日本教科教育学会誌
Online ISSN : 2424-1784
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30 巻, 3 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 丸山 範高
    原稿種別: 本文
    2007 年30 巻3 号 p. 1-10
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    これからの国語科教育では,学習者相互の協同的交流活動を介した,ことばの学びを高める授業を計画・実践することが重要である。そこで,本研究は,相互批評活動を取り込んだ「書くこと」の授業において,書き手が他者の批評をどう調整しながらどのように書き改めを遂行するのかという,その学びの内容を明らかにすることを目指す。高校生の意見文とそれに対する批評言とを分析した結果,相互批評活動によって促される学びの内容,意義,課題が明らかになった。「書くこと」の学習に相互批評活動を取り込むことによって,多くの書き手は,他者の批評の調整を図りながら,もとの意見文を書き改めていた。書き手は,意見文の全体構成を見直しながら,他者の批評を取捨選択,変形,反転させて調整を図っていた。しかしながら,批評言が修正のための具体的な方向性を示すものとなっていない場合は,他者の批評を取り入れないまま書き改めるという事例も認められた。
  • 齊藤 一彦
    原稿種別: 本文
    2007 年30 巻3 号 p. 11-20
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本稿では,シリアとヨルダンにおける身体教育の社会的・教育的位置づけの特質性を導出しようとした。両国の身体教育システムを取り巻く社会的背景を整理しつつ,教育制度における体育の位置,学校体育の特色,身体教育指導者養成システムといった側面から,両国において身体教育がどのように捉えられているのか,その共通性や特質性を導出しようとした。両国の身体教育において「アラブ社会の一員」としての人間形成が強く意識されており,特にシリアの方にその傾向が強くみられた。また,ヨルダンではアラブ人としての人間育成に加え,イスラム人としての人間育成も重視される傾向がみられた。また,身体教育指導者に対し,シリアでは実技能力,競技能力などが強く求められているが,ヨルダンでは実技・競技能力以外の学術的な教養が求められる傾向にあった。以上の通り,両国の社会的背景の相違による身体教育システムの異同がみられた。
  • 後藤 幸弘
    原稿種別: 本文
    2007 年30 巻3 号 p. 21-30
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究では,著者らのこれまでの子どもの走運動,跳運動,走り高跳び学習の適時性,背面跳び学習の是非,等の研究成果に基づいて,小・中学校期における走り高跳びカリキュラムを提案した。すなわち,1・2年生では,片足跳び,スキップ等の種々のジャンプができるようにする。また,高いところから飛び降り安全に着地できる能力を付けさせる。3年生では,助走から片足踏切りのゴム跳びができるようにする。4年生では,クリアランス技術を中心に短助走での「はさみ跳び」ができるようにする。5年生では,短助走での「はさみ跳び」において,適切な踏切位置の発見とクリアランス技術を中心に学習させ,HJS指数を8O点以上にする。6年生では,クリアランス技術よりも踏切技術の学習を中心にし「はさみ跳び」を学習させ,単元後半「背面跳び(仰向け跳び)」学習に移行し,HJS指数を90点以上にする。そして,中学校で背面跳びの完成(HJS指数,100点以上)をめざすものである。
  • 佐川 馨
    原稿種別: 本文
    2007 年30 巻3 号 p. 31-39
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究は,秋田民謡を取り入れた授業実践およびその分析,考察を通して「郷土の民謡」の教材としての有用性を探ることを目的とした。そのために民謡を学習しない統制群(男子36名,女子38名)と,秋田民謡を学習する実験群(男子17名,女子19名),秋田民謡と沖縄民謡を学習する実験群(男子17名,女子19名)の三つの群により比較考察した。その結果,SD法(20項目)による質問紙1では,秋田民謡のイメージについて「親近感」「音楽的特質」「価値観」の三つの因子が見出された。また,質問紙2(26項目)では,「愛好心の高まりと音楽観の拡大」「音楽的特質と肯定感」「郷土の民謡の価値と誇り」の三つの因子が見出された。これらの考察から,民謡を学習した群には,それぞれの地域がもつ伝統的な音楽文化を理解し尊重しようとする態度の形成が認められること,また,郷土の民謡の学習にあたっては,比較する教材を同時に取り扱うことが効果的であることが明らかとなった。
  • 宜保 真喜子, 浅井 玲子
    原稿種別: 本文
    2007 年30 巻3 号 p. 41-47
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    研究目的は,家庭科教育における高齢者に関する学習経験が高齢期思考度・支援度に及ぼす影響を明らかにすることである。沖縄の高校生1200人余にアンケート調査を行った。これまでの学習経験が1番多かったのは「高齢者に関する知識の説明・講義」,2番目に「体験グッズ」であった。興味関心がある学習で,1番多かったのが「体験グッズ」で,2番目が「地域の高齢者との交流」であった。家庭科教育において高齢期に関する学習経験「有」と答えた高校生は,「無」と答えた高校生に比較して高齢期思考度・支援度共に高くなっていた。また,高齢者と直接ふれあう学習経験の方が,直接は触れ合わない学習経験に比較して高齢期思考度・支援度共に影響が大きい事がわかった。
  • 小倉 康
    原稿種別: 本文
    2007 年30 巻3 号 p. 49-52
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2018/05/09
    ジャーナル フリー
    今日,教育課程実施状況調査,OECDのPISA調査,及び,全国学力・学習状況調査などの大規模教育調査が,国の教育政策のみならず,個々の学校の教授学習にも強い影響を与えている。「PISA型読解力」や「活用力」などの力は,海外から導入された新たな学力観と受け取られがちであるが,日本で90年代後半から目指されてきた「生きる力」と同様の教科横断的な学力である。しかし,日本では「生きる力」を育成するための理論や教授学習法が確立されないまま10年が過ぎてしまった。超教科的な立場で学力の育成に関する研究を行うことは教科教育学会の本質的な課題であるが,これまでこの領域の研究が進展しなかった。今後,「生きる力」を育成する各教科の指導法や評価法に関する基礎研究の進展が期待される。またそれによって,大規模教育調査が改善され,教育課程と指導の改善が可能となると考える。
  • 深澤 清治
    原稿種別: 本文
    2007 年30 巻3 号 p. 53-56
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2018/05/09
    ジャーナル フリー
    小論は,21世紀の学校教育を取り巻く環境が社会のグローバル化の中で大きく変遷を遂げる中,学校における教科としての英語教育学はどうあるべきかを考えるものである。第1に,1960年代に始まる学問としての英語教育学の構想時代からいかに概念規定が行われたか,それに随行して英語教育(研究)の流れを3つの時代に区分し,英語教育学の系譜をたどる。第2に,過去10年間に英語教育全国学会誌に採択された論文の分野や研究方法の分析から,近年の英語教育学研究の動向を概観する。このような流れを踏まえて,最後に,今後の教科教育としての英語教育学研究の将来について,校種を越えた教科内および教科間の連携から,あるべき方向を模索する。
  • 堀内 かおる
    原稿種別: 本文
    2007 年30 巻3 号 p. 57-60
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2018/05/09
    ジャーナル フリー
    教科教育学研究の社会的還元というと,それはまず研究成果が教育現場における実践に寄与しうるものであることが求められよう。教科教育学の中で「家庭科」という教科の視点をもった家庭科教育学研究者としては,現代の家庭生活に見られる諸課題を取り上げ学習における実践や体験的活動を重視すると同時に,具体的生活事象の背景にある科学的知識・社会認識を深める学習をコーディネートし,教師との協働による授業づくり・教材開発をアクション・リサーチの手法で構築していく必要性が認められる。また,各教科独自の視点は子どもの人間形成に向けての一つの切り口である。生活や家族を学習内容として取り上げ,授業という場で考えあう家庭科の学びには,教科の枠を超えた共通性も見出される点を踏まえ,他教科との連携・共同研究の可能性も視野に入れ,授業研究を蓄積していきたい。
  • 松岡 重信
    原稿種別: 本文
    2007 年30 巻3 号 p. 63-66
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2018/05/09
    ジャーナル フリー
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