日本教科教育学会誌
Online ISSN : 2424-1784
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29 巻, 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 安藤 明伸, 安孫子 啓, 杵淵 信, 鳥居 隆司
    原稿種別: 本文
    2007 年29 巻4 号 p. 1-7
    発行日: 2007/03/20
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究では,対面型授業における匿名発表方式が学習者にどのような影響を与えているかを明らかにするために,電子メールを利用した匿名発表を可能にするシステムを利用し,記名発表と比較しながら学習者の意識を調査した。匿名発表と記名発表に対する意識を比較した結果では,「言いにくいことを伝えやすい」,「意見を伝える時に恥ずかしさを感じさせない」,「授業の内容を理解できるように感じる」,「意見を表明することに意義を感じる」,「授業へ参画する気持ちが強まる」ということが明らかとなった。授業に匿名発表を導入することに対しては,大勢の学生が肯定的に評価していた。特に,授業に積極的に参画したいという意欲や,発表の苦手意識や恥ずかしいと思う不安意識が肯定的な影響を与えていた。また匿名での発表や通信料金を気にするという実施上の問題を改善したいという意欲は,否定的な影響を与えていた。全体的な傾向として匿名発表には,発表に対する抵抗感を軽減し,意見の表明をしやすくする効果かおるといえる。結果として積極的な授業参画を促し,多くの意見を期待することができることがわかった。
  • 國本 和恵
    原稿種別: 本文
    2007 年29 巻4 号 p. 9-18
    発行日: 2007/03/20
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    小学校英語活動は,「聞くこと」と「話すこと」を中心とし,英語に対する意欲を高める指導法が取られている。本研究の目的は,リスニング能力と英語自己評価との関係を検証することである。小学4年生72名(男子45名,女子27名)と小学5年生85名(男子41名,女子44名)が,本研究に参加した。共分散構造分析の結果,5年生に比較し,4年生のパス図は単純な構造であることがわかった。5年生においては,リスニング能力が英語自己評価に正の影響を与えていたが,4年生においてはこの影響が確認できなかった。4年生までの学年には,英語の楽しさ・英語への興味を育む指導が,5年生以上には,リスニング能力を高める指導が,英語自己評価を高めると思われる。
  • 二階堂 年惠
    原稿種別: 本文
    2007 年29 巻4 号 p. 19-28
    発行日: 2007/03/20
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は,従来の小学校社会科の憲法学習が憲法の理念等を所与の物として捉え,表面的な知識のみの教授による閉ざされた認識形成を行う形式的な憲法学習となっていた問題点を克服し,それに代わるものとして社会における憲法の機能・性質を検討し,憲法の理念に基づいて法的社会的問題を解決する実質的な憲法学習(憲法機能学習)を明らかにすることにある。本稿では,アメリカ初等社会科で実践されている法関連教育"VOICE"の憲法機能学習を事例として取りあげた。"VOICE"では子どもたちに憲法の理念を個々人や社会の事実に即して考察させ,憲法の社会的な働きを見つけさせ,法的社会的問題解決に対する判断基準として法を活用し解決させ,憲法の社会的機能を習得させていた。二のような学習により,"VOICE"の憲法学習は,従来の小学校社会科における形式的な憲法学習を改善し,憲法の理念に基づいて民主主義社会を形成していく市民の育成がなされている点て,評価できるものであることを示した。
  • 高垣 マユミ, 田爪 宏二
    原稿種別: 本文
    2007 年29 巻4 号 p. 29-35
    発行日: 2007/03/20
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究では,心理学専攻の大学生60名を対象とし,毎回の講義において学生たちが教授者の教授要因に対する評価を行い,教授者はこれに基づき授業改善を検討する,というサイクルを繰り返した。その中で,学生の講義に対する理解度および満足度は,教授者の教授要因のどの側面によって高められるのかを検討した。本研究の結果,以下の点が明らかにされた。(1)新規の情報を獲得するときの認知的負荷を軽減させるストラテジーを使用することで,「満足度」が高まる。(2)学習課題をクリティカルに吟味したり,思考しながらノートに記録したりする学習方略を修得させることで,「理解度」が高まる。(3)教授者と学生が双方向の対話的な相互行為を行う参加者の構造において自己モニタリング機能を高めさせることで,「理解度」と「満足度」が高まる。
  • 角屋 重樹, 木下 博義, 佐伯 貴昭
    原稿種別: 本文
    2007 年29 巻4 号 p. 37-43
    発行日: 2007/03/20
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,小学校と中学校の教師を対象に,観察・実験を通して児童・生徒に育成される力を因子論的に分析するとともに,小学校教師と中学校教師がとらえている観察・実験を通して育成される力に関する因子の関係を検討することである。このため,広島県内の全公立小中学校の理科担当教師を対象に,16項目からなる質問紙調査を実施した。小学校教師366名と中学校教師255名を対象とした結果は,以下のようになった。(1)小学校教師が観察・実験を通して児童に育成されると考えている因子は,問題解決の技能と原理や法則の理解からなるものと,人間性の育成,の2つである。(2)中学校教師のそれは,問題解決の技能,人間性の育成,原理や法則の理解,の3つである。(3)小学校教師と中学校教師の観察・実験を通して育成される力に関する因子の関係は,以下のようになった。(1)小学校教師が観察・実験を通して育成されると考えている因子は,問題解決の技能と原理や法則の理解からなるものであったが,中学校のそれは問題解決の技能と原理や法則の理解に分離していた。(2)小学校教師が観察・実験を通して育成されると考えている人間性の育成という因子は,中学校教師と同一であった。
  • 高橋 多美子, 高橋 敏之
    原稿種別: 本文
    2007 年29 巻4 号 p. 45-54
    発行日: 2007/03/20
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    幼稚園教育において,自然に関わる保育内容を充実させることは,小学校生活科及び理科教育における児童の学習の拡充に繋がる。そこで本論では,幼稚園教育における自然に関わる保育内容が,どのように変遷してきたかを概観し,今後どのように展開していけばよいのかを明らかにする。幼稚園が創設された当初は,間接的で知識注入型の保育であったが,その後全体としては,幼児の直接体験や主体性を重視する保育へ変化した。今後のその保育の在り方として,(1)生活科・理科教育との連携,(2)自然に対する心情の基盤形成,(3)自然を通した知的面の基盤形成,(4)地域や家庭への支援を挙げた。
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