日本臨床免疫学会会誌
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14 巻, 6 号
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  • 宮坂 信之
    1991 年 14 巻 6 号 p. 571-577
    発行日: 1991/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • 宮田 昌之, 木田 さとみ, 粕川 礼司
    1991 年 14 巻 6 号 p. 578-582
    発行日: 1991/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    陽性荷電抗原は,膜性腎炎を発症させうることが知られている.このため陽性荷電抗原に対する抗体を測定することは,本症の発症のメカニズムを解明するために役立つものと考えられる.ウサギ(IgGのアロタイプがb 4)に陽性荷電ウサギIgG (c-RbIgG) b 4またはb 9を静注投与したところ腎糸球体基底膜に沿って補体とIgGの顆粒状の沈着を認めた.受身血球凝集反応を用いて抗原の荷電に障害されずに抗c-RbIgG抗体の測定が可能であった. c-RbIgGb 4投与に比しc-RblgGb 9投与でより高力価の抗c-RbIgG抗体が得られた.さらにc-RblgGb 9投与において抗RbIgGb 9抗体が得られ,陽性荷電抗原が著しい抗原性を有することがうかがわれた.
  • 松田 重三, 斎藤 紀子, 川杉 和夫, 合地 研吾, 木下 忠俊
    1991 年 14 巻 6 号 p. 583-592
    発行日: 1991/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    SLE, PSSを対象に, venous occlusion test (VO test)を実施し,血管内皮に関連した血液凝固線溶系の動態,とりわけlupus anticoagulant (LA)陽性群と陰性群の反応性の相違を検討した.
    その結果, plasminogen activator inhibitor-1 (PAI-1)は患者群とcontrol (c)群間で有意の差はなかったが, tissue plasminogen activator (tPA)は,患者群において, VO test前後で増加の程度は低く, FVIIIR: Agは,テスト前後で著明な高値を示した(p<0.01).またLA陽性群は, LA陰性SLEやc群に比し, test前後でtPAは著明に低かった(p<0.01)が, FVIIIR: Agは,両群間で有意差はなかった.
    以上より,膠原病患者,とりわけLA陽性患者でしばしば生じる血栓症の要因の1つとして,血管内皮からのtPA産生,放出低下が関与していることが推察された.
  • 関 孝, 城 宏輔, 久保 政勝
    1991 年 14 巻 6 号 p. 593-602
    発行日: 1991/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    ネオプテリンはin vitroにおいて単球/マクロファージおよび血管内皮細胞がinterferon-γ (IFN-γ)で刺激されたときに分泌される低分子物質であり,単球系細胞の活性化の指標として知られている.われわれは血清ネオプテリンを測定することにより,小児期の各炎症性疾患における単球の活性化を評価することをこの実験の目的とした.血清ネオプテリンはradioimmunoassayにより測定した.健常小児では1歳以下のグループで1歳以上の各年齢別のグループに比べ有意に血清ネオプテリンが上昇した.急性細菌性疾患,ウイルス性疾患, SLE,亜急性壊死性リンパ節炎などの疾患では,コントロールに比べ有意に血清ネオプテリンの上昇がみられた.亜急性壊死性リンパ節炎およびCNSループスで血清ネオプテリン値は赤沈値やCRPよりもよく疾患活動性と平行しており,血管炎ならびに単球系細胞の活性の指標となると考えられた.
  • 高石 雅敏, 高橋 寛二, 定本 謙一郎, 石岡 伸一, 前田 裕行, 高橋 浩一, 小山 徹, 保沢 総一郎, 柳田 実郎, 稲水 惇, ...
    1991 年 14 巻 6 号 p. 603-610
    発行日: 1991/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    発熱患者の尿中に存在するIL-1インヒビターの性状を検討した. high pressure liquid chromatography (HPLC)により,分子量は約21,000と見積もられた. IL-1インヒビターは, 56°Cで30分間の熱処理およびpH3.0での酸処理により失活したが, pH5から11では失活しなかった.
    IL-1インヒビターは, IL-1刺激によるマウス胸腺細胞の増殖を抑制するだけでなく, IL-1刺激により誘導されるin vitro抗体産生細胞の出現を抑制した.またIL-1インヒビターは, IL-1のマウスへの投与により誘導される発熱を抑制した.この成績は, IL-1インヒビターはin vitroだけでなくin vivoにおいても作用することを示している.
  • 橘 順子, 菅井 進, 福徳 雅章, 竹内 洋子, 吉岡 律子, 清水 史郎, 広瀬 優子, 滝口 智夫, 紺田 進
    1991 年 14 巻 6 号 p. 611-620
    発行日: 1991/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    レイノー現象に対し血管収縮刺激(冷水負荷)と血管拡張刺激[ニトログリセリン(NG)軟膏の局所塗布またはリポプロスタグランジンE1 (LipoPGE1)静脈内注射]を組み合わせて,手指表面温度および深部温度を持続測定する新しいテストシステムを行い,レイノー現象患者の末梢血行動態を検索した.患者はシェーグレン症候群25例,全身性硬化症8例,全身性エリテマトーデス6例,他疾患13例,合計52例(うちレイノー現象を示すもの46例)と対照7例である.結果は正常型(N型),改善型(I型),著明改善型(II型),悪化型(III型)の4型に分類できた. NG群では59例中37例(62.7%)が改善型(I~II型)を示し, 9例(15.3%)が悪化型(III型)を示した. LipoPGE1群では19例中11例(57.9%)が改善型(I~II型)を示し, 5例(26.3%)が悪化型(III型)を示した.今回行った測定方法は感度と再現性に優れており,レイノー現象の評価によい方法であった.
  • 坂東 由紀, 五十嵐 宗雄, 大谷 英樹
    1991 年 14 巻 6 号 p. 621-625
    発行日: 1991/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    ヒト型単クローン性免疫グロブリンを確立するために,ヒトB細胞とマウス骨髄腫細胞の細胞融合を行い,ヒト-マウスヘテロハイブリドーマを作製した.ヒトB細胞には,末梢血由来のEBウイルス形質転換細胞と,末梢血および扁桃組織由来のpokeweed mitogen (PWM)刺激リンパ芽球を用いた.これらをマウス骨髄腫細胞P 3 X 63 Ag 8.653と細胞融合し,得られたハイブリドーマから分泌された免疫グロブリンイソタイプを検討した. EBウイルス形質転換細胞は長期培養されたものから効率よくハイブリドーマができ, IgMが有意に多く分泌されていた. PWM刺激リンパ芽球からのハイブリドーマからはIgG, IgA, IgMの分泌が認められた.これらヒト型単クローン性免疫グロブリンは,アロタイプ解析のための抗原パネルとして有用であると考えられた.
  • 鏑木 淳一, 川合 眞一, 桑名 正隆, 東條 毅, 高野 慎, 船津 雄三
    1991 年 14 巻 6 号 p. 626-632
    発行日: 1991/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    慢性疾患である全身性強皮症(SSc)の診療では,皮膚硬化,内臓病変に対する評価のみならず, quality of life (QOL)の改善がその目標として重要である.すなわち,身体的要素,社会的要素,精神的要素,経済的要素を加えたQOLである.今回, SScにおけるQOLの評価を試み,臨床における有用性を明らかにすることを目標とした. SSc 38例を対象とし, Pincusら, Balabanら, Lorishらの調査項目に準じ, QOLに関する調査をアンケート法・面接法により行った.身体的要素として,機能障害指数(FDI)高値例は, diffuse scleroderma, SSc特異症状scoreの高い症例で認められた. 1ヵ月間に必要な医療費にかかわらず,病気による経済的損失を自覚している症例が見出された. FDIが低下している症例でも,社会的要素が良好に保たれている場合,精神的要素も良好であった.以上の成績から, SScにおけるQOLの調査は,臨床上有用であると考えられた.
  • 出原 賢治, 武田 博子, 新納 宏昭, 本村 正治, 新堂 昌文, 北島 正大, 石川 治英, 徳永 三千子
    1991 年 14 巻 6 号 p. 633-638
    発行日: 1991/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    妊娠18週で発症した成人Still病と考えられた1例を経験した.症例は30歳の女性で, 19歳に原因不明の発熱を生じ,成人Still病の発症が疑われた.妊娠18週のときより発熱,多関節痛が出現した.入院時の現症では,リンパ節腫大,肝脾腫,多関節の腫脹,可動痛を認めた.発熱時に両下腿に融合傾向の強い斑状紅斑がみられた.検査成績では,血沈亢進,好中球増加,軽度の肝機能障害, CRP強陽性,フェリチン高値などを認めた.他の発熱疾患を否定することにより成人Still病が疑われた.入院後aspirinを使用したが肝機能障害が増悪したため, naproxenに変更して肝機能障害なく軽快した.胎児に一時子宮内発達遅延を認めたが, 38週に男子を出産し母子共に異常なかった.分娩後現在まで再発はみられていない.妊娠中に発症した成人Still病は自験例を含めて6例しか報告されておらず,これらについて文献的考察を行った.
  • 渥美 達也, 佐川 昭, 勝俣 一晃, 天崎 吉晴, 中林 透, 渡部 一郎, 向井 正也, 藤咲 淳, 澤田 賢一, 中川 昌一
    1991 年 14 巻 6 号 p. 639-645
    発行日: 1991/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は21歳男性. 1989年10月,発熱にて当科受診.尿蛋白300mg/dl,抗核抗体160×,抗DNA抗体827U/mlよりSLEと診断した.発熱は持続し,初診時は10.6g/dlであったヘモグロビン濃度が12月6日には6.4g/dlと急速な貧血の進行を認め,さらに脱毛および皮疹が出現したため, 12月16日当科入院となった.貧血は正球性正色素性であったが溶血の所見を認めず,骨髄中の赤芽球は全有核細胞の6%と著明な低形成であったためSLEにともなう赤芽球癆と診断した.プレドニゾロン60mg/日より治療を開始したが,発熱,骨髄像に変化なく,ステロイドパルス療法を施行し,解熱および皮疹の改善,血清学的なSLEの寛解とともに,骨髄に赤芽球の増加(26%)および貧血の改善が認められた.本症例のSLEに合併した赤芽球癆では,ステロイドパルス療法が適切であると考えられた.なお,コロニー形成法により本症例の赤血球造血障害部位はCFU-Eから前赤芽球にいたる段階にあると推定された.
  • 水戸川 剛秀, 西谷 皓次, 四方 賢一, 槇野 博史, 平川 秀三, 太田 善介
    1991 年 14 巻 6 号 p. 646-652
    発行日: 1991/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    ネフローゼ症候群を合併した慢性リンパ性白血病(以下CLL)の1例を報告する.症例は56歳,男性.昭和61年蛋白尿を指摘され,昭和63年8月より下肢の浮腫,全身倦怠感,盗汗,レイノー現象が出現した.同年11月急性扁桃腺炎を契機にネフローゼ症候群を発症し抗核抗体陽性,抗DNA抗体高値,低補体価よりループス腎炎の疑いにてプレドニゾロン(以下PSL) 30mg/日, dipyridamole 300mg/日投与され,腎生検ではループス腎炎(diffuse proliferative lupus nephritis)に類似の組織学的所見を呈していた.経過中に末梢血リンパ球数(10,560/mm3)の増加と膜表面免疫グロブリン保有細胞(IgM, IgD, κ鎖陽性)が80%を占め,モノクローナルなBリンパ球の増殖が認められた.さらに,骨髄穿刺では同じ表面マーカーを有する成熟小リンパ球が50%を占めCLL (stage 0)と診断した.現在, PSLの投与により蛋白尿の消失,末梢血リンパ球数も減少し,良好な経過をたどっている.
  • 自己免疫性肝炎との鑑別について
    島 さつき, 徳田 道昭, 溝口 晶仁, 倉田 典之, 入野 昭三
    1991 年 14 巻 6 号 p. 653-658
    発行日: 1991/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    SLEにおける肝障害は従来,腎障害の頻度に比較すると少なく,また存在したとしても軽度の生化学的異常にとどまり,病理学的にも脂肪変性,うっ血性変化などの非特異的変化が多いと考えられてきた.しかし, 1956年, Mackayらがルポイド肝炎の疾患概念を提唱して以来, SLEに伴う肝病変と自己免疫性肝炎との異同が問題となり,疫学的,病理学的,病因論的検討がなされてきたが,現在にいたるまで定説を得るにはいたっていない.今回われわれは,多彩な免疫学的異常を呈した慢性活動性肝炎(CAH)の1例を経験したが,本例はARAの診断基準を4項目以上満たし,さらに抗ds-DNA抗体,抗Sm抗体が陽面で,抗平滑筋抗体,抗ミトコンドリア抗体が陰性であるなど, SLEに特徴的と思われる免疫学的異常を認めたため,本例のCAHは,自己免疫性肝炎とするよりも, SLEに伴う肝病変と考えた.
  • 斎藤 潔
    1991 年 14 巻 6 号 p. 659-665
    発行日: 1991/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    抗生剤使用中に発症した顆粒球減少症の3症例の発生機序に関する検討を, GMコロニー形成法を指標として行った. 2症例は患者GMコロニー形成に対する薬剤と回復期血清および末梢血単核球の影響を, 1症例においては正常ヒトGMコロニー形成に対する薬剤と急性期患者血清および患者IgGの影響をそれぞれ比較検討した.その結果,薬剤と回復期血清および末梢血単核球添加時に著明な患者GMコロニーの抑制を認めた.また急性期の血清および患者IgGは正常ヒトGMコロニーを抑制した.以上の実験結果は,顆粒球減少が,薬剤,患者血清,末梢血単核球を介する免疫学的な機序によって発症した可能性を示唆するものである.
  • 石山 泰二郎, 榊原 裕司, 美谷島 季彦, 黒田 博之, 若林 芳久
    1991 年 14 巻 6 号 p. 666-670
    発行日: 1991/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    41歳の日本人男性が, 1990年1月に呼吸困難,発熱および全身倦怠感にて入院した.患者は肺炎に罹患していて,男の恋人がいることがわかった.患者は,ホモの生活歴,著明なリンパ球の減少, T 4/T 8比の著しい減少およびHIV抗体陽性の所見よりAIDSと診断された.しかし,患者は診断後ただちにカリニ肺炎にて死亡した.
    解剖所見で,サイトメガロウイルス副腎炎とカリニ肺炎が明らかにされた.
  • 西成田 真, 柏崎 禎夫
    1991 年 14 巻 6 号 p. 671-678
    発行日: 1991/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    OKT 4エピトープ欠損症を合併し,経過中cyclosporin A (CYA)の投与により,筋炎を併発したベーチェット病の1例を報告する.症例は42歳,男性.昭和61年9月ぶどう膜炎を発症,口内炎,外陰部潰瘍,毛嚢炎の出没があり,ベーチェット病と診断.平成元年5月前房畜膿を伴う激しい眼発作あり,当科入院.末梢血リンパ球表面マーカーを検索したところ, OKT 4陽性細胞はまったく証明されなかったがLeu 3 aは40.1%と正常であり, OKT 4エピトープ欠損症と診断した. PHA, ConA, PWMによるリンパ球幼若化反応は正常であった.家系調査で, 3人の息子のヒストグラムは中間型を示し, OKT 4エピトープ欠損症は,従来の報告どおり常染色体不完全優性遺伝の形式をとることが示唆された.入院後, CYA 400mg/日を投与したところ,眼発作は速やかに消失したが,投与3日目より四肢の筋肉痛,筋力低下が出現,筋原性酵素の著明な上昇をみた.筋電図では筋原性パターンを示した. OKT 4エピトープ欠損症とベーチェット病の合併は本症例が初めてである.さらに,本症例ではCYAの投与により筋炎が併発したが,かかる症例の報告は,海外で1例報告されているにすぎない. CYA誘発筋炎が, CYAの通常の副作用なのか, OKT 4エピトープ欠損症という特殊な病態の上に起こったものなのかは不明で,今後の症例の蓄積が待たれる.
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