日本教科教育学会誌
Online ISSN : 2424-1784
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9 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 長谷川 潔, 小池 直己
    原稿種別: 本文
    1985 年 9 巻 4 号 p. 159-164
    発行日: 1985/01/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    これからの英語教育は情報化社会に対応することを考えるべきであろう。相手から与えられる英語による情報を正しく把握し,こちらの情報を相手に伝えることのできる英語力を身につけるための言語教育を目標とすべきなのである。そのための語学訓練として,英語ニュースを効果的に楽しく用いることができる。本報告においては,英語ニュースをテープで流して,生徒に書き取らせた後,正しいニュース文を提示して,生徒各々に自らの誤答を指摘させ,それ等をカテゴリー別に細分し詳述させた。更に彼等が英語ニュースを書き取る際に感じた点を反省文と感想として論述させた。これ等の資料をレポートの形で提出させ,それ等を分析した。
  • 高森 壽
    原稿種別: 本文
    1985 年 9 巻 4 号 p. 165-170
    発行日: 1985/01/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    小学校教師を目ざす大学生が男女を問わず家庭科を担当できる資質を養成するために,大学における「小学家庭」,「家庭教材研究」等,該当する授業の充実をはかることが重要である。そのためには,種々の指導上の視点が考えられるが,これら授業科目の受講の姿勢には,学生が小学校家庭科を学習した経験からひき出された要因がかかわっている。熊本大学教育学部に在籍する男女学生を対象として,家庭科担当教師,家庭科(被服領域)学習体験及び家庭科に対する教科観について調査した。調査の結果,小学校における家庭科の授業担当教師の違いが,学生の被服領域の学習体験及び家庭科に対する教科観に影響を与えていることが推察できた。
  • 西園 芳信
    原稿種別: 本文
    1985 年 9 巻 4 号 p. 171-178
    発行日: 1985/01/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    この小論では次のような内容について考察した。(1)学習過程は認識論によって導かれ,認識観の違いによって学習過程の性格も決ってくる。そこで代表的な学習過程論(系統学習・問題解決学習・プロジェクト法・発見学習)を取り上げ,これらの相違を明らかにした。(2)上記学習過程論は音楽科に適用されると実際はどうなるのか。実例を分析しその特徴を明らかにした。系統学習-音楽美と学習者の認識を一致させる方法。問題解決学習・プロジェクト法-学習者が音楽の世界に直接働きかけ帰納法的に美を把握する方法。発見学習-学習者に問題意識を持たせながらも先生主導で学習者の認識を音楽美に近づける方法。(3)学習過程は目標観に適した方法がとられねばならない。そこで,目標観と学習過程との関連を考察し,これからの音楽科に求められる学習過程を展望した。
  • 縫部 義憲
    原稿種別: 本文
    1985 年 9 巻 4 号 p. 179-186
    発行日: 1985/01/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    教師の指導性(リーダーシップ)に関する主な先行研究は,三隅(1978)と小池(1982)がある。教師の指導性は,学習指導機能(Performance Function)と集団維持機能(Maintenance Function)に分けられている。三隅(1978)の考案したPM理論を外国語としての英語教育に導入し,調査したのが小池(1982)である。三隅(1978)の実験調査によれば, P機能とM機能が平均より大きいPM型の教師の場合が,一番教育効果が高く,生徒の学校適応も高く,次いでPM型(小文字のPは平均以下の度合を示す),第3位はPm型,最下位はpm型であった。これは一般性を語っており,生徒の置かれている状況や環境と共に変わりうるものだという調査結果を,小池(1982)が報告している。受験というニードの強い時期においては,当然P機能に対する要求の度合が強くなるし,余り「できない」生徒の方がM機能を要求しがちである(逆に「できる」生徒は,P機能の方を強く希望する)ということになる。本実験においては,「人間中心の外国語(英語)教育」(自己実現・対人関係づくり・目標言語による伝達能力の養成という「情意・相互作用・認知の各領域の統合的アプローチ」)を受けた学生(大学1年生)の,教師の指導性に関する態度の変容を調査しようとした。実験期間は,1983年4月から1984年2月までの約1年間であった。PM調査項目による態度調査を,第1回目は1983年10月に,第2回目は1984年2月に実施し,態度変容の差が有意であるかどうかの縦断的調査を行なった。この2回分のデーター結果を統計処理(カイニ乗検定)を行なったところ, P機能の2項目(P-2とP-4)とM機能の5項目(M-13,14,16,17,20)に有意差が見られた。これらの教師の指導性に対する態度の向上・改善は,人間中心の外国語(英語)教育がとりわけM機能の発揮に効果があることを示している。肯定的・支持的教室風土づくりと人間関係の形成と向上につながるということは,自尊感情の向上にも寄与する(縫部1984)。以上の実験結果から,M機能向上の一つの有力なアプローチが明らかになり,このアプローチの効果的な使用により,PM型かpM型の指導が達成できることがわかった。しかし,M機能を強調しすぎ,依存しすぎると,P機能に対する強い要求が出されてくることも明らかになった。これは,学習者が認知面の達成に関して不安をもつためである。
  • 二葉 晃文
    原稿種別: 本文
    1985 年 9 巻 4 号 p. 187-192
    発行日: 1985/01/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    演劇は長い間外国語学習において補助的な役割を果してきたが,学習者にとっては演劇観賞を通じて外国文化を消極的に知るという程度に過ぎなかった。しかし,この20年間に注目されてきた認知学習理論の提唱する学習者の心理に着眼した語学教授法の1つとして,演劇の外国語学習における役割は変化しつつある。Drama techniqueは,日本人の学習者に英語を使う自己体験を拡げる様々な場面を提供するものである。換言すれば,Drama techniqueは,英語でのコミュニケーション(時には言葉を使用せず,また即興の会話も含む)を通じて,学習者に英語圏の文化に接する機会を与える教授法である。本稿は英語学習の授業を有意義にするものとすてこの教授法を論じるものである。第1部(I)ではDrama techniqueの原理的説明に主眼をおいた。
  • 松本 正
    原稿種別: 本文
    1985 年 9 巻 4 号 p. 193-198
    発行日: 1985/01/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    前稿では,リズムの指導過程構成という観点からリズムの概念に焦点を当てた。リズムの指導過程構成においては,さら6にリズムの技能が問題とされる必要がある。リズムの技能習得の問題は,リズムの概念と密接な関係にある。というのは音楽科のリズム学習は,リズムの概念形成という方向のもとに,リズムに関る技能を習得することであると考えられるからである。以上により,本稿では,技能の意味を押えることを出発点にし,リズムの技能習得の過程を,リズムの概念との関りの中で明らかにしていこうとするものである。
  • 三好 啓士
    原稿種別: 本文
    1985 年 9 巻 4 号 p. 199-204
    発行日: 1985/01/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    普通教育の音楽科の授業はソルフェージュによって支えられるべきものである。ソルフェージュは音楽の読み書きであり,内的聴感の育成であり,音楽講造の聴覚的把握力を養うものであるからソルフェージュは,まさに音楽教育の基盤である。ところが我国においては,例えばハンガリーの音楽教育(コーダイ・システム)のようにはソルフェージュは重要視されていないし研究もされていない。むしろ無機的なソルフェージュが行われるために音楽の授業で生徒に苦痛をもたらすこともある。しかし,真のソルフェージュは,音楽への道であり音楽を楽しくするものである。そこで,音楽科の授業の充実のためにソルフェージュについて考察をすすめ,その授業におけるソルフェージュの方法について提案するのが本論の主旨である。
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