応用地質
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43 巻, 5 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 物理探査と実測データを用いた検討
    鈴木 浩一, 伊藤 栄紀, 千木良 雅弘
    2002 年 43 巻 5 号 p. 270-283
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    風化花崗岩よりなる12年前に掘削された法面の降雨浸透挙動を調査するため, 電気探査法とTDR法によるモニタリングを行った. 法面下部の表層1mの領域は比抵抗変化が顕著に認められ, 降雨による湿潤と降雨後の乾燥の繰り返しが認められた. 法面上方の斜面では降雨による比抵抗変化は深部にまでおよび湿潤状態が継続していることが推定された. TDR法による体積含水率は, 法面下部の表層では降雨により10%から20%に増加し降雨後は速やかに減少した. 簡易貫入試験結果および採取試料の物理特性より, 法面下部の表面より約40cmの領域にある掘削前の風化程度の弱い花崗岩では, 掘削後に密度・貫入抵抗値は減少し間隙率は増加した. この要因として, 降雨による湿潤と乾燥の繰り返しおよび法面掘削による応力解放により表層部の割れ目が増加したと推定される. 一方, 法面中部で掘削前の風化程度の強いマサでは, 掘削後の物理特性の変化は明瞭には認められなかった. この緩み域の可視化を目的に弾性波探査屈折法を行い, 比抵抗・弾性波速度断面図を組み合わせて解析した飽和度・間隙率・体積含水率分布図は, TDR法および簡易貫入試験結果とほぼ整合した.
  • 末永 弘, 木方 建造, 岡田 哲実
    2002 年 43 巻 5 号 p. 284-292
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    地下深部から採取された堆積岩のボーリングコアを用いて, 室内透水試験を行った. 岩石の堆積面に対して鉛直・水平方向の透水性の違い, すなわち透水異方性を評価するために, ボーリングコアを孔軸方向と, これに直交する方向に成形し, それぞれの透水係数を測定した. この結果, 水平方向の透水係数は鉛直方向のそれよりも大きいことが示された. また, 試料の採取方法の違いが透水異方性の評価に与える影響を検討した. この結果, 細粒砂岩, 泥岩の場合, 同一の試料を用いて鉛直・水平方向の透水係数を測定した方が, 近傍から採取した2種類の試料を用いて測定するよりも適切に透水異方性評価が行われると考えられる. 次に, 間隙率・弾性波速度と透水係数・透水異方性との相関を求めたところ, 透水係数とS波速度との問にやや負の相関があることが明らかとなったものの, 間隙率・弾性波速度と透水異方性には相関がほとんど見られなかった.
  • 静的境界条件下における検討
    登坂 博行
    2002 年 43 巻 5 号 p. 293-305
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    本研究では, 沿岸域における放射性廃棄物地層処分を考えるうえでの基礎的資料の提供を目的として, 淡塩漸移帯を含む地下水流動場の状態を2次元断面モデルにより検討した. 本報は, その1として, 静的境界条件下 (海水準変動, 地殻変動, および人間活動がない条件下) の感度解析の結果のみをまとめたものであり, 主な結論は以下の諸点である. (1) 淡塩漸移帯を数値的に形成するたあには, 初期の塩水飽和状態からの淡水化と, 初期淡塩分離状態からの塩水の陸側への浸入過程が考えられるが, どちらの計算も十分時間が経過すると同様の平衡状態に落ち着く. (2) 塩水飽和から平衡状態に達するまでの時間の検討から, 第四紀程度の時間 (200万年程度) があれば, 多くの沿岸陸側地下は淡水化が進んでいる状況が考えられる. (3) 海岸付近の地形標高の大小, 降雨の地下涵養量の大小, 地層の異方性の大小により淡塩漸移帯の位置は変化し, それらが大きい場合には海底湧出の可能性が高い. (4) 断層が淡塩漸移帯の位置. 形態に影響する程度は, 低透水化したものの方が高透水化した断層より大きくなる可能性がある.
  • 動的境界条件下における検討
    登坂 博行
    2002 年 43 巻 5 号 p. 306-315
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    地層処分の沿岸域地下立地可能性に関する基礎資料を提供することを目的として, 淡塩漸移帯の位置, 形態, およびその付近の地下水流動場に関する解析的検討を行った. 本報では, 前報 (その1) に引き続き, 海水準変動, 地殻隆起, および地下施設建設に伴う動的境界条件下での感度解析を行い, 以下の諸点をまとめた.
    (1) 地質時代における海水準変動の繰り返しの結果として予想される現在の淡塩漸移帯形状は, 地下深部に行くに従いGHYBEN-HERZBERG的平衡形態とは大きく異なる可能性のあることが示唆された. これは海退と海進の速度的ちがい, および最後の海進から現在までの時間が短く, 地下深部では海退時の淡水の張り出し効果が残存するためと考えられる. すなわち, 静的境界条件下での形態予想は実サイトの評価には不適当となる可能性が大きいことも示唆している.
    (2) 地下施設建設に伴う地下水位低下, 淡塩漸移帯の引き込み, および埋め戻し後の水位回復は百年オーダーで起こると考えられるが, 埋め戻し後の淡塩漸移帯の位置回復にはより長時間 (数千~1万年オーダー) を要すると予想される.
  • 茶石 貴夫, 菊地 輝行, 前田 修一
    2002 年 43 巻 5 号 p. 316-319
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    筆者らは, 佐久間ダム貯水池について堆砂形成のメカニズムと対策例について報告した.
    本貯水池は建設後45年を経て, 総貯水容量3.26×108m3に対し約30%が堆砂で埋められている. 最近m年間の堆砂量は140万m3/年と比較的安定し, 年間の堆砂量は最大洪水流量と密接に関係している. 堆砂デルタには上下二つの形成過程が見られ, 下部デルタ形成後に, それを被うように上部デルタが堆積している. その形成は貯水池の水位操作と密接に関係することがわかった. 上下デルタの表層部には厚さ数mのシルト層が堆積しており, 下部のシルト層は下部デルタ堆積後に貯水位が上昇した時期に形成されたと考えられる. 当貯水池の堆砂は比較的細粒であるため, コンクリート骨材に利用できる可能量を推定するには粗い砂粒子の分布量が重要である. 当貯水池の堆砂対策は, フラッシングによる湖内移送, 凌渫船による湖内移送および湖外搬出を行っている. 湖外搬出はコンクリート骨材等として集中的に採取されてきたが, その影響で偏った堆砂の粒度分布が見られる.
  • 応用地形学研究小委員会
    2002 年 43 巻 5 号 p. 320-327
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
  • 久永 喜代志, 金折 裕司
    2002 年 43 巻 5 号 p. 328-332
    発行日: 2002/12/10
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
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