NiO-MgO-ZnO系固溶体の生成とその色調とを検討した. 試料は, 各酸化物を所定のモル比に配合し, 1200, 1300, 1400, 1500℃の各温度で一時間焼成して得た. (Ni, Mg, Zn) O系の岩塩型およびウルツァイト型固溶体の生成領域を, X線分析により検討し, 各生成領域内で, 格子定数の測定を行った. Ni
2+は6配位選択性が極めて強く, 4配位の位置には極めて入り難い, Zn
2+は4配位選択性が極めて強く, また6配位の位置にも入り得る. Mg
2+は, 特に強い選択性はないが, 4配位選択性はなく, いずれかといえば6配位選択性を示す. このため, 各温度で (Ni, Mg, Zn) O系の岩塩型固溶体の生成領域はかなり広く, ウルツァイト型のそれは非常にせまい, 1400℃で, ZnOはNiO中に約40mol%固溶するが, NiOはZnO中, わずか2.5mol%しか固溶しない. また, ZnOはMgO中に35mol%固溶し, MgOはZnO中に10mol%固溶した. (Ni, Zn) O系ウルツァイト型固溶体では, Ni
2+の含量が極めて少ないにもかかわらず, 4配位Ni
2+の吸収があらわれ, 濃いリーフの色調が得られた.
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