日本臨床免疫学会会誌
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23 巻, 2 号
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  • 佐野 統
    2000 年 23 巻 2 号 p. 65-89
    発行日: 2000/04/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
  • 梅原 久範
    2000 年 23 巻 2 号 p. 90-102
    発行日: 2000/04/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
  • 小嶋 浩司
    2000 年 23 巻 2 号 p. 103-113
    発行日: 2000/04/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    慢性関節リウマチ(RA)の病態形成に骨髄異常が関与することが知られている.最近RAの関節滑膜に未分化血球系細胞とstem cell factorの存在が証明された.今回, RA関節液がヒト前骨髄球性白血病細胞株HL 60からのCD 14陽性/HLA-DR陽性細胞の分化へ及ぼす影響を検討した. RA患者18名および対照群患者(非RA関節疾患)10名の関節液を対象とした. HL 60を関節液存在下に5日間培養後CD 14とHLA-DRの発現をフローサイトメトリーで測定した. RA関節液では,対照群患者関節液に比しHL 60からのCD 14陽性/HLA-DR陽性細胞・HLA-DR陽性細胞の分化誘導能が有意に亢進していた.種々のサイトカインやRA患者血清はこうした分化誘導活性を示さなかった.こうしたRA関節液のHL 60の分化誘導活性はピアルロニダーゼ処理により著明に低下した. RA患者と対照群患者の間では,関節液中のビアルロン酸濃度に有意差はなかった.以上より, RA患者関節液中には未分化血球系細胞よりHLA-DR陽性細胞への分化を誘導するビアルロン酸に関連する因子が存在し,これはピアルロン酸の質的異常に関与することが示唆された.
  • 宇野 克明, 辻 公美, 細川 丈志, 筑丸 志津子, 美濃口 秀子, 祖父尼 哲, 上田 裕司
    2000 年 23 巻 2 号 p. 114-123
    発行日: 2000/04/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    免疫学的パラメーターの測定を用いたがんスクリーニングの意義について検討した.がん患者174人,非がん対照者100人に対する免疫学的パラメーターの測定では, IL-12, IFN-γ, TNF-αおよびTh1細胞比においてがん患者に有意な低下を認めた.一方NK細胞活性はがん患者において有意な増加を認め,これら免疫学的パラメーターの測定によるがん判別の可能性が示唆された.免疫学的パラメーター測定によるスクリーニング判断には多変量解析と, IL-12, IFN-γを中心とした個別の至適Cut-off値設定による手法が検討され,その双方において良好ながん判別を得ることができた.免疫学的パラメーターの測定をがんスクリーニングに導入することは従来の検査手法では検出し難い,早期がんの発見にも役立つ可能性が示唆され,非常に有力ながん予防医学的手段であることを我々は初めて確認した.
  • 青木 昭子, 大野 滋, 上田 敦久, 出口 治子, 大久保 忠信, 萩原 恵里, 白井 輝, 桶谷 美香子, 長岡 章平, 瀬沼 昭子, ...
    2000 年 23 巻 2 号 p. 124-128
    発行日: 2000/04/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    シェーグレン症候群(SS)は外分泌腺の慢性炎症を主体とする自己免疫疾患であるが,多彩な腺外症状を呈す.血球異常の合併は稀ではないが,臨床上問題となることは少ない. 1989年から99年に外来受診した原発性SS 99人の血球異常を検討した.平均年齢は54.1歳,女性95人,男性4人.リンパ球減少35人(35.3%), 白血球減少26人(26.2%), 血小板減少7人(7.1%). 43人(43.4%)でいずれかの異常を認めた.リンパ球減少群では有意に関節症状が低率で,抗SS-A/B抗体陽性率が高かった.リンパ球減少群1例で多関節炎,全身倦怠感のためプレドニゾロン投与したが,他の症例は治療を必要としなかった.血小板減少群は有意に低年齢で,男性の頻度が高く,発疹の頻度が高かった.また抗SS-B抗体,抗核抗体,リウマトイド因子陽性の頻度が有意に高かった.血小板減少群3例で特発性血小板減少症に準じた治療を要した.治療例は全例PA-IgG陽性,骨髄像正常であった.血小板減少は多クローン性B細胞活1生化を含む自己免疫機序によると考えた.
  • 眞田 功, 河野 文夫, 塚本 敦子, 清川 哲志
    2000 年 23 巻 2 号 p. 129-134
    発行日: 2000/04/30
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    自己免疫性肝炎として10カ月間プレドニゾロン(PSL)内服で観察中の24歳女性.平成7年6月,全身倦怠感,食欲不振に気付き,肝障害増悪が判明.入院となりPSLの増量で肝機能は改善した. PSL減量とともにアザチオプリンが投与開始となった. 10日後高熱と頚部リンパ節腫大が出現.アザチオプリン中止となり抗生剤点滴開始. 9月5日アザチオプリン再投与.その2時間後,腰部より下肢にかけ激痛出現.そのあと悪感,高熱,低血圧が出現し抗生剤を投与された.血液培養は陰性だった.低血圧は2日で回復した. 10月5日,外来で処方されたアザチオプリンを内服した. 2時間後,再び同様の症状が出現した.2回ともアザチオプリン内服で下肢の激痛,低血圧が生じアザチオプリンによる過敏症と思われた.
  • 南部 光彦, 八田 和大
    2000 年 23 巻 2 号 p. 135-140
    発行日: 2000/04/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    高IgM血症,血小板減少症,脾腫を有した1女児例を経験した.フローサイトメーターにて血小板表面にIgG抗体のみならずIgM抗体も検出された.また直接クームス試験は陽性であり,赤血球表面にもIgG抗体が認められた.摘脾により血小板数は正常化し,高IgM血症も改善した.唾液腺生検にて導管周囲にリンパ球の浸潤が確認され,シルマーテストでも軽度ながら涙液の分泌低下がみられ,シェーグレン症候群が潜在している可能性が示唆された.
  • 小荒田 秀一, 内田 賢, 多田 芳史, 牛山 理, 鈴木 憲明, 大田 明英, 長澤 浩平
    2000 年 23 巻 2 号 p. 141-147
    発行日: 2000/04/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    症例は67歳女性. 1989年,関節痛・乾燥症状出現. 98年1月より上下肢近位筋を中心とした筋力低下が出現し,筋原性酵素の上昇を認め当科入院.筋生検・筋電図より多発性筋炎(PM)と診断した.また,ローズベンガル試験陽性,シルマー試験陽性,小唾液腺生検所見よりシェーグ1/ン症候群(SjS)と診断した.精査中, Gaシンチにて縦隔リンパ節の集積像と胸部CTにて縦隔リンパ節腫脹を認め,縦隔鏡下リンパ節生検で,サルコイドーシスの診断をえた.プレドニゾロン40mg/日の投与を開始し,筋力低下・リンパ節腫脹は軽快した.本症例は, SjSにPM・サルコイドーシスの合併を認めた稀な症例である.これらの疾患の合併例は内外文献で日本人の1例があるだけである.本症例におけるHLAは, HLA-B7, DR8が陽性であり,これは日本人における本3疾患に対する共通の疾患感受性HLAの結果とよく合致した.これらの疾患の合併は,いずれも免疫異常を背景にもつ疾患であり,共通した発症因子の存在する可能性を示唆し,各疾患の病因を考える上でも貴重な症例であると考えられた.
  • 森 雅亮, 友野 順章, 伊部 正明, 中島 章子, 宮前 多佳子, 横田 俊平
    2000 年 23 巻 2 号 p. 148-155
    発行日: 2000/04/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    我々は基礎疾患が存在しないにも関わらず腸管膜血管系の限局性血管炎が疑われた2小児例を報告した.両者とも腹痛,血便あるいは下痢を主訴に入院した.血液学的検査所見では好中球優位の白血球増多, CRP陽性,低アルブミン血症を呈し,内皮細胞の活性化や凝固・線溶系の活性化を示唆するFDP-E, D-dimer, von Willebrand因子活性値は高値を示した.腹部超音波およびCTスキャン検査では,腸間膜血管系の血管透過性の変化によると思われる小腸あるいは大腸壁の浮腫性肥厚が認められた.経過中,皮疹,出血傾向,関節炎はみられず,抗核抗体,抗DNA抗体や抗ミエロペルオキシダーゼ好中球細胞質抗体は陰性であった.以上より,腸間膜細・小動脈の限局性血管炎が疑われ,プレドニゾロンの静脈内投与が施行され,臨床症状,検査所見とも2週間以内に完全に軽快した.
  • 三森 明夫, 平田 和信, 奈良 浩之, 金子 尚子, 狩野 庄吾, 簑田 清次, 鈴木 輝彦
    2000 年 23 巻 2 号 p. 156-162
    発行日: 2000/04/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    全身性エリテマトーデス(SLE)の女性3症例において,ループス腎炎(症例1, 2), 中枢神経ループス(症例3)が高用量ステロイド治療で改善しつつあるとき,大量下血がみられた.血中サイトメガロウイルス(CMV)抗原の高値,ガンシクロビル開始後10日以内の下血停止, CMV抗原の消失により, CMV腸炎と判定した.その後腸炎再燃はなかった.ステロイド治療を継続したまま,保存的に持続的輸血で循環を維持し,比較的短期に得られた良好な治療成績が3例に共通した.
  • 狩野 博嗣, 菅本 健司, 後藤 正博, 片山 啓, 成田 雅美, 渋谷 紀子, 成高 信一, 賀藤 均, 柳澤 正義, 岩田 力
    2000 年 23 巻 2 号 p. 163-172
    発行日: 2000/04/30
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    今回我々は,難治性下痢と尿細管機能障害を合併した分類不能型免疫不全症(common variable immunodificiency, CVID)の31歳の女性例を経験した. 6歳時の麻疹罹患を契機に低γグロブリン血症を来たした.また, 7歳時にはループス様症候群を合併したが,ステロイド療法にて完全寛解した. 11歳時からのγグロブリン定期的補充療法後は長年にわたって状態は安定していたが, 29歳時より下痢が始まり,電解質異常,尿細管機能障害が著明となったので精査入院となった.入院後,絶食,高カロリー輸液療法にて下痢,尿細管障害は一過性に軽減したが,経口栄養開始により再び症状は悪化した.生検の結果は,消化管は非特異的炎症,腎臓は尿細管間質性腎炎の所見.腸粘膜固有層,腎間質ともにCD8優位のTリンパ球浸潤がみられたことから,免疫抑制および抗炎症作用を期待してステロイド療法を開始したところ,症状,検査所見は直ちに軽快した.本症例のように腸粘膜および腎にCD8優位Tリンパ球が浸潤し,難治性下痢と尿細管機能障害を合併したCVID症例は極めて稀と思われるので報告する.
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