窯業協會誌
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87 巻, 1006 号
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  • 野村 修身
    1979 年 87 巻 1006 号 p. 277-284
    発行日: 1979/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    本論文においては, 多くの素子で構成されている, セミホットMHD発電ダクト壁を検討した. この素子は, ち密質の耐熱セラミックスで作られており, 直方体の形状をしている. 定常発電状態では, 素子の一面が, MHD発電機の作動流体によって, 一定温度Twに加熱され, その反対面は, 温度Tbの支持物によって, 一定温度T0に冷却されている. この両者間の熱流束は, 温度差 (T0-Tb) と熱伝達係数hによって定まる. 素子内部には, 温度分布と物性値の温度依存性によって熱応力が発生する.
    この熱応力による破壊が生じないような, 限界条件が定められる. この限界条件は, Twと素子の厚さと幅の比, γによって決定され, T0の最小値又はhの最大値で表される.
    本報の結果は以下のとおりである.
    (1) 素子材料がマグネシアセラミックスの場合はγ>4, 又は, アルミナセラミックスではγ>1において, h=∞が限界条件である (Tw=1150-1400K, Tb=300-310K). すなわち, T0=Tbとしても, 最大引張り応力が, 素子材料の強さ以下であることが分った.
    (2) γ=0 (無限平板) の場合のみに適用できる, 簡便な限界条件計算法が開発された. この方法で計算された結果は, 前報の計算法において, γ<0.5とした場合の限界条件とほとんど同じ値であった. すなわち, γ<0.5の素子の最大引張り応力は, 無限平板での値とほとんど同じであることが分った.
    (3) 定常熱応力に対する強さの概略を示す値, Γ=(1-ν)Et/(Eα) が発見された (ν: ポアソン比, Et: 引張り耐力, E: 弾性率, α: 線膨張係数). 1000Kにおいて, マグネシアセラミックスのΓは約19.5K及びアルミナセラミックスでは約46.7Kであって, アルミナセラミックスはマグネシアセラミックスよりも定常熱応力に対して強いことが示された.
    (4) 前報で開発された計算方法では, Tw<Tcとされていたが, 本報ではTw>Tcの場合でも計算できるようにした. ここで, Tcはクリープ又は塑性を生ずる下限の温度である.
  • 岩佐 美喜男, 木下 実, 速水 諒三, 山崎 達夫
    1979 年 87 巻 1006 号 p. 284-290
    発行日: 1979/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    NbB2粉末を大気中と真空中で, 温度1650°-2240℃, 圧力50-900kg/cm2の範囲の種々の条件でホットプレスし, 得られた焼結体の組織, 密度, 硬さについて検討した. 焼結体の組織は焼結温度によって決まり, 焼結圧力にはほとんど依存しなかった. すなわち1740℃程度から粒子成長が観察され, 2000℃以上では粒子成長が激しく, 粒界を横断するマイクロクラックが多数観察された. 焼結体の密度は焼結温度と, 焼結圧力の対数に比例して増加し, 次の近似式で表された.
    ρ(g/cm3)=-3.58+0.00336T(℃)+1.19logP(kg/cm2)
    焼結体のロックウェル硬さは, ほぼ焼結体の密度に比例して増加するが, 同じ密度ならば高温度・低圧力でホットプレスした焼結体の方が若干硬さは大きいようであった. 真空中でのホットプレスでは大気中よりも低い温度で高密度な焼結体が得られたが, 硬さは大気中での同じ密度の焼結体と比べるとかなり低かった.
  • 粘土原鉱中の微細硫化鉱物粒子の油相分離, 第1報
    林 剛
    1979 年 87 巻 1006 号 p. 290-300
    発行日: 1979/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    亜鉛鉱床に生成するセリサイトの精製法として, 混在する微細粒な硫化鉱物を灯油で抽出するフラッシング法を採用した. この方法は数μm以下に分級したセリサイト懸濁液から直接硫化鉱物を油相へ移行させるものであり, 従来の泡沫浮選と比べて微細粒な鉱物粒子の分離に適していることを確認した. 硫化鉱物の分離効率は懸濁粒子の解こう度合によって左右され, pH制御とともに, 硫化鉱物の酸化による影響を除去することが重要である. 酸化生成物のうち鉄化合物の影響が特に大きく, これに対して還元剤とキレート剤を使用し, 懸濁液の解こう状態と硫化鉱物の分離効率を大幅に改善した. 主な不純物であるセン亜鉛鉱はpH8で, 硫ヒ鉄鉱はpH3でそれぞれ最大除去率を示した. このほかに分離助剤としてエロフロート208, 脂肪酸セッケン及びMIBKを使用した. MIBKは過剰な捕集剤による乳濁化を抑制し, 粘土懸濁液からの硫化鉱物と油滴の分離を促進した. 精製処理によってセリサイト中の亜鉛とヒ素が90%以上除去され, それぞれ100ppm以下と5ppm以下に低下した.
  • 坂井 悦郎, 大門 正機, 近藤 連
    1979 年 87 巻 1006 号 p. 301-307
    発行日: 1979/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    セメント水和反応速度への有機化合物の親水基と疎水基のバランスの影響を研究するため, -SO3Naより親水性の弱い-COONaの疎水基鎖長を変化させ, 芳香族スルホン酸ナトリウムと比較して検討を加えた. セメント水和はコンダクションカロリメーターにより, ぬれは浸透速度法により求め, TOCにより測定した吸着量と関連させ考察した.
    脂肪族カルボン酸ナトリウムでは芳香族スルホン酸ナトリウムの場合と異なり, 疎水基鎖長を長くすると, ぬれにくくなり, 注水直後の反応は若干遅らせるがエーライトの水和反応をほとんど遅らせていなかった. これは最初ふりつもった不溶性カルシウム塩がはく離し, スカムを形成したためと考えられる.
    したがって同一分子構造の遅延作用においては親水基と疎水基のバランスが重要であることが明らかとなった.
  • 耐火物の熱衝撃による破壊現象の研究, 第2報
    熊谷 正人, 内村 良治, 川上 辰男
    1979 年 87 巻 1006 号 p. 307-317
    発行日: 1979/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    耐火物の熱衝撃による破壊挙動を解明するために, 著者らは先にAE法を導入し, パネルスポーリング試験法と組み合わせて検討を進めた.
    本報でも同じ装置を用いて, 熱衝撃条件や耐火物の材質がAE特性に及ぼす影響について検討した.
    その結果, (1) マグネシア質耐火物では, 加熱速度, 試験片形状又は試験片への拘束力が大きくなるにつれて, AE特性, すなわちき裂の伝ぱ挙動が変わり, き裂が不安定的に伝ぱする傾向が顕著となる. (2) マグネシア・ドロマイト質耐火物では, 試験条件を変えても, AE特性, すなわちき裂の伝ぱ様式には顕著な差は認められなかった. (3) 材質による損傷過程の違いを反映して, 耐火物のAE特性には顕著な差が認められ, 本報では五つのパターンに分類できた. (4) マグネシア・ドロマイト質耐火物では, AE計数総数と実炉における成績及び熱衝撃損傷パラメーターRstの間によい相関が認められ, AE計数総数の多少によって耐熱衝撃性を判定できる.
  • 長谷 貞三, 鈴木 弘茂, 冨塚 功
    1979 年 87 巻 1006 号 p. 317-321
    発行日: 1979/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    高純度なβ-SiC微粉末 (平均粒径-0.1μm) の圧粉体をヘリウム (O2<1ppm及び露点-74℃) 中で2100℃まで5.5℃/minで加熱した. 加熱中, 圧粉体は全くち密化を示さなかったが, その微構造は著しく変化した. この過程をSEM及びTEMで観察した結果, 次のことが分った.
    (1) 1630℃までの加熱で, 粒子間に接合及び合体が生じた. しかしながら, 合体して生じた大きな粒子はいろいろな方位を持つ出発粒子径に近いくらいの大きさの粒子から成っていた.
    (2) 1900℃になると粒界の移動による結晶の成長が見られたが, やはり粒子間の形態変化の方が粒界の移動より速やかであった.
    (3) 2100℃までの加熱中, 局部的には, 粒子の合体によってほとんど理論密度に近いち密な領域が出現するが, 同時に気孔の合体も生じ, 全体として全くち密化しない.
    (4) 2面角の分布を測定し, 最頻値が92°であることが分った. この値から粒界エネルギー対表面エネルギーの比 (γgbsv) は1.39と求められ, SiCのち密化にとって熱力学的な制限は存在しないことが分った.
  • 栗林 清, 佐多 敏之
    1979 年 87 巻 1006 号 p. 321-327
    発行日: 1979/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1630℃から1755℃の範囲でラングミュア法及びヌッセン法を用いて3Y2O3・WO3の蒸発実験を行った. また, 1660℃での酸素分圧の蒸発速度に対する効果も測定した. 3Y2O3・WO3の蒸発は, 初期の0次反応と後期の拡散律速反応とから成り, WO3成分だけが選択的に蒸発した. これらのことより, 蒸発反応を次式のように推定した.
    3Y2O2・WO3(s)→3Y2O3(s)+9/64W3O9(g)+6/64W4O12(g)+2/64W2O6(g)+3/64W3O8(g)+3/128O2(g)
    ヌッセン法により求めた蒸発反応の標準エンタルピー変化及びエントロピー変化はそれぞれ, 28±4kcal/mol, 3.1±1e.u.となった.
  • 山根 正之, 中尾 泰昌
    1979 年 87 巻 1006 号 p. 327-332
    発行日: 1979/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    高レベル放射性廃棄物のガラス固化に関する基礎研究として, Na2O-B2O3-SiO2-MoO3系ガラスにおける分相について調べた. 分相を起こさずに導入しうるMoO3又は模擬廃棄物の量は, 基礎ガラス中のSiO2をB2O3で置換しでゆくにつれて増大した. また, Na2O-B2O3-SiO2-MoO3系融液を, Na2MoO4と残りの酸化物を両エンドメンバーとする擬2成分系正則溶液と仮定して, MoO3の導入限界量をガラス組成から推定するためのパラメーターを定めた. 融液中に予想される各構成単位に対するパラメーターを用いて組成から推定した廃棄物の導入限界量は実験結果とよく一致した.
  • 1979 年 87 巻 1006 号 p. A39-A42
    発行日: 1979/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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