日本教科教育学会誌
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1 巻, 2 号
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  • 川原 浩, 野波 健彦
    原稿種別: 本文
    1976 年1 巻2 号 p. 156-165
    発行日: 1976/10/09
    公開日: 2018/01/07
    ジャーナル フリー
    多様な類型や様式による音楽の理解と享受を通して,世界の文化遺産に対する広い感性を発達させるということは,これからの学校音楽教育において,欠くことのできない重要な教育目標の一つである。その目標を遂行するためには,なにはさておいても,-日本の伝統音楽をも含めた,-アジアの民族音楽の理解と享受という新しい音楽体験を,学校音楽における主要な学習行動として導入しなければならない。本論は,それに対する適切な音楽素材と教授法を見いだすための,実験的な研究の報告である。
  • 木村 温美, 袋田 美智子
    原稿種別: 本文
    1976 年1 巻2 号 p. 166-173
    発行日: 1976/10/09
    公開日: 2018/01/07
    ジャーナル フリー
    小学校家庭科不要論に対して,小学校における家庭科の存在意識を明らかにすることが,本研究の目的である。そのため1)内外の文献精査により,普遍妥当な家庭生活指導の内容を確認する。2)家庭科以外の場で1)の事項がどのように教育されているか否かを明らかにする。3),1から2)を差引き,その残余項目が家庭科特設の必然性をもつか否かを検討した。その結果は,人間の基礎教養として必要な家庭生活に関する指導事項のうち,全く指導されないものや断片的な取扱いしかされていない項目がかなりあることがわかった。さらに,わが国では教科外指導は不徹底であること,既存の教科はみな内容過多であること,指導の方法として実物を扱い実際生活の場に即した問題解決法の学習形態をとるのは家庭科の独自性であること,以上の理由から,小学校家庭科の成立条件のうち,必要条件が明らかとなった。
  • 後田 忠勝
    原稿種別: 本文
    1976 年1 巻2 号 p. 174-187
    発行日: 1976/10/09
    公開日: 2018/01/07
    ジャーナル フリー
  • 盛政 貞人
    原稿種別: 本文
    1976 年1 巻2 号 p. 188-202
    発行日: 1976/10/09
    公開日: 2018/01/07
    ジャーナル フリー
    「気体の特性とその分離」を題材にとって,教科書と,それに記されている実験とによって,気体A(O_2)とB(CO_2)を未知のものとして学習する場合(未知・帰納的)と,それにH_2の可燃性とNH_3が水にとけやすいことなどを示す実験を加えて学習する場合(未知・帰納的+追加実験)と,気体A(O_2)とB(CO_2)を予知して学習する場合(予知・演繹的)などの学習効果に及ぼす影響を追究した。(1)未知・帰納的構造の場合には,気体の性質を調べる方法-科学の方法-について,予知・演繹的構造の場合には,気体の性質-科学の内容-について,よく学習されている傾向がみいだされた。筆者は,このような傾向を「学習(とくに,認知)に対する関心の向きの効果」と呼ぶことにしたい。(2)また,学習に関係する心理的要素・過程の1つとして,「心像の焦点化傾向」と呼ばれる傾向がみいだされた。
  • 奥井 智久
    原稿種別: 本文
    1976 年1 巻2 号 p. 203-217
    発行日: 1976/10/09
    公開日: 2018/01/07
    ジャーナル フリー
    本研究は,小・中・高等学校の児童・生徒を対象に,環境概念の形成に関係するものとして選択された16の事象について,(1)各事象に関する概念の内容と範囲(内包と外延)を明らかにする,(2)事象を提示するメディアの種類と組合せを変え,概念の表出内容がどのように変容するかを解析することにより,概念形成に対する教授メディアの効果を明らかにするとともに,教授・学習過程構成の最適方略決定の資料を得る,ことを意図して行われたものである。得られた結果の概要を述べると,(1)については,児童・生徒が表出した概念の内容は,(1)提示事象そのもの(定義,構成物,商品名など),(2)事象から派生または関連をもつ事象,(3)用途,(4)場所,(5)その他,に大別され,(1)〜(5)の構成比により提示事象をいくつかのグループに分類できることが明らかになった。また,(2)については,提示メディアとして用いた文字・音声,映像のうち,概念の表出量には音声メディアが,その質には文字と映像メディアが影響を与えることが解明された。
  • 長澤 武
    原稿種別: 本文
    1976 年1 巻2 号 p. 218-226
    発行日: 1976/10/09
    公開日: 2018/01/07
    ジャーナル フリー
    今日マルチメディアによる授業の方法を明らかにすることが非常に望まれるようになって来た。そのためにはメディアの特性を,すべての教科,すべての教育の場に適用できるような形で明らかにしなければならない。この研究のポイントは次の2つである。1つは映像の特性を明らかにすることであり,もう1つは効果的な学習を成立させるための条件をみいだすことである。各教科の内容と授業の形態はさまざまであるので,次の4つの事項について考察を加えた。(1)学習の場の分類(2)思考の過程(3)それぞれの教科の構造(4)メディアの構造この論文に示されている9つのパターンは,マルチメディアによる授業を構成するための最も基本的な要素である。
  • 森 一夫
    原稿種別: 本文
    1976 年1 巻2 号 p. 227-237
    発行日: 1976/10/09
    公開日: 2018/01/07
    ジャーナル フリー
    子どもの自然観の発達を明らかにすることは,単に認識論上の興味のみならず,教科教育学としての理科教育においてもきわめて意義のあることと思われる。筆者は自然観を物質観,生命観,宇宙観に分類して調査・実験してきたが,本報では子どもの物質観の発達と形成について報告する。子どもたちは,まず素朴実在論的物質観に始まって実体的物質観へ,そして質量的物質観を経て,弁証法的物質観に至ることを明らかにした上で,運動概念の形成,特に言語による影響について日・タイ両国の子どもを調査して得た知見をここに報告する。本研究にて示された物質観の発達区分が教育課程を編成するに際して,一種の"ものさし"となることが期待できよう。
  • 松本 勝信
    原稿種別: 本文
    1976 年1 巻2 号 p. 238-247
    発行日: 1976/10/09
    公開日: 2018/01/07
    ジャーナル フリー
    本研究は,児童生徒の自然を対象とする認識活動の解析をとおして,理科教育の具備すべき条件を明らかにしようとする研究の一部を担うものである。本小論においては,女子大学生5人を被験者とし,2種の問題解決場面における情報選択活動を,行動としての発言内容と生理心理的活動としてのGSRの両面から分析した。その結果,(1)特定の観点で現象から情報が選択される場合にはGSRは高まるが,特定の観点がない場合にはGSRはほとんどみられない。(2)問題意識の成立段階において,解決に必要な情報か選択され,その観点でさらに必要な情報が選択されて解決している場合には,問題解決成立の時点でのGSRは減少の方向にある。(3)問題意識の成立段階において,解決に必要な情報が選択できず,新たに別の観点を定め,情報の選択をやりなおしている場合には,問題解決成立の時点でのGSRは増加の方向にある,の3点が指摘できた。
  • 角屋 重樹
    原稿種別: 本文
    1976 年1 巻2 号 p. 248-254
    発行日: 1976/10/09
    公開日: 2018/01/07
    ジャーナル フリー
    子どもが自然を認識していくときの最も基本的な活動は問題解決である。この問題解決活動は自然の事物・現象の観察から問題意識を醸成することに始まり,この問題意識に基づいて解決するための情報が選択される。そこで,本研究は問題を解決していくときの過程とその情報選択活動との関係を調べることを目的とし,大学生11名を対象とした以下の実験を行った。糸とおもりを素材にして構成した2つの映像から成る問題解決の場を被験者に提示する実験を行い,被験者の注意点移動に現れた情報選択活動を調べた。結果は,事象の観察から問題を発見し,仮説を設定する第I映像段階における情報選択活動と仮説に基づいて事象を観察する第II映像段階における情報選択活動とに違いが見いだされた。前者の情報選択活動は事象変化に依存するものであり,後者の情報選択活動は事象変化から独立したものであった。
  • 小山 裕
    原稿種別: 本文
    1976 年1 巻2 号 p. 255-263
    発行日: 1976/10/09
    公開日: 2018/01/07
    ジャーナル フリー
    自然認識成立に至るための思考段階を確実に通過してるか否かをチェックできれば,学習条件の最適化は容易になる。子どもの表面に現われる行動・言語の分析による方法と表面に現われない心理生理的活動の分析による方法とが考えられる。本稿を含む一連の研究は前者の方法を手掛りにして後者の指標を開発しようとするものである。今回は自然認識成立の出発点となる問題発生の場面を取り上げた。問題が生ずるためには,先行経験と対応させながら事象を見ていることが必要である。そのため今回はVTRにより,類似した事象を,先行経験をもとに予測と対応させながら見る場面とそれなしに見る場面において提示し,それぞれの心理生理的特徴を分析した。後頭部脳波波形の基底部を直線で結び囲まれた面績を1秒毎に算出し分析した。5名中4名の被験者で上述2場面の違いに対応すると考えられる面積の特徴的変化パターンを得ることができた。
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