日本教科教育学会誌
Online ISSN : 2424-1784
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11 巻, 3 号
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  • 石井 信生
    原稿種別: 本文
    1986 年 11 巻 3 号 p. 101-107
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    音楽学習者のあらわでない精神行動は,その学習者にとってのその音楽の意味に依存する。その意味は,音楽学習者がその音楽の属性を概念や感情に係わる自分の一定の枠組みの中に関係づけることによって生じる。音楽教師は,音楽学習者のこのような意味について,量的側面と質的側面とから何らかの方法によって観察,測定することができれば,逆に音楽学習者の音楽に対する意味の関係づけに係わる枠組みを推知し,彼等のあらわでない内的な音楽行動を推知することもまた可能になる。このような音楽行動の構造を熟知していない音楽教育の各論は,教育という観点からは. およそ無意味であると言えよう。本稿は,前稿までに報告した実験データに基づいて,小学生の音楽享受体験におけるあらわでない反応行動としての情動的意味体系を,実際にSD法の援用によって客観的に構造化することを試みた結果の報告である。
  • 伊東 亮三, 池野 範男
    原稿種別: 本文
    1986 年 11 巻 3 号 p. 109-114
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    社会科テストは, 社会科授業とともに,現在の社会科教育では重要な位置をしめている。しかし,社会科教育研究では,社会科テスト研究は未開拓な研究分野として取り残されたままである。この現状に立って,本研究は,中等学校の歴史テストに対象を限定して,社会科テスト研究についての基礎的研究を行うものである。そのため,本稿「社会科テストの授業学的研究(I)」は,歴史テスト問題を作成するときの必要条件を示し,基本的な方略モデルを提示する。次稿「同(II)」は,歴史テスト問題作成上不可欠な評価観点を「歴史理解の構造」と考え,その観点から現行の歴史テスト問題を分析し,その問題点を指摘する。次々稿「同(III)」は,望ましい歴史テスト問題作成上の教授学的観点を具体的に示す。
  • 佐藤 裕, 山本 都久, 古川 雅文, 坂本 和丈, 則元 志郎, 森 敏夫, 松田 幸夫, 橋本 晃啓, 口野 隆史, 中瀬古 哲
    原稿種別: 本文
    1986 年 11 巻 3 号 p. 115-124
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究では授業で扱われている運動種目に対する小学校教師の認識を明らかにすることを目的に小学校教師を対象に意識調査を行い,198名分の有効データを収集した。質問の内容は次のとおりである。(1)運動種に基礎的運動(走る,跳ぶ,投げるなど)がどの程度かかわっているか。(2)基礎的運動それぞれにおける能力的要素(例えば,走るにおける持久力としての走りつづけるなど)は運動種目にどの程度必要か。この2つの設問に対する教師の5段階評定を得点化し,因子分析を行った。さらに,因子得点(代表的項目の平均得点)を算出し,分析したところ,以下の結果が得られた。1)質問(1)についての因子分析の結果,「手技」,「脚運動」,「回転運動」の3因子が抽出された。2)小学校教師は運動種目を各学年で6つのグループに分けて捉えている。この分けかたは,学習指導要領に示されている小学校高学年の5つの領域(水泳を除く)とかなり対応的である。3)高学年の運動種目の因子得点平均値の分布は,低学年にくらべて広い範囲にわたる傾向がみられた。4)質問(2)の因子分析の結果,基礎的運動ごとにまとまる9因子が抽出された。このことから,小学校教師は,能力的要素の視点からではなく,基礎的運動の視点から運動種目のまとまりを捉える傾向が示唆された。5)経験年数の豊富な教師は,少ない教師に比べて,運動種目に対する各基礎的運動のかかわりを高く評価していた。これらの結果は,運動種目の教材化,系列化の観点から考察が加えられた。
  • 松本 和子
    原稿種別: 本文
    1986 年 11 巻 3 号 p. 125-130
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    現在,ESLライティング指導及び研究の重点は,プロダクトとしてのライティングよりもむしろ,ライティング・プロセスに置かれている。プロダクトからプロセス重視への移行という最近の動向の中で,数多くの実証的研究により有効性が証明され,研究者の注目を集めてきているのが,センテンス・コンバイニングと呼ばれる統語的アプローチである。この練習法の主たる利点は,学習者の束縛感や不安を軽減する心理的効果,学習意欲を喚起する言語パズル的性格にあり,我が国の英作文教育においても,自由作文ヘの橋渡し的役割を果たす制限作文練習として積極的に活用すれば,英作文力の向上が大いに期待できるはずである。本稿(I)では,センテンス・コンバイニングの有効性を中心に論述,考察する。(III)では,センテンス・コンバイニング練習の具体例を提示し,我が国の大学レベルの英作文教育に応用した実践報告を行なう。
  • 宮川 秀俊, 盛政 貞人
    原稿種別: 本文
    1986 年 11 巻 3 号 p. 131-137
    発行日: 1986/12/10
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    「簡単な電気回路」を題材にとって,パソコンによるシミュレーションを利用して学習する場合(PC群)の学習効果を検討・把握するために,実験基盤を使用して実物実習を行う場合(EX群)との比較研究を実験授業を通して行い,次の結果を得た。(1)事後テストの結果では,PC群とEX群の間に問題によって多少の差はあるものの,総括的に言ってほぼ同等の学習効果があらわれた。(2)意識調査によると,PC群においてはEX群に比べて回路の書き方および理論的学習にやや優れる一方,実物についての学習にやや劣るような傾向が見られた。(3)PC群の感想では,その授業が生徒の興味をひき,さらに学習意欲の喚気に役立つと思われる回答が得られた。
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