日本教科教育学会誌
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20 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 中間 美砂子
    原稿種別: 本文
    1998 年 20 巻 4 号 p. 1-8
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    高等学校家庭科カリキュラムを,人間発達,生活環境の視点から構想し,その評価を行うことを目的とする。まず,広島県高等学校家庭科教員320名を対象に,1992年1月カリキュラム構想に関する意見を聴取するための調査票Iを送付した。回収率は38.5%であった。ついで,全国高等学校家庭科教員230名を対象に,1994年3月カリキュラム構想の評価を求める調査票IIを送付した。回収率は36.5%であった。回収率の低さは一般に25〜40%の範囲とされる郵送法の限界によるもので,積極的回答者の意見という限界を持つ。結果の概要は次の通りである。1「家族・保育」領域の学習項目,「経済・消費」領域の学習項目についての意見をもとに,家政学のパラダイム変換を考慮し,シークエンスに人間発達を,スコープに生活環境を設定したカリキュラム構想を試みた。2カリキュラム構想の評価にあたって,人間発達の視点の導入については,肯定的意見が90.5%,生活環境の視点の導入については,肯定的意見が86.9%みられ,ほぼ,肯定されているといえる。
  • 鈴木 洋子
    原稿種別: 本文
    1998 年 20 巻 4 号 p. 9-15
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    小学校低・中学年より総合学習の一環として食生活学習を取り入れた文部省研究開発学校の新設教科(生活科,地域・環境科,人間科,生活体験科)および,英国"Health Education"における食生活学習の扱いを分析検討した。1)文部省研究開発学校の低学年または中学年からの食生活学習は,実地体験に重点を置く調理を中心に食文化や流通などを加え食生活を多面的に捉える傾向にあるが,家庭科食物学習の中心に位置する栄養,食品の学習が減少傾向にある。2)"Health Education"小学校初期レベルの食生活学習は,学習の中心を栄養,食品においているがトピック学習の扱いなので,学習の保障がない。以上の結果をふまえ,本報は食生活の自立に必要な栄養,食品と,これらの知識を実生活にいかす調理の基本的事項を学習した上で総合的視点からの学習を位置づけることを提案する。
  • 高橋 敏之
    原稿種別: 本文
    1998 年 20 巻 4 号 p. 17-26
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    文字の習得は,小学校に就学してから国語科教育において体系的に指導されるようになる。これに対して描画活動は,通常1歳前後にスクリブルから自発的に始まる。しかし,writingもdrawingも平面における描出行為であり,起源は同じである。例えばギリシャ人は,グラフオという言葉で両者を一括していたと言われている。それが,絵,絵文字,文字という歴史が示すように,文字と絵はそれぞれの専門性が徐々に進み,現在では別個の物として扱われ,認識されている。したがって,文字を書く(write)ことは国語教育で指導・研究され,絵を描く(draw)ことは美術教育で指導・研究されるのが,現在は常識になっている。本研究は,幼児が正しい文字記号を習得する前段階に創作する前文字図形を対象にしている。この「幼児文字」が,国語教育と美術教育の間を埋める重要な手がかりを与えると考える。本論では,罫線・升目と幼児文字の関連性を考察した。
  • 鳥居 隆司, 杵淵 信, 安藤 明伸, 風間 裕, 村上 かおり, 五百蔵 高浩, 八並 光俊
    原稿種別: 本文
    1998 年 20 巻 4 号 p. 27-33
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    高等教育における力学の演習用ソフトウェアとして,専用インタプリタ言語を開発し,その効果を調査した。開発したソフトウェアは,日常の物体に働く力学的関係をそのまま記述することでプログラム化が可能で,さらに時間のパラメータを設定することで画面にアニメーションを表示するという特徴を合わせ持っている。本ソフトウェアを高等教育に適用した結果,プログラミング作成能力を習得することなく,本来の教育目的である力学の基本事項について認知を高めることに有効であった。
  • 入江 和夫, 板橋 文夫
    原稿種別: 本文
    1998 年 20 巻 4 号 p. 35-41
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    家庭科教育における教材開発の視点をさぐることを目的として,中学生男女と教師の三者による家庭科観を調査した。家庭科を重要と考える割合が最も多いのは教師,次いで女子,男子の順であり,男子は半数以下であった。高校までの家庭科男女共学の支持が最も多いのは教師,次いで女子,男子の順であるが,三者とも半数以下であった。中学生男女は家庭科でつけたい力として,「礼儀・規律」「家事技能」を考え,特に女子は教師よりも後者を重要と考えていた。教師は「消費者教育」「家事参加態度」「環境教育」「生活問題」を重視していた。因子分析により,家庭科でつけたい力の項目を選択した背景を特に女子は"科学的家事技能生活力"としてとらえ,教師は"総合的生活力""広角的生活対応力"としてとらえていた。これらの結果から今後の家庭科教育について一考した。
  • 中村 公子, 服部 愛
    原稿種別: 本文
    1998 年 20 巻 4 号 p. 43-52
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    家庭科教育が,小・中・高校で一貫して男女共学になった現在,学習内容についての検討が大きな課題となっている。特に「被服」領域に関連してその傾向は著しく,従来から多くの問題が指摘され議論されている。中学校での調査結果によると,被服製作を男女共学の教材と考える家庭科の教師は約80%であるとの報告もあるが,一方で次期の学習指導要領改訂に向けて「被服」領域における被服製作の分野は精選されるべき教育内容としての提示がなされる(平成8年7月の中教審答申)など「被服」領域全般についての学習内容の見直しは必至となることが予想されている。「被服」領域の学習内容について,精選するための示唆を探り,また指導上の改善の要点を得る目的で,男女共学の教育内容の定着しているアメリカの教科書を検討した。それらを日本の教科書と比較し考察した結果,「被服」領域についても前報の「食物」領域と同様に,両者の特徴が明らかとなった。
  • 奥原 球喜
    原稿種別: 本文
    1998 年 20 巻 4 号 p. 53-60
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    子ども達は今,多くのストレスを抱え,そのやり場を弱い者をいじめることに求めているかのように,歪んだ人間関係の中であえいでいる。そして,その標的となり,いじめという非人間的な仕打ちを受け心に深い傷を負った子が,尊い命を落とすという痛ましい出来事が相次いでいる。子ども達の健やかな成長にかかわることを使命とし,日々奮闘しているわたし達教師にとって,やり切れない思いの昨今である。本稿は,このいじめ問題解決に向けた図画工作科の役割を考察し,次のような題材とその方法を提示するものである。(1)やさしい心を育む題材(2)個々のよさや違いを認め合い,自信をもつ題材(3)力を合わせることのすばらしさを知る題材
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