脂肪酸含量は若干の増加にとどまった。
    2. 蛹期における脂肪組織, 体液および卵巣の脂肪酸組成は類似しており, 飼料中の肪脂酸組成とも関連してC16:0, C18:1, C18:2が主成分であった。しかしながら組織により若干異なっていた。
    3. 蛹化直後の蛹に14Cパルミチン酸を注射すると, 速かに脂肪組織に取り込まれたのち卵巣に移行した。また注射6日後における14Cの分布をみると, 脂肪組織ではトリグリセリド, 体液ではジグリセリドと燐脂質, 卵巣ではトリグリセリドと燐脂質にそれぞれ分布していた。
    4. 各蛹期に14Cパルミチン酸を注射すると, 初期には脂肪組織に強く取り込まれ, 中期以降卵巣への取り込み, 14CO2への呼出が増加した。この増加は卵巣の発育と平行しており, 脂肪組織脂質が卵巣に移行することが明らかになった。
  • 石黒 善夫
    1978 年 47 巻 3 号 p. 239-240
    発行日: 1978/06/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 古田 要二
    1978 年 47 巻 3 号 p. 241-242
    発行日: 1978/06/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 清水 滉, 笠井 千賀子, 坂口 育三
    1978 年 47 巻 3 号 p. 243-244
    発行日: 1978/06/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 47 巻 3 号 p. 262
    発行日: 1978/06/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    European corn borer の脳における神経伝達物質の配置
    Monema flavescens における脳ホルモン運搬血球
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