本研究は,中学校の柔道授業における傷害を防止する学習の効果について検証することを目的とした。方法は,傷害を防止する学習を行った生徒を教育群,学習を行わなかった生徒を対照群とし,2群の学習効果を比較した。検証のため,①質問紙(安全行動,事故対応力,柔道の逃避的感情,受け身技能),②前回り受け身の評価,③教育群による危険予測・回避の学習記録を用いた。主な結果を以下に示した。
① 二元配置分散分析から,両群においてすべての項目で主効果がみられ,安全行動の交互作用が教育群でみられた(
p < .05)。
② 前回り受け身の難しかった点の計量テキスト分析では,対照群では頭や肩の語がみられたが,教育群ではみられなかった。
③ 生徒は前回り受け身の回る際の肩や頭が畳に着きそうになる場面を予測し,計量テキスト分析では,肩や頭の語が危険回避でみられた。
従って本研究は,柔道授業において,傷害の防止につながる生徒の思考力,判断力,表現力等を向上させることが示唆された。
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