本研究の目的は,高等学校における教師,生徒それぞれの「よい体育授業」の因子構造を明らかにすること,およびその因子構造について両者の関連性を検討することであった。調査項目は内容妥当性を検討し,各要因を代表する40項目を設定した。教師側の因子構造は,「学び方(主体性)」,「意欲的学習」,「学び方(学習環境)」,「協力」,「学び方(社会性)」から構成され,生徒側は,「成果」,「楽しさ」,「学び方(社会性)」,「学び方(学習環境)」,「協力」から構成された。教師と生徒の因子間の関連性は,「協力」因子が高く,「学び方(学習環境)(社会性)」因子は中程度であった。また,異なる因子名で解釈された因子は5組であり,両者の「よい体育授業」像の解釈はある程度関連性があると言える。今後の課題は,生徒が「協力」し,自ら「成果」や「楽しさ」を獲得できるような「学び方」を含めた学習指導法の開発である。
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