日本教科教育学会誌
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28 巻, 4 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 高垣 マユミ, 田爪 宏二
    原稿種別: 本文
    2006 年 28 巻 4 号 p. 1-9
    発行日: 2006/03/10
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    大学における授業改善の1つの試みとして,授業に対する学生の自己評価を指標として検討を行った。心理学専攻の大学生60名を対象とした「教育心理学」の授業において,学生は毎回自己評価を行い,教授者はこれに基づく授業改善を行う,というサイクルを繰り返した。その過程で,(1)学生の授業に対する自己評価はいかに変容し,(2)授業に対する「満足度」,「理解度」は自己評価とどのように関連するのか,を検討した。本研究の結果,(1)授業改善のサイクルを実施することで,学生の自己評価は上昇した。(3)授業回数を重ねるにつれ,学生の授業に対する自己評価の中で,「満足度」,「理解度」を高める要因は,質的に変容することが明らかにされた。すなわち,a.授業回数の前半では,授業外での学習を動機づけることや,教授者の教授方法(視覚教材の提示方法,教室の環境等)を改善することが要因となる。b.授業回数の後半では,教育心理学の理論を将来の職業等に結びつけることや,課題を分析・評価するなどの応用を取り入れることが要因となる。
  • 宗倉 啓, 出村 慎一, 藤谷 かおる, 岩田 英樹, 北林 保, 岡出 美則, 山下 秋二
    原稿種別: 本文
    2006 年 28 巻 4 号 p. 11-20
    発行日: 2006/03/10
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,高等学校における教師,生徒それぞれの「よい体育授業」の因子構造を明らかにすること,およびその因子構造について両者の関連性を検討することであった。調査項目は内容妥当性を検討し,各要因を代表する40項目を設定した。教師側の因子構造は,「学び方(主体性)」,「意欲的学習」,「学び方(学習環境)」,「協力」,「学び方(社会性)」から構成され,生徒側は,「成果」,「楽しさ」,「学び方(社会性)」,「学び方(学習環境)」,「協力」から構成された。教師と生徒の因子間の関連性は,「協力」因子が高く,「学び方(学習環境)(社会性)」因子は中程度であった。また,異なる因子名で解釈された因子は5組であり,両者の「よい体育授業」像の解釈はある程度関連性があると言える。今後の課題は,生徒が「協力」し,自ら「成果」や「楽しさ」を獲得できるような「学び方」を含めた学習指導法の開発である。
  • 吉川 正美
    原稿種別: 本文
    2006 年 28 巻 4 号 p. 21-30
    発行日: 2006/03/10
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究は,2種類のスピーキング能力の構造解明を目的とする。日本人大学生63名を被験者として実施した,2種類のオーラル・パフォーマンス・テスト(OPT)とライティング・パフォーマンス・テストによってデータを収集した。産出されたデータから学習者コーパスを構築し,語彙,統語の言語学的観点から計量的に分析し,テクスト間及び被験者間の比較を行った。さらに,0PT結果の評定値を従属変数とし,語彙の複雑性を測定する2種類の語彙出現率と統語的複雑性を測定する2種類の節出現率を独立変数として,探索的重回帰分析と共分散構造分析によって解析した。また機能文法に基づき,情報構造に関する質的分析を行った。考察の結果,言語学的説明構造が異なる2種類のスピーキング能力が存在していることが判明した。接続詞の習得過程に関する推察も踏まえ,2種類のスピーキング能力養成に適した教授法の必要性への示唆を得た。
  • 原田 大介
    原稿種別: 本文
    2006 年 28 巻 4 号 p. 31-40
    発行日: 2006/03/10
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    現代の子どもや若者は「キャラ」ということばを用い,「キャラ」という視点から人間関係を捉える傾向がある。教室では,発言者の「キャラ」をふまえて内容(ことば)を読み解き,「私」の「キャラ」を自覚して発言内容(ことば)を調整する。学習者一人ひとりのことばを育むことを目的とする国語科教育において,「キャラ」の理論を提示することの重要性は否定できない。本稿では,「キャラ」についての具体的な授業実践を提案・実施し,そこで生まれた問題を分析・検討した後,国語科教育全体に新たな光をあてる「キャラ」の理論を提示する。
  • 浅井 智雄
    原稿種別: 本文
    2006 年 28 巻 4 号 p. 41-50
    発行日: 2006/03/10
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    テキストの概要把握には,トピックセンテンスや談話標識への着目が有効であると指摘されている。この読み方は高校生の場合,どの程度の汎用性があるのであろうか。本研究は,テキスト構造を階層構造と談話標識から捉え,それらの英語読解度への影響を実証的に探り,読解指導の基礎的知見を得ようとするものである。実験では,階層構造と談話標識の有無の組み合わせにより4種類のテキストが使用された。データ分析の結果,(1)階層構造が単独で英語読解度に及ぼす影響は,読解度が平均より上の群において顕著に見られたこと,(2)談話標識が単独で英語読解度に及ぼす影響は,すべての読解度群に見られなかったこと,(3)読解度が最上位の群及び平均よりやや下の群において,階層構造と談話標識の組み合わせにより英語読解度は影響を受けること,が明らかになった。結論として,読解指導においては,階層構造や談話標識は慎重に扱われるべきであることが指摘された。
  • Riris Lumbantobing, Kinya SHIMIZU, Hiroyoshi KINOSHITA
    原稿種別: 本文
    2006 年 28 巻 4 号 p. 51-60
    発行日: 2006/03/10
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    The major goal of this study is to identify the impact of the coordination of the intended curriculum to the implemented curriculum on the development of problem-solving skills in Indonesia. In order to reach the goal, this study compares Indonesia and Japan with regard to teachers' perceptions of their teaching practice and problem-solving goals, and the structural relationship of those perceptions. Three analyses of Indonesian teachers revealed the followings: (1) Indonesian teachers utilize expository teaching more frequently than problem-solving teaching. (2) Indonesian teachers place less emphasis on problem-solving processes and techniques than do Japanese teachers. (3) The prevailing teaching method of Indonesian teachers, expository teaching, does not have a significant relationship with the goals of problem-solving processes and presentation. The study suggests that Indonesian teachers' inadequacy in utilizing problem-solving teaching has a considerable impact on students' acquisition of problem-solving skills.
  • 小山 正孝
    原稿種別: 本文
    2006 年 28 巻 4 号 p. 61-70
    発行日: 2006/03/10
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は,算数・数学科の授業において児童・生徒の理解の深化を促すために,数学理解の2軸過程モデルに基づく算数・数学科の授業構成の原理と方法を構築することである。これまでの数学理解に関する理論的研究及び実践的研究の成果を踏まえて,まず,授業構成の原理として,P1[複雑な力動的過程としての理解過程],P2[理解の階層的水準と学習段階の設定],P3[個人的構成と社会的構成の重視]を挙げた。そして,授業構成の方法として,M1[理解の階層的水準の明確化],M2[理解の程度の実態把握],M3[理解の学習段階の具体化]を提案した。
  • 松岡 重信, 松尾 千秋, 菅尾 尚代, 岩田 昌太郎, 郭 万里, 王 水泉
    原稿種別: 本文
    2006 年 28 巻 4 号 p. 71-79
    発行日: 2006/03/10
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
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