調理実習で,みそ汁として適正な塩分濃度を児童らに知らしめるために,塩分濃度計を用いた授業を計画,実践し,授業分析を行った。授業の前に行った実態調査では,家庭でのみそ汁の飲食頻度は高く,みそ汁が日常食の教材として適していることが確認された。調理実習で,児童らが調理したみそ汁の塩分濃度を測定したところ,材料及びその分量や調理手順を一律に指導したにもかかわらず,塩分濃度にはかなりのばらつきが生じ,でき上がった料理の味について学習する必要性が認められた。適塩濃度のみそ汁をつくらせるには,予め教師が,みそに含まれる塩分量から調理に必要な分量を算出し,水量には蒸発分を加え,汁に加える実はだし汁の蒸発を抑えるために,過熱時間が短いものを選ぶとよいことがわかった。塩分濃度計でみそ汁の塩分を測定し,味を官能と数値の両面から分からせることは,適塩指導を行う際に有用であることが実証された。
抄録全体を表示