本研究の目的は,中学校家庭科「家族と家庭生活」の学習指導案における教育目標の傾向や課題を,Anderson et al(2001)の「改訂版ブルーム・タキソノミー」を用いて分析することで明らかにすることである。学習指導案に記述されている本時の目標や学習活動・内容,評価規準を知識と認知過程に分け,知識次元の主要タイプや認知過程次元の6つのカテゴリーに分類した。学習指導案の記述を整理・分析した結果,次の4点を指摘できた。(1)本時の目標は,学習指導要領の指導事項の記述と同じ文言を使用しており,抽象度の高い記述であった,(2)本時の目標の記述と解釈後の目標の間において整合性が取れていない学習指導案がいくつか存在した,(3)「家族と家庭生活」の指導事項は,概ね「概念的知識を理解する」ことを目標にしており,「理解する」は学習したことをノートやプリントに「まとめる」,調べたことや班で話し合ったことを「発表する」ことを求めている傾向であった,(4)学習指導案からは知識の質を明らかにはできなかった。