日本教科教育学会誌
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10 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 長谷川 潔, 小池 直己
    原稿種別: 本文
    1985 年 10 巻 2 号 p. 39-45
    発行日: 1985/10/01
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    英作文をする場合には,その主題・状況・目的・読み手などに応じた適切な語句・文体を用いる必要がある。従って,整頓された,砕けた英文が書けるように学生を指導するためには,アメリカで発達したような実際的な文体指導が役に立つと思う。本研究においては,メルビル作の短篇Bartleby, the Scrivenerをまず学生に読ませて,次に放送を聴かせ,最後に映画をみせるといった立体的な視聴覚教育を通して,原作,放送,映画の三者にみられる各々の英語の話し方のレベルの違いを認識させることによって文体指導を行なった。本報告においては,原作の英文と放送の英文を学生に比較検討させて,両者の文体上の差異を考察させることにより,正確でしかも固くるしくない英文を書くための文体指導を考えてみた。
  • 乾 信之
    原稿種別: 本文
    1985 年 10 巻 2 号 p. 47-57
    発行日: 1985/10/01
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    教育生理学は教育学を構成している学問的階層の中で最下層に位置し,学問的階層を登りつつ教育学を説明することを志向している。主として神経生理学の知見を基に,教授-学習過程がどの神経の機能系に関するかを検討し,教授者が多因子の教授-学習過程を整理することに役立てる。また神経系の機能から教育学が見落としていた人間の機能・能力を見い出し,教科教育および教育原理を捉え直おす。上述の考え方に基づいて,本論では体育科教育の主要な3つの課題を考察した。第2章では現代の社会-教育的病理現象を大脳の新皮質-旧皮質の双方向連関の崩壊と捉えた。第3章では人脳の抑制作用が運動機能の発達におよぼす影響を考察し,学校体育では非特殊的運動能力を促進することを提案した。第4章では運動学習の神経機構から体育科教育の教授-学習過程を検討し,学齢が上がるにつれ,大脳-小脳系において,小脳性のスキル学習から大脳性の認知学習へ教育内容が移行していくことを主張した。
  • 植田 宏美, 高木 由貴子
    原稿種別: 本文
    1985 年 10 巻 2 号 p. 59-65
    発行日: 1985/10/01
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    より有効な音楽の教授・学習計画を組織するためには,学習者が様々な様式や類型の音楽に対してどのような情意的反応をしているかを知ることが必要である。そこで本研究は,15の形容詞対からなる,S-D法を使用することによって,様々なひびきに対する非明示的な情意的反応を客観的に判断することを試みた。これら15の形容詞対は,各々,(1)感情の因子,(2)速さと強弱の因子,(3)質量の因子,(4)感触の因子,(5)性状の因子のいずれかに属している。調査の分析の結果,音楽に対する男女の情意的反応の違いは感情の因子によって,中学生・高校生別の場合は速さと強弱の因子,及び質量の因子によって特徴づけられるという結果を得た。これは,高校生の教授・学習計画においては,音楽に対する認知的領域の強化によって情意的反応を洗練することに注意を払うべきであることを示唆していると考えられる。
  • 柏原 惠龍
    原稿種別: 本文
    1985 年 10 巻 2 号 p. 67-72
    発行日: 1985/10/01
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    佐伯(1979)はATI(能力処遇交互作用)的な考えにたって学習様式を3層に分けたが,教科の好き嫌いはその第一層にあたると考えられる。本稿では小学校2年生から6年生までの各学年6学級ずつの児童に,各学年に共通な7教科の各々の組みあわせで一対比較をさせ,各教科への相対的な好意度を測定して性差の有無を検討した。その結果,男子児童が高い好意度を示す科目は体育,理科,社会であり,女子児童では音楽と国語であった。この傾向は学年間でほぼ同じであった。今後教科の特性を分析し,この性差が学習様式の第二層ではどのような表れ方をするかを検討する必要がある。
  • 佐伯 卓也
    原稿種別: 本文
    1985 年 10 巻 2 号 p. 73-78
    発行日: 1985/10/01
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    パーソナルコンピュータの経験のある高校生を被験者として,パーソナルコンピュータに対する態度を測定するSD尺度,PCSD-Sを開発した。開発はLi kert型尺度の開発にならって行なった。その結果,信頼性係数の高い,10項目の7点SD尺度が得られた。
  • 松岡 信重
    原稿種別: 本文
    1985 年 10 巻 2 号 p. 79-86
    発行日: 1985/10/01
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,マイクロティーチンクの手法研究の基礎作業として,授業の構想(吉本)とともに授業状況判断の概念を構成してその両者の理論的モデルを検討することである。授業状況判断なる概念は,余りみることはないが,特にマイクロティーチングにおいては,外的授業観察による類推や情報の欠落を補完しうる鍵概念といえる。検討の結果は以下のように要約できる。1)授業状況判断は,授業過程における教師の意志決定と同義であるが,単に外的状況を認知するにとどまらず,何をなすべきかを決定することである。2)人間の情報処理系という観点からみれば,事前の授業の構想とフィードバックループをもつ一連の選択的注意→状況認知→状況予測→行為の決定のプロセスであり,その構造は図4のように構成することができる。
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