日本教科教育学会誌
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15 巻, 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 栗原 優
    原稿種別: 本文
    1992 年 15 巻 4 号 p. 121-129
    発行日: 1992/10/20
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    前回に引き続き、基本動詞の概念とその指導について論じる。日本語で多くの意味が当てられる動詞ほど、その動詞の概念を掴ませることが重要である。Grammar translation methodでは日本語にとらわれ過ぎ、その動詞の使用範囲をごく狭く限定してしまうであろう。そこで、個々の動詞の概念の指導が必要になる。それによって、生徒は日本語で考えることなく、その動詞のcontextによる意味を把握できるようになり、その単語の使用に関しての柔軟性が養われるのである。これは、いわゆる4技能のすべてを向上させるのに役立つであろう。今回は、GIVE, TAKE, COME, GOについて、その動詞といくつかの熟語の持つ概念を動作の方向性という観点からも論じ、概念指導の重要性をさらに論じた。
  • 谷口 明子, 鈴木 洋子
    原稿種別: 本文
    1992 年 15 巻 4 号 p. 131-137
    発行日: 1992/10/20
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    調理実習で,みそ汁として適正な塩分濃度を児童らに知らしめるために,塩分濃度計を用いた授業を計画,実践し,授業分析を行った。授業の前に行った実態調査では,家庭でのみそ汁の飲食頻度は高く,みそ汁が日常食の教材として適していることが確認された。調理実習で,児童らが調理したみそ汁の塩分濃度を測定したところ,材料及びその分量や調理手順を一律に指導したにもかかわらず,塩分濃度にはかなりのばらつきが生じ,でき上がった料理の味について学習する必要性が認められた。適塩濃度のみそ汁をつくらせるには,予め教師が,みそに含まれる塩分量から調理に必要な分量を算出し,水量には蒸発分を加え,汁に加える実はだし汁の蒸発を抑えるために,過熱時間が短いものを選ぶとよいことがわかった。塩分濃度計でみそ汁の塩分を測定し,味を官能と数値の両面から分からせることは,適塩指導を行う際に有用であることが実証された。
  • 石田 淳一, 多鹿 秀継
    原稿種別: 本文
    1992 年 15 巻 4 号 p. 139-144
    発行日: 1992/10/20
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究では、問題理解と問題文生成の関連に着目して,割合文章題の成績が上位と下位の子どもの文章題の理解過程のちがいを吟味した。小学6年生に線分図を要求する課題とそれと類似な問題文を生成させる課題を課した。分析の結果,両群の主な相違点として次の点が見い出された。1)基準量が比較量より大きい第3用法単純構造の問題に関して,上位群はこのタイプの問題を生成できるが,下位群はむしろ解決が困難な第3用法複雑構造の問題の生成が多かった。2)基準量が比較量より小さい第2用法複雑構造の問題に関して,上位群は問題を生成し,かつ,線分図表現できるが,下位群は問題を生成しても,正しい線分図がかけなかった。この結果は,下位群に,第2用法に比べて第3用法の問題に関する知識の構造化が不完全であること,および,基準量の取り方に関する知識の制約により割合関係の総合的な理解が困難であることを示唆している。
  • 藤岡 秀樹
    原稿種別: 本文
    1992 年 15 巻 4 号 p. 145-150
    発行日: 1992/10/20
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    小学校の一般教師と校長を被験者として,15の学業不振の規定因の学業不振との関連性を調べたところ,以下の結果を見出した。(1)一般教師は,「悪い家庭環境」が最も学業不振と関連性が強いと認知し,次いで「教える内容が子供にとって多すぎること」を重視していたが,校長は,「先生の教え方のまずさ」を最も重視し,次いで「悪い家庭環境」を重視していた。(2)一般教師も校長も,共に「めぐりあわせ(運)の悪さ」は,学業不振とはあまり関係がないと捉えていた。(3)両者に認知の差が見られた要因は,「先生の教え方のまずさ」「本人と先生の間の悪い人間関係」「本人と両親の間の悪い人間関係」「両親の教育に対する無関心さ」「めぐりあわせ(運)の悪さ」(以上,校長の方が重視)「教える内容が子供にとって多すぎること」「教える内容が子供にとって難しすぎること」(以上,一般教師の方が重視)の7つであった。(4)教職経験年数や校長経験年数による認知の仕方の違いが,若干の要因で認められた。
  • 高橋 敏雄, 坂田 ひろし, 岡部 初江, 工藤 浩, 筆保 俊彦
    原稿種別: 本文
    1992 年 15 巻 4 号 p. 151-157
    発行日: 1992/10/20
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    一斉授業では,個々の児童の個性や理解速度に応じた指導をすることには限界がある。その限界を克服するために,我々は個別学習機器の「スタディボックス」を用いることを考えた。本論文では,論文(1),(2),(3)に引き続き,「スタディボックス」を用いた治療学習の効果について研究した。その結果,「スタディボックス」を用いた治療学習の有効性が改めて立証されただけでなく,事後テストによって,さらに個別指導の必要な数人の児童とその分野を絞り込むことができ,徹底した個別指導を可能にすることもわかった。
  • 木村 正治
    原稿種別: 本文
    1992 年 15 巻 4 号 p. 159-167
    発行日: 1992/10/20
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    小学校5・6年生を対象に,「別れ」「死・死との対決」「老人と加齢」の3コマ,大学生・専修学生を対象にバイオエシックスのテーマを中心に8コマの「死の教育」の授業実践を行った。「死」のテーマが,学習者には新鮮な興味をもって迎えられた。真剣に授業に取り組んだ様子が各授業後の感想文からも推察された。授業後は,死を必然とし合理的に捉えようとする者が増加し,死を忌み嫌う態度の者は減少した。また,大学生・専修学校生では,死を思索するテーマとして重要視する態度の者が著しく増加した。自己の死に対する不安・恐怖の程度をTemplerのDASテストおよびその変法によって評価したところ,授業後は,授業前に比較して平均値の減少がみられたが,有意差はなかった。全体的にみて死の不安・恐怖が軽減したものの,その効果は不十分であったといえよう。個々人のDASの変化をみると,増加したものも20%〜30%の割合に認められた。
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