中等教育における理科と家庭科のかかわり合いの問題についての研究の一環として,高校までの理科及び家庭科を履修して来た高校卒業生という意味で,女子短大生に対して,生活の科学的理解及びそれに対する高校各教科の寄与ということについて,どのような意識を持っているかを,質問紙法によって調査した。その結果,生活の科学的理解に対して,家庭科はある程度寄与していると考えられているものの,理科はこの面では非常に低い寄与しかしていないことが分った。次に,具体的な内容の例として,燃料・エネルギー教材について調べてみると,この様な内容については,理科も不十分な知識の供与しかしていないが,家庭科は更に不十分な知識の与え方しかしていないのが分った。以上の結果から,生活離れした理科と,社会への眼の向け方が不十分な家庭科という現実の姿が実証された。そこで,その解決法の例として,燃料・エネルギー教材を扱う教科について質問したところ,大多数の回答は,理科と家庭科,あるいは理科,家庭科,社会科の協力あるいはそれぞれでこれを扱うべきであるとしており,単一教科への期待をはるかに上回っていた。
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