日本臨床免疫学会会誌
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6 巻, 2 号
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  • 山田 昭夫, 井上 哲文, 広瀬 俊一, 宮本 昭正
    1983 年 6 巻 2 号 p. 61-66
    発行日: 1983/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    自己免疫疾患において,自己抗体のL鎖の型(κ, λ)を調べると, RFのκ/λ比は0.6-45とバラツキを示したのに対し,抗ds-DNA,抗ss-DNA抗体のκ/λ比は,それぞれ1.2-5.0, 1.0-4.0であり,抗破傷風トキソイド抗体および血清総免疫グロブリンのκ/λ比と有意差はなかった.また,このRFのκ/λ比はIgM-RFの値と正の相関を示した.
    自己抗体産生機構の1つとして, polyclonal B cell activationが考えられているが,このRFの産生は, polyclonal B cell activationのみでは説明し難く,長期抗原刺激によるaffinity maturationの関与も考えられる.
  • 田添 克衛, 宮下 守, 新保 敏和
    1983 年 6 巻 2 号 p. 67-76
    発行日: 1983/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    リンパ球が示す細胞障害活性であるantibody-dependent cell-mediated cytotoxicity (ADCC)とnatural killer cell (NK細胞)活性について,麻疹ウイルス感染に伴う変動を調べた.重篤な合併症を認めない麻疹患児では,両活性に有意な変動はみられなかったが,肺炎合併を認める患児では両活性に低下がみられた.その低下は発疹期にかけてみられるものであり,一過程で麻疹ならびに肺炎の治癒とともに回復した.
    ADCC活性やNK細胞活性は腫傷免疫での役割とともに,ウイルス感染防禦での働きも重要であり,重篤な合併症の発現との関連性が示唆された.
  • 松本 美富士, 小川 勝己
    1983 年 6 巻 2 号 p. 77-81
    発行日: 1983/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Ia抗原は免疫応答反応に重要な役割を果たすが,末梢血中T-リンパ球の一部はIa抗原陽性(Ia+)と考えられている.螢光抗体法より感度の優れているIndirect Antiglobulin Rosetting Reaction (IARR)法によって健康人末梢血中Ia+T-リンパ球について検討を行った.
    PHA, Con A, PWMによってT-リンパ球を5日間刺激すると, Ia+T-リンパ球比率は約30%までに増加した.ツベルクリン反応陽性者はPPD接種後,急速にIa+T-リンパ球の増加がみられた. Ia+ T-リンパ球とTr-リンパ球比率は高い相関性を示した.さらにOKT4, OKT8抗体と補体によって末梢血T-リンパ球をPWM刺激することなくOKT+4リンパ球, OKT+8リンパ球分画に分けると, Ia+T-リンパ球はOKT+4リンパ球分画に優位に存在することが示された.
  • 伊東 俊夫, 磯部 敬, 藤田 拓男, 中山 志郎, 北島 薫, 上野 謙蔵
    1983 年 6 巻 2 号 p. 82-88
    発行日: 1983/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    従来わが国ではまれとされるpolymyalgia rheumatics (PMR)の3症例を経験したので報告する. 3症例はおのおの49歳男性, 76歳女性, 36歳女性で,ともに突然躯幹近位部の著明な疼痛,こわばリ,歩行障害,抗生剤無効の不明熱が出現.身体所見には特に異常認めず.検査成績では軽度の白血球増多,正球性貧血,血沈の著明な亢進, CRPの強陽性を認め,末梢血リンパ球の軽度減少傾向を示したが,そのsubpopulationは正常範囲内で,ッ反応は2例が陰性, 1例が疑陽性であった.血清免疫グロブリン,補体βICはともに高値.抗核抗体,抗DNA抗体,抗ENA抗体, LE細胞などは陰性. 1例でクリオグロブリンが陽性であった. X線検査, EMG,脳血管写で異常なし.側頭動脈炎の合併は臨床上,脳血管写上から否定された. 3症例とも少量のステロイド剤投与で劇的な効果があったが,離脱困難であった. PMRはわが国でも必ずしもまれでなく,中壮年層にも観察されうる疾患であることを強調した.
  • 天野 栄子, 鈴田 達男
    1983 年 6 巻 2 号 p. 89-95
    発行日: 1983/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    As an application of Immunobeads, which are the synthetic polyacrylamide particles coated with anti-human immunoglobulin antibodies, the authors have improved Lee's method to a new micro technique to identify and enumerate human T and B lymphocytes simultaneously. Only 1 ml of heparinized blood is required as a specimen.
    The principle is based on the reaction of lymphocytes attached onto a plastic microplate with SRBC and immunobeads. The key point of this technique is the order of the addition of the two reagents, at first Immunobeads and then SRBC, otherwise the number of B cells will be much affected. The optimum conditions for this technique were established including the concetration and the volume of lymphocytes and reagents, reaction time and temperature.
    The improved, micro and simultaneous method showed a good coincidence with single rosette assay with SRBC, anti-Ig immunofluorescence and Immunobeads assay on 13 healthy normal lymphocytes. It is simple, easy to perform and clear-cut, resulting very few dublerosette cells.
  • 井上 孝利, 活田 融, 工藤 二郎, 鉢嶺 一男, 草場 公宏, 柴田 勝紀, 大久保 英雄
    1983 年 6 巻 2 号 p. 96-101
    発行日: 1983/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は31歳女性, 10年前の20歳時から関節痛,発熱などの症状が出現しRAと診断され今日まで断続的な治療を受けている.この間,扁桃炎,虫垂炎,中耳炎,肺炎に罹患するなど易感染性がみられ,扁桃摘出,虫垂切除などの外科処置も受けている. SLEの診断の下に当科に入院, IgA欠損と肺炎,脳膿瘍の合併が明らかにされた. SLEはsteroid,肺炎と脳膿瘍は抗生剤投与によっていずれも順調な経過をとった.患者リンパ球の免疫グロブリン産生能を, in vitroの系で分析した成績から,本症のIgA欠損はIgAに特異的なB細胞の機能欠損と,抑制性T細胞の機能亢進によることが明らかにされた. IgAはSLEの症状に関係なく全経過を通じてほとんど0であり,また寛解期に分析したin vitroのリンパ球機能でも, B細胞の機能欠損と,抑制性T細胞の機能亢進が証明された.したがって, IgA欠損にSLEが合併したと推定される.
  • 大崎 和弥, 満屋 裕明, 岸本 進, 絹脇 悦生, 玉利 秀夫
    1983 年 6 巻 2 号 p. 102-109
    発行日: 1983/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    T-cell independent B cell mitogenであるF (ab')2 fragment sheep anti-human IgGF (ab')2 fragment(ã-IgGF (ab')2), Staphylococcus aureus Cowan I(STA)およびEpstein Barr virus (EBV)を用いて,原発性免疫不全患者のB cell増殖能を検討した. common variable hypogammaglobulinemia 3例のうち2例では用いたmitogenすべてに対しB cell増殖能の障害を認めたが, 1例では正常と同等の反応を認めた.この抑制されたmitogen responseはadherent cellを除去しても回復しなかった.また若年性関節リウマチを合併したIgA-deficiencyの1例でもすべてのmitogen responseの低下を認めたが,他の1例では正常であった. immunodeficiency with hyper IgMの1例とIgM-deficiencyの1例では軽度のSTA反応の低下を除きほぼ正常の反応性を示した.
  • I.抗体産生抑制作用について
    舩渡 忠男, 小出 朝男, 林 正俊, 大谷 英樹, 斎藤 正行
    1983 年 6 巻 2 号 p. 110-116
    発行日: 1983/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    多発性骨髄腫における免疫不全は,正常免疫グロブリンの低下を特徴とする.その低下機序として免疫グロブリン産生を抑制する,いわゆる抑制細胞の存在が示唆され,今回抑制細胞が単球(マクロファージ)であることを明らかにした.単球の分離および除去法はまだ確立していないため,方法によって結果の解釈が異なるが,今回の検討では骨髄腫患者単球は方法にかかわらず,抑制作用を有した.また, non-T cell分画との異同が問題となるが,一部抑制効果を発揮する細胞群が認められた.さらに単球の性状を検討したところ,健康者単球と有意な差はなかった,したがって,抗体産生への抑制効果は担癌生体における二次的な影響によるものと考えられた.
  • 田内 美津子, 金井 芳之, 橋本 博史, 塩川 優一
    1983 年 6 巻 2 号 p. 117-122
    発行日: 1983/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    A simple and rapid Microenzyme-Linked Immunosorbent Assay (MELISA) has been developed for determination of anti-single and anti-double stranded DNA antibodies in humans using a combination of protain A-alkaine posphatase conjugates and single or double stranded DNA (ss or ds DNA)-coated polystyrene microplates. After 1 h treatment of the plates with 100 μl of poly-L-lysine (PLL) solution (50 μg/ml), an aliquot of the solution containing 100 ng ss or ds DNA (50 μl) was added to PLL-treated plates and evaporated at 37°C overnight to facilitate the adherance of ss or ds DNA to the plates. None specific binding of diluted test sera from patients with systemic lupus erthematosus (SLE) or from normal individuals to the PLL-coated plates was minimized by exposure of the plates for 1 h to Trisbuffered saline (pH 7.4) containing 0.01% bovine serum alubmin.
    The present assay is advantageous over those reported so far as it saves time and antigen. Results are as followed: anti-ss DNA antibodies in SLE by MELISA were significantly higher than those of rheumatoid arthritis (RA) and of normal individuals, but no difference was seen between those of SLE and chronic active hepatitis (CAH), whereas anti-ds DNA antibodies in SLE were significantly higher than those of RA, CAH and normal individuals.
    Correlation between antibody titers obtained by MELISA and by radioimmunoassay showed positive. Patients with SLE were devided into four groups: 1) patients with no complications, 2) patients with nephritis, 3) patients with central nervous system (CNS) disorder with convulsion and/or cerebrovascular lesion (CNS lupus, type I), and patients with psychosis (CNS lnpus, type II). Anti-ss DNA antibody titers among these four groups were of no significant difference, however anti-ds DNA antibody titers in the group of CNS lupus, type I were significantly higher than those of the others.
  • 常田 ひろみ, 石川 順一, 南 秀樹, 崎山 幸雄, 富樫 武弘, 松本 脩三
    1983 年 6 巻 2 号 p. 123-131
    発行日: 1983/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    下痢,難治性のカンジダ感染があり,巨細胞性肺炎による呼吸不全で死亡したSCIDを報告した. T cellは減少し, T cell機能も欠如していたが,末梢B cellは増加し,大部分は複数の表面免疫グロブリンを保有していた.血中免疫グロブリンも増加し, IgG型M蛋白成分を認めたが,抗体活性は欠如していた.成熟B cellから形質細胞への分化の障害が示唆され,これはT cell機能異常によるか,またはB cell自身の欠陥によるものと推測された.本症例は入院時より左上腕に,剖検時肝にlymphoproliferative diseaseを合併し,左上腕部腫瘍は病的骨折をおこしたが後に完全に退縮した. TFや移殖した胎児胸腺がそのことに影響した可能性はあるが,臨床経過から腫瘍の性格が悪性とは考えられず,何らかの刺激に反応性に特定のクローンが過増殖したと推測された. HLAの一致したdonorが得られなかったため,胎児胸腺,胎児肝移殖を試みたが成功しなかった.
  • 吉野谷 定美, 中島 一格, 平井 浩一, 小泉 一弘, 村中 正治, 宮本 昭正
    1983 年 6 巻 2 号 p. 132-138
    発行日: 1983/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    3例の進行した慢性関節リウマチ患者が, D-ペニシラミン投与中に致死的な造血器障害をきたしたのでその経過を報告する.症例1は, D-ペニシラミン600mg/日の投与を4年間受けたあと,急激な汎血球減少をきたした.症例2は, D-ペニシラミン400mg/日を1ヵ月続けた時,症例3は, 200mg/日を2週と300mg/日を3週続けた時点で,無顆粒球症をきたした. 3例とも進行した関節破壊病変を有し, D-ペニシラミンの投与以前に,ステロイド剤やその他の抗炎症剤を投与されていた.金製剤による治療は, 3症例とも造血器障害をきたす程の投与量とは考えられず, D-ペニシラミンによる造血器障害が最も疑わしいと考えられた. D-ペニシラミンの細胞障害によるものか,アレルギー機転が介在するのかは,三症例の死に致る経過が急激であったために解明できなかった.
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