本研究の目的は,生徒が判断する体育授業の構成要因及び要因間の関係について,校種間差及び性差を明らかにし,今後の体育授業のための有益な知見を提案することであった。中学生と高校生を対象に質問紙調査を実施し,1442名のデータを解析に利用した。体育授業の7構成要因(意欲,楽しさ,仲間(チームワーク),まもる,学ぶ(わかる),協力,できる)について検討した。意欲,楽しさ,仲間及び学ぶは,男女とも中学生が高校生より高値を示し,両校種とも仲間,まもる及び協力は女子が,楽しさは男子が高値を示した、楽しさとその他の因子間及び協力とできる間の相関係数に有意な校種間差が認められ,楽しさとまもる間及び協力とできる間以外は男女とも中学生が高校生より高値を示した。また,楽しさとまもる間及び協力とできる間は,中学生の男子が女子より高値を示した。以上から,中学生は高校生より意欲,楽しさ,仲間及び学ぶを,また,校種に関わらず,女子は仲間,まもる及び協力を,男子は楽しさを体育授業のより重要な構成要因として捉え,高い関係がある要因は,校種及び男女で異なることが示唆された。
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